第510話 大自然の小さな育乳物語

「そしてこれが安全性あんぜんせーにも配慮した『大自然の恵みクリーム』ですー」

 言って、巫女エルフちゃんが小さな容器を取り出した。


「これが先ほど話していた覇王流秘伝の育乳クリーム……! こ、これは頂いてもよろしいのですわね!?」

 それを見たサーシャはと言うと目の色が変わり、はた目にもそわそわと浮き足立っていた。


「これは試供品しきょーひんですのでどーぞ」

「ご厚意、痛み入りますわ。そして、こ、こ、これが……!!」


 巫女エルフちゃんから渡された、育乳クリームが入った容器を両の手のひらで大事そうに包み持ちながら、鼻息も荒く様々な角度から観察するサーシャ。

 例えるなら市民プールで水着の女子高生を舐めるように視姦する変態のようだった。


 でも角度を変えても、見えるのは容器の違う側面とか底だよね……いやその気持ちはよくよく分かるんだけれども。

 秘伝の育乳クリームは、サーシャがのどから手が出るほど欲しいアイテムなわけで、男の子で言えば欲しかったプラモデルを買ってもらって、その箱を帰るまでに何度も見返す気分が近いんだろうな。


「気に入ったら、次回からご購入こーにゅーくださいねー」

「もちろん分かっておりますわ」


 そして巫女エルフちゃん、友達からも金とんのかよ……まぁエルフ村でも常夏を利用して冬にひまわりを出荷することでかなり儲けてるとか言ってたしな。

 それ考えたら意外でもないか。


 そもそもエルフだって生きていかないといけないんだ、商売くらいして当たり前だよな。

 ただちょっと俺の持っていた「森の中でひっそり隠れ住む孤高の種族」ってエルフのイメージとは違っているってだけで。


「なんていうか、かなり俗っぽい……」


 それもこれも昔の《神滅覇王しんめつはおう》がエルフの生活を180度変えさせたからだ。

 うん、俺は真っ当な《神滅覇王しんめつはおう》になろう……えっ、セーヤくんハーレムとか言ってる時点もう無理?


 おっと思考が横道にそれてしまったので、サーシャたちに戻すとしよう。


「それにしても育乳という概念は実に素晴らしいですわね。巨乳は一日にしてならず。小さな種から愛情をもって地道に育てるからこそ、大輪の花も咲き誇るというわけですわね」


「そのとーりですー」


 こういうところはさすがにお嬢さま、出てくる例えが優雅だなぁ。

 ……話の内容がおっぱいを大きくするための話だけれども。


 と――、


「ねぇクレアさん、今ここでいくつか先ほど習った覇王流の育乳マッサージを実践してみてもよろしいかしら?」

 よほど早く使ってみたかったのか、サーシャがそんなことを言いだした。


「どーぞどーぞ。ではクレアは上手くできてるか見てますのでー」

「それでは失礼しますの」


 言うが早いか、サーシャはおもむろに服を脱ぎだすとキャミソールとブラジャーも外して瞬く間に上半身全裸になってしまった。

 まるで少年のように美しい胸板――こほん、お胸があらわになる。


 サーシャはそこに『大自然の恵みクリーム』を丁寧に塗り込むと、巫女エルフちゃんの指示を受けながら、その少年のような美しい胸板をもみもみきゅっきゅと刺激し始めた。


「乳腺の場所はここですわね……強さはこれくらいですの?」

「んーと、もう少し強い方がいいですねー、コリコリッとこんな感じですー」

「んっ、あっ、はぅっ! わ、わかりましたわ……」


 などとやり始めたサーシャと巫女エルフちゃん。

 サーシャがあれこれ質問するたびに、巫女エルフちゃんがよどみなく答え、時には実技でもって指導していく。


「ん……っ、あ……っ」

 そのたびにサーシャはなんとも切ない声を上げていた。


「お、女の子同士の深夜の秘密のお触り会……俺は今、天国を覗き見ているのか!?」


 お人形さんのように整ったサーシャの顔は、立て続けに受けた刺激のせいで軽く上気していて、その表情と時おり漏れる切ない声が相まって、大変えっちな感じでありました!


「こ、これは悪くないですな……実に悪くないですな……にゅふふふ……」


 正直な話、俺はおっぱいは大きい方が圧倒的に好きなんだけど、小さなおっぱいを必死に育てようと努力する女の子の姿の、このなんと尊いことか……!

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