第477話 突然の決着
急に無抵抗になったケンセーの、その完全無防備な小さな身体を――フルブーストされて振りぬかれた渾身の《
「はぇ――――?」
上がった間抜けな声は、クリティカルヒットを入れた側である俺の発したもので――。
「え、いや、ケンセー……?」
俺がそんな言葉を発した時には、もう既に強烈な一撃を受けたケンセーが文字通り吹っ飛んでいくところだった。
ケンセーの小さくて
「ちょ、おいケンセー!? なんで今、力を抜いたんだっ!」
唐突に訪れた予想外の結末に、俺は慌てて地面に転がったままのケンセーの元へと駆け寄った。
しかし――俺が近づいてもケンセーは倒れたままでピクリともしないのだ。
膝をついて《
それが完全に消えてしまう直前に――、
フォン――
『剣聖』がわずかな気配のブレを見せた。
……まったくよ。
「ああわかってるさ! 名前を勝手に使われたりでちょっとやりあってたけど、なんだかんだでおまえもケンセーのことが心配なんだよな。安心しろ、ケンセーをこのままになんてしやしないから――!」
まったく、どいつもこいつも心配性のお人よしなんだから――。
「おいケンセー大丈夫か! 返事をしてくれケンセー! おい、おい! ケンセー!」
俺は腕の中でいまだぐったりしたままのケンセーに、必死に声をかける。
「ケンセー、ケンセー! 傷は浅いぞしっかりしろ! なぁケンセーってば!」
抱きかかえた手で時おり軽く肩を叩きながら、目をつむったままのケンセーに俺は何度も何度も声をかけ続けた。
すると声をかけ続けること1分ほどで、
「ぅ……ん――――っ」
ケンセーのまぶたが弱弱しく開かれた。
「よかった、意識が戻ったか」
「ぁ、セーヤくんだ……」
「ああ俺だぞ」
言って、俺は安心させるようにニコッと笑ってみせる。
ケンセーが意識を取り戻したことに、俺はひとまずホッとしていた。
いきなり理由も分からないまま抵抗を止めたケンセーを、そのまま勢いあまって殺しちゃったとか――せっかく心の底から分かりあえたところだったのに、さすがにそれはないってなもんだろう。
「セーヤくんにぎゅってされてる……えへっ、もっとして?」
「ああ、こんなことくらいいくらでもしてやるぞ」
「ありがと、セーヤくん……大好き……」
俺は少しの間、子猫のように甘えてくるケンセーを優しく抱きかかえてから、
「――それでその、痛いとこはないのか?」
意を決してそう切り出した。
「痛い……? そーだね、痛いって言ったら身体中が痛いかな。【全チートフル装備】の負荷が今一気にきてるのと、最後にすっごくいいのもらっちゃったからね」
「それだよ! ケンセー、おまえなんで急に力を抜いたんだよ?」
あの段階ではケンセーには、戦う余力がまだまだ十分にあったはずだ。
スポコン漫画のライバル対決かよってくらいに、お互い気持ちいいほどに全力をぶつけ合っていて。
だっていうのに、
「なんで突然、こんな試合放棄みたいな真似をしたんだよ――」
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