青少年、オタクに騙される。
青
第1話 はじめまして
はじめまして。
これが、50213通目です。この手紙をひろったあなたには、特別な賞金を差し上げます。
この街のどこかに隠れている わたしのアジトに招待します。さぁ、よろこんで!
まだ誰も入ったことのない夢の世界の扉を開けに、こいよ!
あっ、ここに付いている鍵は、夢の世界への扉の鍵です。なくさないで
それから、アジトに来る前にあなたを試す最終チェックをします!よろこんでるー?
この「」の場所に行き、私とコンタクトを取りなさい。
「煙が出た日に登ってその煙を見た。僕は明日に、学校をやめようかな。」
鼻から変な笑いがでた。
封印は朝、急いで家を出た時、目の前を猛、スピードで通り過ぎた自転車を慌てて避け、その時に学生ズボンポケットに入れていた昼食の500円玉が転がり その500円玉を追いかけていたら 目の前を大型のダンプが通り過ぎ、500円を無残にも見失って愕然としていたのだ。
そして封印が顔を上げたと同時に空からこの鍵をセロハンテープで貼っつけた紙切れが、くらりと風船と共に、ちょうど封印の目の前にゆっくりと降りてきた。
自然に掴んだ。まるで小さい頃、デパートの入り口で、着ぐるみをつけたうさぎのキャラクターに 前の人の後に、順番に。自然に。順番に。
しかし、封印がバスに揺られながら読んだこの手紙はどうやら状況が違った。50213通目でようやく誰かの手に届いた風が見受けられる。覚えられる数字ではない。 どうせ、暇な中学生のいたずらか、小学生の風船ごっこだろう。
封印は、この白い紙を四角に畳み学生カバンの卒業するまで、使うことのなかったであろうチャックの付いた所にこれを封印した。
「世田高校前 世田高校前」
でも、この鍵の持ち主は困ってないかな。探したほうがいいんじゃないだろうか。
高校前に付いたバスを降り、校門をくぐり抜け歩く。
せめて、交番に届けたほうがいいのだろうか。
そんなことを考えながら、教室までの階段を登る。
なんだっけ。
もう一度、封印した手紙を取り出す。
「煙が出た日に登ってその煙を見た。僕は明日に、学校をやめようかな。」
ふーん。凝ってるなぁ。
手紙を再び封印し、教室の戸を開けたときに早川が飛びついてきた。
「おい、昨日教えたゲームやったか?」
教室に入って早々、早川のゲーム話だ。
こいつはほんとに気になるゲームがあるとすぐに俺に教えて、俺がゲームの攻略をする前に答えを話す。まったく、一度だけでも自分でといてみたかったよ。と思うも、そこまで熱心にゲームをしない俺だ。ここまでの熱意がおれにあるのかも、信憑性にかける。
無論、昨日早川が教えてくれたゲームもまだ手付かず、ダウンロードすら完了していなかった。
「今日はやろうと思ってる」と言いかけた時に、後ろから凄い剣幕で歩いてくる奴の気配を察した。
「お前、今アームIの話してた???」
話しかけてきたのは矢崎、同じくクラスメイト。封印は、あくびをしながらイスをガラガラと引いて、座り込んだ。12月の頭。教室でもマフラーをして居たいぐらいだ。
「アレって女子高生が作ったゲームだろ!?」
矢崎と早川の最新情報交換が始まっている。
「なんか、コレ作ったやつ引きこもりらしいよ」
「いや、超絶っっ、美女。って話だぜ」
「夜の二時にしか外に出ないらしい」
「防波堤に現れるんだろ!?」
もはや、最新情報でもなく怪談話なのかうわさ話なのかわからない内容だ。
キーンコーンカーンコーン。
キンコンカンコンの合図で皆が一斉に散り始めた。
「また後でなっ」
女子高生が作ったゲームなのか。同世代にゲームが作れるなんて。親か何かが関係者なのか、それとも独学?
独学だとしたら、秀才に違いないな。
そんなことを考えながら 窓の外を見る。
「煙が出た日に登ってその煙を見た。僕は明日に、学校をやめようかな。」
この事を、今日一日かけて考えよう。
なんせ、授業中はやる事もなく俺がはじめて手がける攻略だ。
しかも、現場主義とゆうか実際にはこの街が舞台。
ふと、窓ガラスに写った封印が自分の笑顔に気づき、机の上にうつ伏せた。
なんせ、あの無理に頑張ったなぞキャラ風に手紙を書いている奴の素顔も気になった。
なんとなく、その超絶美少女って奴なんじゃないか。なんて。都合勝手なたまたま居合わせた二人が結婚しました。的な。話を。
期待しちゃいました。
昨日徹夜でみた映画も混ざったような思考でフワッと眠気がおしよせる。
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