書きかけ
勝利だギューちゃん
第1話 少女
小説にしろ、漫画にしろ、
創作物は、誰もが生きこんで書きはじめる。
だが、最後まで書ききれる者は少ない。
殆どが、途中で止めてしまう。
収拾がつかなくなったのか、あきたのか、
理由はいろいろある。
でも、一番の理由は忍耐力がないからなのだ。
我ながら、情けなく思う。
僕の机の引き出しには、書きかけの原稿が貯まっている。
その数は、100は超えている。
最初は、「今度こそ完成させよう」と思うが、すぐに力尽きてしまう。
これは、才能以前の性格の問題だ・・・
ある日、学校から帰宅して、自分の部屋に入ると、
ひとりの女子高生がいた。
そして、僕の机の上で何かを読んでいた。
それは、僕の原稿だった。
いや、書きかけなので、原稿とは言えないか・・・
・・・って、そうじゃない。
「だ・・・だれだ?君は?勝手に・・・」
「今頃気がついたの?遅いね、君」
「だから、何で勝手に・・・」
「これ、みんな君が書いたの?」
「ああ」
「でも、尻切れトンボだね」
その通りだ。全部、書き書けなので、尻切れトンボで終わっている。
「ねえ、どうして書きあげないの?」
「それは・・・」
「作品が、かわいそうだと思わない?」
「そうだけど・・・でも・・・」
「でも?」
言葉が出ない・・・ていうか、なぜ知らない子に話す義務がある?
「君、私の事を覚えていないの?」
「ああ、初対面のはずだ」
「嘘ばっかり、君は私の事を知っているはずよ」
「いや、知らない。初対面だ」
確かに初めて見る顔だ。
女は化けると言うが、それでもわからない。
「じゃあ、教えてあげるね」
「頼む」
間があった。
「私の名前は、押見ルナよ。
「押見ルナ・・・まさか?」
ルナの名のる少女は、微笑む。
「そうよ、思い出してくれた?パパ」
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