第24話

「いったいこいつは何者だ?」

 カイはモニターに映ったエレベーターの中の様子を見てうなった。

「生徒会書記、佐藤理恵子」

 礼子が無表情でいう。

「その生徒会書記になんでこんなことができる?」

 礼子は黙った。答えようがないのだろう。

 陽子にしたところで意外だった。あの人はいったいなんなんだろう? 姫華のことを宇宙人だといいだし、勝手にひとをその仲間と決めつけたあげく仲間に入りたいといったり、かと思うとスパイ顔負けのことをやる。

『3、9、1、3』

「うわっ、マジだよ、こいつ」

 カイのあきれかえった叫び声が飛ぶ。

「カイ、動力を切る?」

 礼子がモニターの下にある壁の分電盤パネルを開いて、叫んだ。

「いや、このまま迎え撃つ。ドアが開いてから動力を切れ。ライ、入り口のドアの両サイドで待ち伏せるぞ。こっちへこい。レイ、その女を気絶させろ。よけいな警告を入れられたくない」

 カイはそう指示すると、入り口のドアに走った。ライもそれに続く。

 このままじゃ、姫華は入ったとたんに両サイドから不意打ちを食らう。

「姫……」

 口を塞がれた。礼子だった。感情のない目で上から陽子を見下ろしている。

 礼子、お願い。離して。

 それは声にならなかった。くぐもった音がかすかに鼻から漏れるばかり。礼子は残った方の指を軽く陽子の頸動脈に当てる。ほんの数秒で意識が遠のいていく。

 気を失う寸前、エレベーターのドアが開くのがわかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る