五大戦術家 楊業との出会い


C国へ向かう道中、数機のネイオンがやってきた。

「全軍警戒態勢!」

警戒をしろと、叫ぶアルーン。

すると一機のネイオンから通信が入ってきた。

通信用の大きなモニターに目を移すと、

「私は楊家軍の楊延平」

そう目の前の男は名乗った。

「おお! あのD国の楊家軍の方か!」

D国の楊家軍とは、楊家将の子孫である楊業が設立した軍である。

「そちらは王国軍、アルーン元帥の軍で間違いないか!」

「間違いない、楊家軍の方に会えて光栄であります」

「こちらこそ、光栄であります」

お互い礼を尽くした後、アルーンが切り出した。

「楊家軍の方が我が軍に何用か?」

「我が父、楊業が元帥にお会いしたいそうです」

「それは光栄だ、取次を願えるか!」

「もちろんです、こちらにおいで願えますか?」

「わかった、すぐに行こう」



そうして楊業に会いに行ったアルーンであった。

「王国元帥、アルーンです。 五大戦術家の楊業殿に会えるとは夢にも思いませんでした」

「D国元帥、楊業です。 こちらこそ急に押しかけて申し訳ない」

お互い礼をした。

「アルーン殿は現在C国に侵攻するところと聞きました」

「知っていましたか、さすがにお耳が早い」

「単刀直入にいいます、我軍は王国軍を支援する準備があります」

「真ですか!? それはありがたい」

「その代り条件があります、C国の領土半分をD国に渡してほしいのです」

本来であれば、旧領とともにC国そのものを併呑する予定だったアルーンだが、

「よいでしょう、我が王国の目的は旧領奪回にあります」

ここは相手の顔を立てて、旧領奪回とC国の領土半分で妥協することにした。

「ありがとうございます、それでは早速C国へ向かうとしましょう」


二人は手を取り合い、C国へ向かうのであった。

C国へ向かう道すがら、アルーンは楊業の息子娘達を紹介された。

そのうちの娘の一人である楊延瑛は天真爛漫であり、利発で活発な子であった。

髪の毛は茶髪のショートで2つのおさげ、笑ったときの八重歯がチャーミングである。

「はじめまして、あのネイオンに乗ってるのが元帥ですか!? アルーン元帥。 楊延瑛です!」

延瑛はエンペラーに指を指しながら言う。

「あぁ、そうだよ、はじめまして、アルーンだ」

ひと目見てアルーンは延瑛に好感をもった。

延瑛もまたアルーンに好感をもったのであった。

軽い態度の延瑛に対し父楊業は怒った。

「こら!延瑛、失礼だぞ!」

「いえいえ、いいですよ」

アルーンは手を振って言った。

「えへへ」

と延瑛は悪気なく笑った。

この延瑛の天真爛漫で、階級を気にしない態度がアルーンには心地よかった。

延瑛は格納庫の中を走り、エンペラーの前で止まった。

「これが元帥の機体ですか? かっこいい!」

「よければ中も見るかい?」

そうアルーンが聞くと、

「本当ですか!?」

と目を輝かせる延瑛。

「あぁ、いいとも」



そうして二人はエンペラーのコクピットに入った。

「うわぁ! これがエンペラーのコクピットなんだぁ」

「こことここは触らないように頼むよ」

アルーンが注意すると、「はーい」

と勢いのいい返事が帰ってきた。

しばらくすると中を堪能した延瑛がコクピットを降りてきた。

「どうだい? お気に召していただけたかな?」

アルーンがきくと、

「はい! とってもかっこよかったです!」

ずいと延瑛が顔を近づけてきた、が顔が近いことに気づくと、延瑛の顔は赤くなり顔を離した。

「それを聞けて何よりだ」

顔を赤くしながら、その満足そうな声を聞けて嬉しそうなアルーンであった。



そしてC国は王国軍と楊家軍の前に降伏せざるをえなかった。


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