大関誠は温泉大臣~俺、異世界に温泉旅館作ります!~

八百十三

プロローグ

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 温泉おんせん


 自然の熱で温められ、地の底から湧き出す、一定以上の温度をしたミネラルなどの治癒成分を豊富に含んだ湯。

 その湯に浸かることで得られる効能は古くから人々の知るところであり、地球上には世界各地に温泉地が存在する。

 台湾の北投温泉、ニュージーランドのタウポ、イギリスのバース、ドイツのバーデン=バーデン、アメリカのホットスプリングス、などなど。

 そして忘れてはいけないのが温泉大国・日本の数々の温泉だ。


 日本に存在する温泉地の数は、2016年時点で優に3000を超える。北は北海道、南は沖縄、四十七都道府県全てに、少なくとも1か所は温泉地が存在するのだ。

 また日本は四つのプレートの境目に存在するため火山が多く、そのため必然的に火山性の温泉が多い。

 温泉にまつわる神話や伝説も非常に多いことから、人々が古くから温泉に親しんでいたことが伺える。


 海外では湯治や療養など、医療行為として位置づけられる温泉だが、日本人は日常的に入浴で湯船に湯を張り、またそこにリラクゼーション効果も見出すため、そこにかける熱量は類を見ない。

 温泉地は娯楽の要素も含んで観光地となり、大小さまざまな温泉宿やホテルが軒を連ね、有名な温泉地は季節を問わず人の足が途絶えないものだ。

 人が集まるところには産業が生まれる。お土産だったりグルメだったりと、温泉地の人間も埋没しないように心を砕いている。


 そして、一般的な範疇で温泉旅行を行う人々がいる中で、温泉に入ることや、温泉地を巡ることに大きな熱意を注ぐ、いわゆる「温泉オタク」が一定の割合で存在する。

 秘湯と呼ばれる僻地の温泉を目指したり、一風変わった温泉を求めたり、さらには日本を飛び出して世界の温泉地に足を延ばしたり。

 それこそ、熱意の赴くまま、足の赴くままにどこまでも行くし、知識も深くまで備わっている、そんな人たちが確かにいるのだ。


 これは、そんな温泉オタクの一人にまつわる、とある・・・場所でのお話である。

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