17.DX100周年記念コンプリートエディション完全版

「これは……何?」

ガラスケースの中には、何かベルトのようなものが飾られていた。

ベルトの周りには色とりどりの宝石のようなものが大量に並べられている。

ベルトといっても一般的なものでは無く、格闘技の優勝ベルトとかああいう類のもの。

バックル部分が異様に大きく、何かを差し込むためと思しき穴が大量についていた。

虫の巣穴みたいで少し気持ち悪い。

「これは、強化外骨格……パワードスーツの起動・展開装置です。周囲の宝石のようなものはエネルギー結晶ですね。起動方法ですが、この周囲のエネルギー結晶を全てバックル部分の穴にはめ込んでスイッチを押すことで起動します。一個一個の結晶に対応する穴があり、正しい場所にはめ込む必要があります。穴と結晶は百個ずつあり、一つでも足りなければ起動しません」

「起動に何時間かかるんだ……」

ちょっとしたパズルゲームである。

「また、結晶は他にも確認されており、廉価版、限定生産版、試作版もろもろ多数存在したそうです。当博物館もできる限りのことはしたのですが、正規版の百個を集めるので手一杯でした」

「これ、一個ずつ探したのか?」

「はい。銀河中に散らばっていたので」

正気の沙汰ではない。

「さらにさらに、起動装置の方にも何個かバリエーションがありまして、ベルト部分の形状が僅かに異なる後期生産版、カラーバリエーションが三種、廉価版が二種、小型化簡易モデルが四種類、完全限定生産コンプリートエディション、コンプリートエディションは実用性よりもコレクション要素が強く、初期傷についてはメーカー対応が可能で…………」


次の展示物に移れたのは、一時間後のことだった。


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