地獄絵図作家

君の耳にそっと囁いた

些細なことを唆してみた

君の堪忍袋は悲鳴をあげて破裂した

怒鳴り散らされて笑う僕を

見下す視線が機嫌を損ねた

僕は君を処刑台にかけた


特注のギロチン刃は

多々の返り血で錆びて脆い

その刃は首を掻き切った

ここでは「ごめん」も「許して」も

通じないわ

分かった?ここから僕の地獄絵図


血の温度がぬるくなっていく

日に日にぬるくなる

感じなくなる

床についた血は泡混じった

叫び声を僕に届けた

僕は、そんなの気づかなかった


君が苛立って押し倒してきたから

君の耳元で囁いて唆した

君は笑った「馬鹿馬鹿しい」と

今度は僕が君に苛立った

自分を否定されてるみたいで

嫌、だったんだ


お手製の首吊り装置は

両手に当たる縄がほつれてる

その縄は君の首を絞めた

ここでは怨みも怒りも通じないわ

分かった?ここから僕の地獄絵図


血の温度が冷たくなった

それはやがて僕の手を包んだ

腕まで包んだ

汚物まみれの床に死体を

重ねていく僕に少しの温もりを届けた

僕は、そんなの気づきたくなかった


本当は死にたくなかったよね、

病死でも安楽死でもない

自分勝手な僕は分からなかった

君の気持ちと周りの気持ち

死ぬべきは僕だと

ずっと前から気づいていたよ

僕の手が徐々に伸びて

頸動脈を絞めた


血が引くのを感じていった

それは僕の記憶を蘇らせた

走馬灯のように

色飛ぶ視界の最中

大事なものを君は届けた

僕は、精いっぱい笑った

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