つまらない日々を変える軍
@sou_rashi
0章一話
白石蒼汰、17歳。2004年生まれで、誕生日は7/15。
趣味は特に。
特技は他人の気持ちを考えること。
今日から日記をつけようと思う。最近楽しいことが何もないし、毎日暇だったから少しでも毎日に楽しみを作れるようにね。
2021/6/6
懐かしいな。
あの日、チラシ配りの不審者にあってから、全く更新されてないその日記を見て、自然と笑いが込み上げてくる。
二日目以降白紙の日記帳。誕生日にお母さんに要求して買って貰ったそれは窓から入る夕焼けのオレンジ色に包まれ、それでも寂しそうにしていた。
「ただいま」
寂しくて、そう口に出してみるがもちろん返事などない。
なんとなく思い付き、日記帳のメモページを開いて机の上に転がっていたペンを走らせる。
──。
ざっとこんなものか。最後に、できるだけの微笑みをその手帳に込めて閉じ、部屋を後にした。
ばいばい。
──────────────────────────────
久しぶり。二年ぶりの日記だね。
あれから二年、本当に二年たってしまった。
あっという間だった気もするし、途方のない時間を過ごしてきたような気もする。
あんな思い付きがまさかここまで来るなんて、あのときの僕らは知るよしも無かったんだ。
でも、この経験を通してわかったことがひとつ。
色んなことを真に理解できるのは、全て終わったあとだってこと。
後悔の意味、大切なもの。
失ったものの大きさや幸福の意味さえも全て、その時に理解するのは無理だ。
全て終わった今、僕はそれらの意味を理解したんだよ。
おっと、もう時間がないね。そろそろここで。
最後に、君がもしこの日記帳を見つけたら僕と同じ過ちはおかさないでほしい。
これから僕は、この記憶と引き換えに世界を救いにいく。いや、違うね。
僕はこれから、この世界を白紙に戻すんだ。正確には、僕らがおかした過ちを。
リセットには百日かかるらしいんだけど、それくらいはみんな我慢してくれるよね。百日たてば、あの日、2021年6月6日に戻れるんだから。
だから君には、できるだけはやくこの日記帳を見つけてほしい。せめて、季節外れの大雪が降ったあの日までには。
多分これは何度も繰り返されている。これが何回目かは分からないけど、みんなこの日記には最後になるまで気づけなかったみたいだ。でも今度こそ君には、気づいてほしい。じゃなければ、また同じ悲劇を繰り返すことになってしまうから。
こんな酷いことが何度も起こるなんて、僕も、君も耐えられないだろう?
それじゃあ、行ってくるよ。二人をよろしく。
2023/12/30
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