心の中、整理します。
モレオン
第1話
高校2年、春が過ぎようとしていた頃。僕は早まりすぎたんだと思う。
白澤かやの。最近何をするときも彼女を目で追っている気がする。まさしく絹のような美しい髪、雪のように白く華奢な手足、彼女を取り巻くオーラがとても清く美しく花が咲くようだ。おまけに賢い。僕もそこそこできる方で学校内では国立大、有名私立大に進学を目指すコースでではあるが、僕は落ちこぼれだ。彼女はいつも1位か2位だ。どこにそんな時間があるのか。うちの高校は吹奏楽部が強く、テスト週間でもいつも練習練習また練習。ただし問題点がある。彼女には彼氏がいない。僕も県下1、2位を争う強豪サッカー部の一員であり、それなりに賢く容姿も良いと言われ自信はある。けれど彼女は僕だけでなく異性にはまるっきり興味のない感じだ。彼女は一体なんなんだ。
「おーいっ!聞いてんの?」
くだらないことを考えていると話しかける声がする。ゆりだ。神田ゆり。僕の入学してすぐ付き合って1年くらい経つ彼女だ。かやのさんの事は思っているだけで誰にも言ったことがない。少々罪悪感があるが致し方ない気もする。正直、僕はゆりと付き合うのに疲れている。ただ別れようと言う勇気もなく非常に中途半端で情けないと自分でも思う。嫌いな訳ではないがかやのさんにどうしても目が追ってしまう。
「お化けとか宇宙人とかっていると思う?」
別に考えたこともなかったのでテキトーに相槌を打っておいた。
「最近冷たくない?」と言われ、
「気のせいだろ」と返したものの、冷たくしてしまっているのだと思う。今度の記念日にはご飯にでも誘っておこう。
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