第二話 オワイ島

「やっとだな。つい棲家すみかが見つかって良かったなあ、エリザベート」


 小さな板張りの質素な部屋のどこからか声がする。

 

 部屋には少女と犬しかいないというのにどうしたことだろう。

 その声は少々野太いおじさんの声だった。


「エリザベートって呼ばないで。今はカトリーヌよ。ジス」 


「ほいほい。了解」


 波の音がせわしなく。

 しかし打ち寄せる波は穏やかで。


 オワイ島の穏やかな風が、小さな農園の横の小さな家にも優しく吹いて心地よい。


 小さなカニが浜から歩いて小さな家の壁に体がコツコツ当たっては、方向転換している。

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