第222話 目隠し鬼ごっこ(せまりくる、きょうい)

「はおーさま、こっちこっちー」


「お、こっちか~?」


 完全に視界が封じられた状態で、聴覚だけを頼りに俺は巫女エルフちゃんたちを追いかけてゆく。


「むむっ? ……そこだっ!」


 意を決して伸ばした両手はしかし――、


「あ、おしー。でもざーんねん、こっちなのでした~」

 少し離れたところから聞こえる巫女エルフちゃんの声。


「くそー、今のは絶対タッチしたと思ったんだけどなぁ」


 ……なにをしているかというと「目隠し鬼ごっこ」をしているのだった。


 「目隠し鬼ごっこ」をするのも小学校時代以来のことで、椅子取りゲームと同じく子供のお遊戯だと思ってたんだけど――、


「鬼さんこちらー」


「おっと、そこに黒髪エルフお姉さんの声……! おりゃっ!」

 急な方向転換ステップから伸ばした両の手が、


 むにゅりっ!


 あ、黒髪エルフちゃんの柔らかいものをぐわしっと揉み掴んじゃった、てへへっ。


「あーん、タッチされちゃったー」

 そう、これまたとってもアダルトなイケナイ遊びだったのだ……!!!!


 見えないんだから、おっぱいにタッチしちゃっても過失だよねっ!


 むにゅむにゅっ!


「ほれほれどーだ、タッチしちゃったぞー?」


 むにゅむにゅっ!


「もう、そんななんどもタッチして、覇王様ったらえっちー」


「ごめんごめん、でも視界が奪われていると不安感があるというかさ。手に触れてるものをなんとなく触り続けていたくなるんだよな~。不可抗力っていうの?」


 これは真実2割、不誠実8割と言ったところだったんだけれど、


「あ、嫌じゃないんだよぉ? 覇王様の不安な心を癒してあげるのも、巫女エルフサポート部隊の大事なご奉仕だしー?」


 なんて言って、にっこり笑って許してくれるのだ。


「もう、はおーさま! まだクレアがのこってるんだからねー」

「おっとそうだったそうだった。よーし俺すぐ行くからな~? にゅふふ、タッチしちゃうぞ~」


「はおーさま、こーちらー。手のなるほーへー」


 ヤバいな。

 楽しい、楽しすぎるぞパワー回復プログラム!


 回復するためにも、もっともっといっぱい色んなことやって、いっぱいいっぱい女の子たちときゃっきゃうふふしないとな!


「ひゃっほぅ! やっぱりエルフ村は最高だぜ! 可愛い女の子がいっぱいで、しかもえっちに優しく尽くしてご奉仕してくれるときたもんだ。いやー、しばらくここにいるのも悪くない気がするなぁ――」


主様ぬしさま、実に楽しそうで何よりじゃの」


「そうなんだよ。巫女エルフちゃんたちみんなご奉仕精神にあふれてて、もう俺うはうはでさ――ん?」


 あれ……なんだろう、空耳かな……?

 今なんか《神焉竜しんえんりゅう》の声が聞こえたような……?


「ほぅ、それは良かったのじゃ。主様ぬしさまの喜びは、すなわちわらわの喜びでもあるからのぅ?」


 ははっ、そんなまさかな――。


 だってエルフ村に《神焉竜しんえんりゅう》がいるはずがないもんな――?

 いるはず、ないもんな……??

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