異端の魔女と生贄

壱闇 噤

第壱話 『その森は』

薄暗い森の中。人気のないその場所は近所では有名な場所だった。


『魔女の森』


魔女が棲む森としてその場所は忌避されている場所。

その場所にある年だけ、生贄が捧げられる。

魔女の怒りを買わない為に。

魔女に捧げる生贄にはきちんと生贄たる教育が施される。

魔女に何をされても抵抗しないように。魔女を怒らせないように。魔女の機嫌を損ねないように。そうして今まで何人もの生贄が魔女に捧げられた。

そしてまた今年も―――一人の子供が捧げられた。

魔女はその子供を見て一言、呟いた。


「―――…」


その呟きは聞こえず、風に溶け消え気が付いた時には子供も魔女もその場所には居なかった―――…。

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