33.紫陽花は血の色に染まる

次のやつは青かった。

「“死の花シリーズ”第二弾、“紫陽花”です。この機体は、背部の超長距離狙撃用ライフルが特徴です。例によって他に装備はありませんが」

「超長距離って、どのくらい?」

「理想的な環境下でなら、銀河の端から端まで届いたそうです。真空空間では威力が落ちませんから。惑星の重力圏などを避けるために射線は限られたものでしたが」

ロボットにする必要があったのだろうか?

話を聞く限り戦略兵器か何かの方が近い気がする。

「射撃時には加電圧により表面装甲が耐熱性の仕様になり、赤く変色したそうです」

「第一弾よりは大分マシだな」

やることが極端だが。

「この機体はかなり有効に運用されたようです。パイロットに求められる技量は相当なものだったようですが。ほんの少しでも照準がズレれば当たりませんからね」

「人力で照準してたのか?」

「はい」

「どういう連中なんだ……」

「職人技ですね。この機体は戦争終結後に敵軍に接収されましたが、狙撃に成功した人間は居なかったそうです」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る