第207話 《世界劫末セシ封印ノ黄金剣》vs《収束荷電粒子砲》

「世界よ、劫末じろ――、《世界劫末セシ封印ノ黄金剣アマノサカホコ》!!」


 俺は《ヤマタノオロチ》によって生み出された新しき黄金剣を、


「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉ――――っっっ!!」

 トワ=《スサノオ》の放った《収束荷電粒子砲ハイパーメガ・パーティカル・カノン》へと片手突きで突き立てた――!


 荷電粒子砲の数十倍の威力を誇るトワ=《スサノオ》の《収束荷電粒子砲ハイパーメガ・パーティカル・カノン》は――、


「くぁ――っ、荷電粒子が、打ち消されていく――」

 しかし《世界劫末セシ封印ノ黄金剣アマノサカホコ》に触れた傍から消滅していく――!


 《収束荷電粒子砲ハイパーメガ・パーティカル・カノン》をものともしない黄金の大太刀による一突きは、


「まだまだぁっ――!」


 膨大な荷電粒子を完全に平らげてみせると、そのままバスターキャノン荷電粒子砲を粉々に粉砕して――、


「あぅ――――っ」


 最後にトワ=《スサノオ》の腰部へと到達、その装甲を豆腐のように軽々と貫くと、深々と突き刺さった――!


 ガクン、と動きが止まり、貫かれた腰部から激しく火花を散らしてトワ=《スサノオ》が文字通り腰砕けに崩れ落ちていく。


「フュージョン・リアクターを……核融合炉をピンポイントで――」

「ま、狙い通りってやつだ」


 《スサノオ》の腰部に動力をつかさどる超小型の常温核融合炉があることは、《神滅覇王しんめつはおう》によって超絶強化された知覚系S級チート『龍眼』が見抜いていた。


 ピシッ、パシッと、腰部だけでなくいたるところから火花を散らしはじめ、しかしピクリとも動かなくなったトワ=《スサノオ》の胸の装甲を、


「おりゃ――っ!」

 俺は《草薙くさなぎつるぎ》を一閃してたたき斬った。

 

 その中にはもちろんトワがいて――。


「ぁ――っ」

 膝を抱えて丸まったコンパクトな姿で《スサノオ》に収まっていたトワを、


「よっこらせっと――」

 俺はお姫様だっこで抱きかかえて、引っ張りっ出したのだった――。


 お姫様だっこをしたことで、いつものようにラブコメ系A級チート『お姫様だっこ』が発動して、急に胸キュンさせられたトワが照れたようにぷいっと顔をそむけてしまう。


 既に《スサノオ》は完全に機能を停止していて、加えてトワ自身も敗北を認めたからだろう。

 顔をそむけはしたものの、トワからはわずかの抵抗もありはしなかった。


「ったく、世話を焼かせやがって」

 俺は抱っこしてたトワを一度ぎゅっと強く抱きしめた。

 それから優しく地面に下ろすと、トワと目線を合わせて話すためにしゃがみ込んだ。


「よ、さっきぶりだな。どうだ、見たか。俺の勝ちだぞトワ」

「その……ようですね」


 まるで楽しく遊んだあとのように俺はなごやかに、そしてちょっと自慢げに話かけたのだった。


 幼女相手にも己の強さと勝ちを誇ってみせる。

 《神滅覇王しんめつはおう》のそう言う無邪気なところ、俺は案外嫌いじゃないよ?


「まったく、お前って奴は素直で落ち着いてて手間がかからなそうでいて、意外と世話のかかる甘えたちゃんだったんだな。ま、甘えんぼは嫌いじゃないけどな」


「……そんなレベルの話ではなかったはずですが……少なくともハヅキの持っていた結晶がなければこの戦いは私の勝ちでした。奇跡的な偶然がなければ、あなたは死んでいたはずです」


「でも俺は生きているだろ? つまりはそういうことさ。奇跡的な偶然? それを引き寄せてみせるのが《神滅覇王しんめつはおう》の《神滅覇王しんめつはおう》たる由縁さ。世の中結果が全て、つまりなんの問題もない!」


「……やはり《神滅覇王しんめつはおう》は理不尽です、理不尽のかたまりです。理不尽で、勝手で、どうしようもなく傲慢で――」


「そうさ。自分がやりたいことをやる、自分を押して通すのが《神滅覇王しんめつはおう》だからな。だから俺は目の前に困っている女の子がいたら手を差し伸べる。俺の勝手でな――」


「……本当に《神滅覇王しんめつはおう》は理不尽です……どうしようもなく傲慢で……そして、そして……究極のおせっかい焼きです……」


 そう言ったトワの表情は、憑き物が落ちたようにさっぱりとしていた。


「ありがとう。それは俺にとって最高の褒め言葉だよ」

 ――なんてカッコつけまくりなセリフをさらっと言っちゃう俺ってば、なんていうのかな、ハーレム主人公が板についてきたんじゃないかな?


「ふふん、これは俺のモテモテハーレム異世界生活の未来も前途洋々、明るいな!」

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