第6話 誕生日でした


 去る、十一月七日の水曜日、私は誕生日を迎えた。

 別に慌てて祝わなくても構わない。何せ、近況ノートでもツイッターでも、何も言っていなかったからだ。


 理由は、なんだかものすごく恥ずかしいからだ。

 誕生日だと言ってしまうことが。


 誕生日当日以外なら普通に言える。

 「伊集院光さんとTOKIOの長瀬くんとカミュと同じ誕生日だぜ、いえーい」まで言える。


 しかし、誕生日に「誕生日です」というのは、何故だが恥ずかしくて堪らない。

 なんだこの無駄な自尊心は。虎にでもなるつもりか。


 そのため、ツイッターのTL上で「今日が誕生日です」と言える人がこの上なく羨ましい。

 リプやいいねなどで、おめでとうと言われているのも、焦がれるくらいに羨ましい。顔を見たことのない人から、おめでとうって言われるなんて、幸せな経験に違いない。


 だが私は、「誕生日です」と言えない。過去形か未来系でしか言えない。


 今年の誕生日自体は、色々用事があって、忙しかったんだという気持ちもあるが、暇でもきっと言えなかっただろう。

 なぜなら、去年も言えなかったからだ。


 私のこの傾向は、他の所でも顔出す。

 例えば、自作を宣伝しづらく感じるときとか、愚痴を全く言えない時とか、自作の裏話とかをできない時とか。


 ここまでの自尊心は、もはや自尊心ではないだろう。粗大ゴミにしてしまいたい何かだが、断捨離は難しい。

 ただ、SNS上で「死にたい」と言うことは、「殺してくれ」と言うことと同義だと思うので、そこでセーブできているのはいいことだと思う。うん。


 そんなこんなで、私は結局、この重みと化した自尊心を抱えたまま生きていくこととなるのであった。


 

 あ、昨日「図書館暮らし。」をアップしたので、お暇なら読んでみてください。

 →https://kakuyomu.jp/works/1177354054887492633

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