『この人生は前世に犯した罪の償いなのか』
いとり
『この人生は前世に犯した罪の償いなのか』
私は、とてつもない罪を犯したのであろう。
故に、償いとして……私は今、地獄の中にいる。
地獄と形容していい現実に、私はいる。
犯した罪とは何なのか。
答えの無い疑問に無駄な思考を巡らせる。
自分ですら知らない事を、他者に問う事は無意味でしかない。
しかし、私は問う事を止める事が出来なかった。
明確な理由が欲しかったから。
私に罪があるのならば、甘んじて罰を受け入れよう。
本当に罪があるのならば。
これが断罪でないとするなら、私にとってこの人生はあまりにも辛すぎる。
自分の犯した罪は何一つ分からないまま、私は歩み続ける。
与えられる無情の日々を、私は従い続ける。
許される罪かどうかも知らぬまま。
私の命で罪が償えるのなら、私は喜んで差し出そう。
それで許されるというのなら。
歩んで来た道を振り返り、見えたものは何もない。
生きる理由とは何なのかと、私は嘆く。
見えぬ物がそこにはあるのだと信じ、償いの人生だと言い聞かせ自我を保つ。
そうしなければ、私は疾うに朽ちているだろう。
《罪を犯した者は、自らで罪を償わなければならない》
《犯した罪を償うには、犯した罪を知っていなければならない》
《犯した罪を償い終えるまで其者は償い続けなければならない》
《死は償いの代償として扱ってはくれない》
私はあと何度 償いをしなければいけないのだろう。
『この人生は前世に犯した罪の償いなのか』 いとり @tobenaitori
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