第501話 1000万ドルの眺め
「ナイア様、先ほどからなにをお
なおも、身に覚えがないと言わんばかりにナイアの追及を否定するクリスさんだったんだけど――、
「こう見えてアタイは人を見る目はあるつもりなんだ。もっと素直になりなよ? 何に遠慮してるんだい――ああ、そういうことか」
言って、ナイアはチラッとサーシャに視線を飛ばした。
「己の心を殺して主君に忠義を立てている、ってところかな?」
「申し訳ありません。ナイア様がなにをおっしゃっているのか分かりかねます」
「おっと? その返しはクリスの有能さを心底実感している相手には、全くの逆効果だよ? だってクリスが分かってないはずがないってことを、アタイは確信しているんだからね」
「……」
「ふむ、それも全部織り込み済みで、この場では知らぬ存ぜずを通すつもりなわけだ」
「ナイア様は買いかぶりが過ぎるというものでございますよ」
「――ま、そういうことにしておこうか。うん、これ以上は余計なおせっかいだね。ごめんねクリス、変に絡んじゃって。セーヤが無事に目覚めたことで気が緩んじゃったかな。ちょっと飲みすぎたみたいだ」
「どうぞお気になさらずに」
そう言ったクリスさんはいつものポーカーフェイスだったんだけど、どこかホッとしたように俺には見えた。
おやおやぁ?
珍しいなぁ?
あの完璧無比で無敵なクリスさんが、なんだかやり込めらている雰囲気だぞぉ?
ってことはつまりだ。
どうやらこの話題は鉄壁を誇る最強クールメイドさんの数少ない弱点っぽいな?
出会ってからずっといいようにあしらわれてきた俺の目の前に今、クリスさんの弱点が見え隠れしているのだ!
まさに千載一遇のチャンス――のはずなんだけど。
だがしかし!
くっ、そもそも二人はいったい何の話をしているんだ!?
俺にはそこがまず分からないんだ……っ!
多分、俺に関することで、サーシャとクリスさんの主従関係もかかわってくる話をしてたっぽいんだけど……そこがどうしても分からないんだよな。
もしもだよ?
もし仮にクリスさんが俺のことを好きだったとしたら、いわゆる三角関係な感じでつじつまが合わなくもないんだけれど、それだけは絶対にないだろうからなぁ。
だってクリスさんからは俺に対する好意的なものを全く感じないんだもの。
くぅ、あと一歩でクリスさんの弱点を解き明かせるというのに……!
こうなったら、どんなトリックも動機も一発で見破ってしまうミステリ系S級チート『犯人はお前だ』を使っちゃおうか?
あれなら――っていやいやだめだ、早まってはいけないぞ
アリッサも言っていたはずだ、アレは周囲で死人が出る可能性が極めて高くなるという、危険極まりない死神のようなチートなのだと。
もしこの宴会のさなかに使ってしまえば、この場所にいる女の子の内の誰かが命を落とす――だけでなく、状況的に高確率で加害者も身内から出ることになるだろう。
さすがにそんなリスクを負うべきじゃないよな。
現状かなりいい感じのセーヤくんモテモテハーレムを、自分から崩壊に導く必要はないわけで。
あと、だいぶ丸くなったとはいえ法の外に生きてる《
というわけでしゃーない、この件は諦めよう。
それにだ、今大切なのはこの素敵すぎるシチュエーションであるからして。
というのもだよ?
隣り合わせで座ってるとさ?
ナイアやクリスさんの豊満な膨らみがだね、身体にフィットした服の中でぎゅっと激しく自己主張しているのが間近に見れるんだよ!
これは実に良い眺望ですね……!
1000万ドルの眺めですよ!
特にナイアのノースリーブサマーニットは、身体の凹凸を激しくアピールしているうえに、脇乳というか横乳が見てくれと言わんばかりに「こんにちは」しているのだ。
肩が触れ合うような距離だから、ナイアがちょっと動いた時に俺の肘とか二の腕に、ナイアの
ふにっ――にゅふふふ。
ふにふにっ――にゅふふふふふ。
ふぅ、すごく柔らかいです……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます