第33話 閃光のナイア 3
ある重大な一点、それはつまり――
「二つ名……二つ名だと……?」
二つ名……セカンドネーム……いやセカンドネームは下の名前って意味だったっけ……?
まぁそれはいいよ。
とにかく二つ名とは、異名とか通り名とも呼ばれる、全ての男子がその言葉の響きに心を震わせるアレである。
しかも《閃光のナイア》ときたもんだ。
閃光とは一瞬に
俺は、俺は二つ名なんて素敵な響きのするものは持っていない……そんなキラキラした人生とは、残念ながらまったくの無縁だった……!
「くっ、悔しいがこの勝負、俺の
全チートフル装備で異世界転生して初めて、俺は敗北の二文字を味わわされたのだった。
「――いいだろう、ひとまずはお前の勝ちということにしておいてやる。だが覚えておけ、ナイア。いつか俺はお前という高い壁を超えてみせる――絶対の絶対の絶対にだ!」
「いや、セーヤ、急にどうしたんだ……?」
「セーヤさん……?」
「これは、これは男のプライドをかけた戦いなんだよ――!」
わけがわからないよ、と言った顔をする二人に、俺はそう高らかに宣言したのだった。
見とけ、いつか俺も《閃光のナイア》に負けないくらいの超カッコいい二つ名を手に入れてみせるからな……!
俺はこの日、心に固く誓ったのだった。
「ま、世間話はこれくらいにして、だ。改めて、今回の一件でセーヤには借りができちゃったな」
「借り、っていうと?」
今さっき初めて会ったばかりなのに、何かしたっけか?
「アタイらの代わりに妖魔の群れを壊滅させてくれたんだ。奇跡的に死者だって出なかった。感謝するよ、セーヤ」
「それなら感謝なんて必要ないさ。俺はただ、俺と俺の周りに降りかかる火の粉を振り払っただけだ。女の子に――ウヅキに嫌なことするやつは、たとえ誰が相手だろうと許しはしない」
「はわっ、セーヤさん……嬉しいです、えへへ」
ウヅキがてれりこてれりこしていた。
モテ系最強のラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』は本日も絶好調である。
「ハヅキは……」
俺の背中からぴょこっと頭だけ出したハヅキが、不安そうに見上げながら聞いてくるので、
「もちろんハヅキだってそうだぞ、ハヅキに嫌なことする奴は俺が出てって全部やっつけてやるから、安心していいぞ」
頭をなでなでしてあげると、
「うん、あんしん……」
ハヅキはくすぐったそうに目を細めたのだった。
「おうおう、言うねぇ。でもセーヤにとってはそうだろうけど、アタイらにとっては借りなのさ。アタイらのやるべき仕事を、先にこれでもかってくらいに完璧にこなされちまったんだからね。改めて恩に着るよ、セーヤ」
そう言って片眼を閉じてウインクするナイアは、それはもう文句なしに魅力的だった。
なんせエロ装備だし。
なんせエロ装備だし。
大事なことなので2回言いました。
いやだってこれ見るでしょ?
見ちゃうでしょ?
太ももむき出しのミニスカアーマーに、胸元をちょっと覆うだけで谷間くっきりのなんちゃってブレストプレート。
小手とか肩は申し分程度にちょこっとだけ装甲が付いていて、全体的に肌色面積広すぎなんですけど!?
「ご、ごくり……」
しかもさ、そんな恰好で馬にまたがってるんだよ?
ビキニアーマーなミニスカートで馬にまたがったらどうなるか知ってる!?
知らないよね?
俺も今、初めて知ったさ!
目の前にむき出しの太ももがあって、ミニスカートが全然仕事してなくて!
その奥の太ももの付け根辺りまで、ガッツリくっきり見えちゃってるんですけど!?
なにこのシチュエーション、神か!
……などという心の声は、決して表情に出しはしない。
ここは格好良くクールに振る舞うのだ……モテるために!
口にさえ出さなければ、たいていのことはラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』が何とかしてくれるからな。
「そうそう、アタイらはしばらくは、ここから10キロ北の城塞都市――ディリンデンの街に滞在してるから、何かあったら遠慮なく尋ねてくれて構わないよ。なんでも――は無理だけど、できることなら最大限の力を貸そう」
「色々とすごい、すごすぎるぜ異世界…………ごくり」
「セーヤ?」
「セーヤさん?」
「……えっ!? あっ! うんそうだな! ありがとうナイア! もし何かあったらその時は遠慮なく頼みにいくよ!」
「セーヤさんいきなりどうしたんですか……?」
「な、なんでもない、なんでもないんだ! なんでもないったら何でもないんだ!」
あぶねぇ……今完全に心の声が漏れ出ていたぞ……
どうにか取り
ナイアはいいんだ、どうせ全部ばれてるのはわかっているから。
まぁナイアに限っては、そういうところも全部込みで、
「さて、話してるうちにやっと後続が到着したみたいだな」
見ると、ナイアと同じ白と銀のえっちな聖処女騎士甲冑に身を包んだ美少女騎士たちが、新たに10騎、ナイアの元へと到着して美しく整列する。
一糸乱れぬその姿は神々しくもあり――あとはまぁエロかった。うん。
「よし、全員そろったね。アタイらはこれから埋葬を手伝うよ。2人ずつで班を組んでちゃっちゃと終わらせよう。おっと、セーヤたちはゆっくりしててくれないと困るからね? なにせこれ以上の借りを作るわけにはいかないからね」
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