猫の惑星

うち

猫と童貞

「猫の手も借りたい。」なんて馬鹿にしてたけど、試しに借りてみたらすごく良かった。

なんていったって、A子と付き合えることになったのだ。


人間様にとって役に立たないものだけど、そんな些末なものですら必要としている、という多忙と充実の紙一重的自己PRのため、もしくは何事も受け入れる自分の器の広さを象徴する言葉だと思っていたけど、全然そんなことなかった。


使いこなせるかどうかは自分自身だし、猫の手も適材適所なわけで、百聞はやっぱり一見に如かずなのだ。


そんなことを思いながら、俺は使いこなせる側だし、誰も才能を見抜かないモノを抜擢できる一面もあるけど、知ったかぶりしない素直さも持ち合わせているなと、顔面と股間を完全に勃起させながら、敢然と帰り道を歩く。


途中、いつもの10倍俗っぽく輝くコンビニに、「もう一本向こうにあるコンビニに行くから、ここはスルーだ」なんて、行かない理由を探している自分がいることに気付き、「もう一人の俺よ、しっかりしてくれ」と無意味な喝を入れたりする間にも、日は暮れ、俺の影は伸びてゆき、一つになる夜が来る。


結局、友人が配っていたゴム製のブツを探すことになる。最後まで誰かに頼って生きることになるんだろうなと、センチメンタルになりながら、部屋の主となった毛むくじゃらを撫でてみる。とある映像で学んだ方法でも、毛むくじゃらは、気持ち良さそうに鳴くし、すり寄ってくる。


大事なことは、ぜんぶ猫が教えてくれた。なんて、言わんばかりに毛むくじゃらを丁重にもてなして、それをカメラに収め、LINEで送る。しかも動画で。楽しみだって言わせたいのだ。

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猫の惑星 うち @uchym91

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