第409話

 全員が、ピリピリしていた。

 緊張の糸が切れた途端、何かが暴発してしまいそうだ。

 重たい沈黙が流れた。ゴーゴーと叩きつけるみたいな雨の音だけがヤケに耳に響いた。


「あの…」オーナーが口を開いた。「先ほどから海堂様の姿が見えないのですが……」


「え……」確かに……

 言われてみれば、ずっと、あの海坊主のような男の姿を見ない。

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