第174話 ゴメンで済んだら

 何とか直撃は免れたが、派手に波飛沫しぶきが掛かってしまった。


 特に、阿久津 凶一は頭からズブ濡れだ。

「チィッ……」舌打ちをした。


「あ! ゴ、ゴメンなさい……」

 すぐに状況を察し、ボクは頭を下げ謝った。

 なのに、多羅尾は口笛を吹いて知らんぷりだ。


「このタコがァ~!」

 いかつい顔の阿久津 凶一が、びしょ濡れのままボクを睨みつけた。

「ゴメンで済んだら、ヤ○ザは要らねェ~ンだよ!!」

 手を伸ばし、ボクの両頬を摘まんだ。

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