第三章ユルグ村スケルトン祭り
第31話ナニこの展開
無事に進化を終えた私達は、沢山の職人やドワーフがいるというユルグ村を目指して歩いていた。
〈マスター、前方50メートル付近にモンスターが三匹居ます。レベルはそれぞれ3が二匹、5が一匹です〉
おっ、強そう?
〈いえ、油断さえしなければ恐らく大丈夫でしょう〉
了解。
仲間の方を見ると皆が首肯く、私達は注意しながらモンスターの方へ向かって歩き出す。
「ご主人様」
アリシアに呼ばれ視線の先を見ると、犬のような動物が三匹いる。
アレがモンスターかな?
【鑑定士】スキル成功
ウルフ
レベル:5
HP:300/300
MP:100/100
物攻:100
物防:80
魔攻:15
魔防:50
敏捷:140
知恵:110
器用:20
運 :5
スキル:【牙攻撃】【爪攻撃】【遠吠え】【体当たり】【野生】
【鑑定士】スキル成功
ウルフ
レベル:3
HP:250/250
MP:80/80
物攻:90
物防:70
魔攻:10
魔防:40
敏捷:120
知恵:100
器用:20
運 :5
スキル:【牙攻撃】【爪攻撃】【遠吠え】【体当たり】
【鑑定士】スキル成功
ウルフ
レベル:3
HP:250/250
MP:80/80
物攻:90
物防:70
魔攻:10
魔防:40
敏捷:120
知恵:100
器用:20
運 :5
スキル:【牙攻撃】【遠吠え】【体当たり】【野生】
「おっ、結構スキルある」
「何言ってるのハクア? あれくらい普通だよ?」
マジか!?
〈マスターが今まで戦ったのは、ゴブリンと魔族のグルドだけですからね〉
「ゴブリンからいきなり魔族って……よく生きてられるよね?」
「私も初戦闘が魔族だったからね。そう思うよ……」
「ですね……」
「ゴブ?」
「ま、まあ、えっと、それでどうしますか? ご主人様?」
アリシアが空気を変えようと、明るい声で聞いてくるのでそれに乗っかりながら答える。
「とりあえずはいつも通り。アリシアとアクアの魔法で最初に攻撃。その後は私とアクア、エレオノとアリシアのペアになってそれぞれ対応。二匹行った方は無理せず時間稼ぎ」
「分かりました」
「了解」
「うんゴブ」
作戦が決まると同時に二人が前に出て魔法を放つ。
「ふっ!」
「ゲイル、スラッシュ」
アリシアが【無詠唱】で魔法を……いつの間に。あれ? しかもアレってファイアアローじゃないよね? 何あれ? アクアも知らない魔法使ってる。
〈あれは火炎魔法のフレイムランスと、暴風魔法のゲイルスラッシュですね〉
二人の新魔法に驚いている間に、魔法が一番レベルの高いウルフに命中する。
「ギャウン!」
魔法を食らったウルフはそのまま動かなくなり、それを見た残りの二匹がこちらに向かって走って来る。
「エレオノ、右よろしく」
「了解」
今までは私一人でやっていたフロントをエレオノに片方任せ、左側のウルフに集中し歩を進めながら【魔闘技】を発動する。
ウルフはこちらに駆けてくる勢いのまま飛び上がり、喉元に噛み付こうとした──がそれをしゃがんで避け、着地の瞬間に【疫崩拳】を放つ。
「ギャン!」
私の攻撃がウルフの後ろ足に当たり相手を吹き飛ばす。よくよく見てみると攻撃が当たった場所の色が変わっている。
お、ラッキー石化してる。チャーンス!
私は両手に武器を持ち、石化して後ろ足が動かなくなったウルフ目掛け突進する。ウルフも応戦しようとするが、石化部分が上手く動かずにぎこちない動きで噛み付こうとする。
「遅い!」
しかしそんな攻撃が当たる訳も無く、右の短剣で喉を裂き、がら空きになった胴体に心臓目掛けて左のナイフを突き刺す。
突き刺した瞬間体をビグッと震わせ、その動きを最後にウルフは動かなくなった。
残心を解き息を吐く、呼吸を落ち着け戦闘を終えた私がエレオノの方を見ると、丁度エレオノがウルフに向かって武技を発動する所だった。
「四段突き!」
「ギャン!」
エレオノの四段突きがウルフに決まりこちらの戦闘も終わったようだ──が、「アオーン!!」と、ウルフが事切れる寸前、最後の力で遠吠えを発動する。
〈マスター。ウルフの増援が来ます。数はレベル5が二、レベル4が一、レベル2が二です〉
「ごめん皆」
ヘルさんの声を聞いてエレオノが謝る。
「今のはしょうがない。むしろウルフを褒めるべきだよ」
「クスッ、確かにそうかも知れませんね?」
「とりあえずさっきと同じで感じで」
「はい」
「分かった」
「ゴブ!」
作戦を決めるとアリシアとアクアがウルフの群れに向かって魔法を放つ。
「ハッ!」
「ゲイルスラッシュ」
先程と同じ魔法を放つ二人だが、今度はウルフがこちらを認識している為、アクアの魔法が避けられてしまう。
同じ様にアリシアの魔法も避けられると思ったその瞬間。
「弾けて!」
アリシアの声と共にフレイムランスが弾けて、十本程のファイアアローに変わり円状に弾ける。
「キャイン!?」
「ギャン!!」
「ギャウン!!」
最後尾近くで弾けた魔法は、最後尾のレベル2の二匹を貫きHPを全損させ、その前に居たレベル4のウルフのHPを半分程削る。
何あれかっこいい。
「おお~、凄い! 新技だ」
「はい! ご主人様が進化している間にエレオノと作りました」
とりあえず偉いのでアリシアの頭を撫でながら、全員【魔闘技】を発動し迎撃の準備をする。
「アクア!」
私の声にコクリと頷き「ストログ、ディフェンダ、アジリ」と、強化魔法を立て続けに三つ掛ける。
しかも何気に新魔法だな。ストログが力だから単純に防御とアジリティで敏捷アップかな?
