第207話 ジョーカー

 ゲームは序盤の山場だ。


「うゥ~ン…!」

 ボクは悩んだ末、『2』を出した。『2』に勝てるカードは『ジョーカー』しかない。

 『ジョーカー』は、たったの一枚だ。

 まだ序盤なので、『ジョーカー』を持っていても出さないと踏んだのだ。

「パス……」「パス」と全員パスするかと思われた。


 これで、ボクの勝ちだ。

 そう思った矢先、馬場が気色悪い笑みを浮かべた。


「ケッケ…、ここで調子つかせると、ヤバいだろ! 勝負だ!!」

 切り札の『ジョーカー』を切ってきた。


「うゥ…!」まさか、この序盤で『ジョーカー』を切るとは……


 その後は、馬場の独壇場だ。


「ケッケ…、上がりだ!!」

 馬場は調子良く最後のカードを出した。


「悪いな! こんだけ、手が良けりゃ勝つよなァ~!!」

「うゥ~…ン…!」

 ボクは苦戦していた。


 『2』を全員がパスし、手持ちで一番弱い『♠3』を捨てようとしたのに、その『♠3』が終盤まで残ったままだ。

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