第435話 ズバリ! ラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』だ!

「ケンセーの正体はズバリ! ラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』だ! どうだ!」


 『ただしイケメンに限る』を使用した時のあのキラキラのオーラと、ケンセーの放つピンク色の可愛いオーラ。

 この2つはとても良く似通っているように俺は感じていた。


 加えて2年S組で擬人化したチートっ子たちは、みんな俺が一度は使用したことがあるS級チートだった。

 だっていうのに、あれだけ使いまくってた『ただしイケメンに限る』だけが擬人化してないなんて、さすがにおかしいじゃないか?


 ケンセー=『ただしイケメンに限る』。

 俺はかなりの自信と確信をもって、その推理を突き付けたんだけど、


「うーん、残念! 50点!」

 だったらしい。


「え……? あれ……?」


 お、おかしいな?

 完璧な推理だと思ったんだけど、なにか見落としでもあったかな?


 っていうかまたもや自信満々にどや顔――からの不正解で、ちょっと恥ずかしいんだけど!?

 すぐ調子に乗るってさっき言われたばっかなのに、ほんとまったく進歩してないな俺!


「50点って言うか……そうだね。半分正解、半分不正解ってとこかな。差し引きして50点」


「……? 半分正解で半分不正解? なんだそりゃ? どういう意味だよ?」


 この問題はケンセーが実はどのチートなのか。

 だからYesかNo、部分点なし、当たりか外れの二者択一のはずだ。

 なのになんでそんな中途半端な答えなんだ?


「では悩めるセーヤくんに種明かしをしましょう」

 ケンセーはそこで決意を確かめるように一瞬、軽いタメを作ると、


「私はラブコメ系S級チート『可愛いは正義』なんだ」

 はっきりとした口調でそう告げたのだった。 


「『可愛いは正義』……? ってあれだよな、確か『ただしイケメンに限る』の女の子版、だったよな?」


 イケメンなら大抵のことが笑って許してもらえるように、可愛い女の子も大抵のことは笑って許してもらえるという、ラブコメ系の頂点に君臨するS級チートの一つだ。


 アリッサから異世界転生の説明を受けた時に、デンタブ(チート検索電子タブレット)でちらっと調べた記憶があった。


 女の子限定で使えるチートなので、もちろん男の俺は使うことはできないんだけれど。


「……でもどうして『可愛いは正義』が擬人化したんだ? 当たり前だけど俺は一度も使ったことがないよな?」


 俺とは縁もゆかりもないチートがなぜ擬人化したのか。

 そして半分正解・半分不正解という言葉の意味。


 正解を教えてもらったはずなのに、逆に分からないことが増えちゃった今日この頃。


「うーんとね、そもそもの話として『可愛いは正義』は『ただしイケメンに限る』と表裏一体のチートなの」


「表裏一体?」


「同じ一つの元となるチートが、使用者が男の子だと『ただしイケメンに限る』になって、女の子だと『可愛いは正義』に分化するんだよ」


「あ、そういう仕様だったのか」

 なかなかよく考えられてるな。


 ……いや待て。

 チート数の水増し疑惑がある異世界転生局のことだ。

 「1つのチートが2つになったよ! しかもS級チート! ラッキー!」とかそういう魂胆が見え隠れしなくもない。


 まぁそれはここで考えても仕方ないことなんで、とりあえず横に置いておいておこう。

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