〈正解です〉
強化魔法の名前って意外と単純だよね?
『女神様:分かりやすい方が良いんです!』
あぁ、途中で面倒になったな……。
『女神様:通信が切断されました』
おいぃぃ! 都合悪くなったからって逃げるなよ!
〈……マスター来ますよ〉
ウルフ達は私とアクアの方に二匹、アリシア&エレオノペアの方にレベル5一匹が行った。
私はウルフレベル5に【邪眼】の麻痺を掛ける。
するとウルフの動きが遅くなり、傷付いたレベル4ウルフの方が先にこちらへ向かって来る。
それをこちらから相手の間合いに入り、飛び掛かってこようとするウルフの出鼻を挫き。
「鎌鼬」
魔法を発動し一匹目を仕留める。そして──。
「ウインドカッター」
アクアが残りのウルフに魔法を放ち私の援護に入る。ウルフは魔法を辛うじて避けるも、私の方にまでは気が回らず無防備に脇を晒す。
「ウインドブラスト」
私は待機状態で魔法を拳に展開しそのまま【疫崩拳】を放つ。
「ギャワン!」
ドパンッ! と、盛大な音を立て当たった私の攻撃に、ウルフは吹き飛びそのまま木に当たり動かなくなる。
〈お疲れ様ですマスター〉
▶ハクアのレベルが2に上がりました。
HPが320に上がりました。
MPが170に上がりました。
物攻が96に上がりました。
物防が96に上がりました。
魔攻が80に上がりました。
魔防が87に上がりました。
敏捷が160に上がりました。
知恵が240に上がりました。
器用が180に上がりました。
【魔拳LV.1新】習得しました。
【魔眼】習得しました。
【疫崩拳LV.5→LV.6】になりました。
【見切りLV6→LV.7】になりました。
スキルポイントを10獲得しました。
▶アクアのレベルが2に上がりました。
▶アリシアのレベルが19に上がりました。
▶エレオノのレベルが11に上がりました。
あっちの方は?
〈あちらも決着が着いて、最初のウルフを回収してこちらに向かってます〉
そっか、二人とも無事?
〈はい、怪我はありません〉
「ご主人様大丈夫でしたか!? ヘルさんが問題無いと言うので最初のウルフを回収してきました」
「ありがとう。二人ともお疲れ様、エレオノはちゃんとした戦闘初めてだったけど大丈夫だった?」
「はい、ちゃんと冷静に戦えていましたよ」
「自分ではもうちょっと上手くやれたらな。って部分があったけどね。うん。これならなんとかなりそうだよ」
初戦闘で緊張しないで戦えれば大丈夫かな?
〈まぁ、初戦が魔族でしたからね。それに比べればこの辺りのモンスター程度……〉
うむ、さもありなん。
「ご主人様、モンスターの一部は回収してここに全部置いておきますね! 後、魔石の回収も終わりました」
おお、流石、話してる間に全部やってくれてた!
「う~ん、アリシアって本当にそつなくこなすよね?」
「そんな事無いんですけどね?」
「いつも助かってる!」
「ありがとうございます。ご主人様」
ではさっそく。
▶【喰吸】のスキルが発動しました。
【疫牙LV.3→LV.4】に上がりました。
【直感LV.4→LV.5】に上がりました。
流石に最初の頃に比べると上がらなくなってきたな。
〈その分確実に強くなっていますからね〉
あんまり実感は無いけど、この数のウルフを楽に捌けるようになってるから強くはなってるんだよね?
〈はい。マスターもですが、他の皆も最初の頃に比べると強くなりました。それに加えエレオノが加わって前衛が充実したのも大きな要因でしょう〉
私達はそんな話をしながらユルグ村に向かって歩き出す。
「そう言えば、この辺ってモンスターよく出るの?」
「普段はそんなに出ませんよ。でも、ここ最近はこちら側に来る冒険者があまり居なかったので、討伐されずに数が増えたみたいです」
「普通モンスターが増えると、ギルドが他の支部のギルドに応援依頼を出すんだけど、エルムはアレだったから」
そうかこんな所でグルドの影響出てたのか。
「そう言えばアリシアよくここまで来れたね?」
「エルムまでは行商の馬車に乗せて貰ったので。まぁ、その後で奴隷商に捕まりましたけどね……フフフッ」
アカン、なんかトラウマスイッチ入った。
「で、でもそのお陰でハクアに会えたわけだし!」
エレオノさんナイス!
「そう……ですね。うん。それが私の人生の一番の幸運です!」
……最近アリシアの想いが重い件について。
〈自業自得です、頑張って下さい〉
私が何をしたと!? というか何度も言うけど私女なんですけど!?
〈マスターもうすぐユルグ村に着きますよ?〉
プロサッカー選手並の華麗なスルーされた!!
「アレがユルグ村?」
「わ~、あそこがそうなんだ!」
「そうですよ。あの鉱山の手前に在るのがユルグ村です」
「騒がしい?」
確かに村の方が何か騒がしいかも?
「行ってみよう!」
そう言って私達は声のする方へと走り出す。
村に辿り着いた私達が見たのは、金属と金属がぶつかり合う音を立てながら、何かと戦う集団だった。
「オリァー!」
「死ねー!」
「ぶち壊せ!」
何人もの怒号と罵声が鳴り響く。
「えぇっと~、ナニこの展開」
私達の目の前でユルグ村の人間と冒険者達が骨とバトルをしていた。
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