第378話 《神滅覇王》vs《魔神》

「ったく、《ヤマタノオロチ》はSS級の『固有神聖』だぞ? それをそっくりコピーするとかどこまで規格外なんだよ」


 トワ=《スサノオ》が、量子コンピューターの演算で『剣聖』の動作をコピーしてみせたのとは、わけが違うんだぞ。

 いやアレはアレで驚きはしたんだけど。


「こんの理不尽SSS級めが、こんちくしょぉぉぉぉぉっっっっ!!」


 黄金の粒子を噴き出す《天地開闢セシ神竜ヨリ産マレシ黄金神剣クサナギノツルギ》と、


「ヒヒッ、殺す、《神滅覇王しんめつはおう》は殺す!」


 身の毛もよだつ不吉なオーラを漂よわせる《絶望ニ染メヌカレシ闇紅ノ魔神剣グリムヴェル》が真っ向からぶつかり合う――!


 パン――!

 ボン――!

 バン――!


 両者が切り結ぶたびに、耳をつんざく破裂音が鳴り響く――!


 ともに必滅の破壊力が込められた両極の必殺剣は、ぶつかり合うたびに干渉しあい小規模な爆発を発生させているのだ。


 だが俺も《魔神》も、そんなものは意にも介しはしなかった。


「だりゃぁぁぁあああっっっっ!!!!」

「イヒヒヒヒヒヒヒヒっっっっ!!!!」


 互いに互いをねじ伏せようと、次々と巻き起こる爆発の中で、激しく、苛烈に、激烈に、切り結んでゆく――!


 しかし戦いは互角の様相――にはなりはしなかった。


「くっそ、SS級とSSS級。同じことをやるときついのは、格下のこっちだよな……!」


 俺が必死のパッチで戦っているのに対して、《魔神》にはまだ幾分か余裕が見てとれる。


 逆に俺は100メートル走でもやってんのかってレベルで、全力を出し切って戦っていて――ぶっちゃけ、バテはじめていた。


 そりゃあそうだろう。

 一撃一撃が《天地開闢セシ創世ノ黄金剣アマノヌホコ》と同クラスっていうのはつまり、全力全開の超奥義を常時発動しているようなものなのだから。


 戦い始めてからずっと、《天照アマテラス》は限界を超えて回り続けている。


 長時間戦うのはどうやっても無理だ。

 どうにかして短期決戦でカタをつけるしかない……!


「本来は速攻で決めるための《天地開闢セシ神竜ヨリ産マレシ黄金神剣クサナギノツルギ》だったんだけどな……」


 まさかそっくりそのまま、コピーして返されるとは正直思ってもみなかった。


「おい《天地開闢セシ神竜ヨリ産マレシ黄金神剣クサナギノツルギ》! あんなパチモンに本家が負けんじゃねぇぞ! しょせん猿真似の劣化コピーだ! 《絶望ニ染メヌカレシ闇紅ノ魔神剣グリムヴェル》ごと《魔神》を叩っ斬ってみせろ!」


 そう発破をかけるものの、そうは簡単でないことは俺自身が一番理解している。

 気合だけでSS級とSSS級という格の違いが越えられたら、最初から苦労はしないもんな。


 階級クラスが違うとそれだけで全くの別世界ってくらいに違うのは、各種チートを様々に使って時に無双し、時にSS級に無理ゲーされてきた俺が一番よくわかっている。


「それでも、ティモテの命がかかってるんだ! ティモテの笑顔がかかってるんだ!」


 あんな泣き顔を見せられて、ここでやらなきゃ男がすたる!


「――あと俺の勝利を信じてやまない女の子たちが見ているんだ。女の子たちが見ているんだ! 大事なことだから2回言ったけど……ティモテのため、俺がいい格好するためにも、SSS級の《魔神》をブッ倒すんだ! 根性みせてくれよ、相棒――!」


 俺の決意を受け、暴走寸前のギリギリで燃え盛っている《天照アマテラス》が、さらにさらにと燃え誇ってゆく――!


 それを受けた《天地開闢セシ神竜ヨリ産マレシ黄金神剣クサナギノツルギ》も、さらにいっそう輝きを増していき――!


「おおおおおぉぉぉぉぉっっっ!!」

「ヒヒ……ッ、《神滅覇王しんめつはおう》、殺す!」


 ――攻防も、さらに激しさを増してゆく!


 爆発音が連続し、《神滅覇王しんめつはおう》と《魔神》、二つの力が荒れ狂う――!

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