腐女子薔薇色生活

橘 蒼

第1話 出会い、

高校二年の初日、桜並木が広がる窓の傍で、私たちは今日も薔薇色の生活を続ける。「あのアニメ見た?」

「うん、見たよ!あの時の攻め方ストライクなんだけど!」

「分かる!でも違う方軽く地雷かも…」

 私、立原蒼は腐女子だ。そして、一緒に話している木村日菜も。私たちは中学の時、あるきっかけから意気投合。そこから今のような本当の意味とは違う腐れ縁が 成立した。高校に入った今でもその関係と性質は変わらず。今日も、BLアニメの感想を語り合っていた。

「あ、あの、すいません…」

突然話しかけてきたのは、肩より少し上のボブと黒縁フレームの眼鏡が良く似合う、一見静かそうなかわいい子。教室内の人数も増えてきたので、比例して騒音も大きくなる。口を動かしているのは分かったが、私も日菜も読唇術など使えないので困ってしまう。何度か同じことを話したらしい。数回目かでやっと聞き取れると、それは禁断の質問だった。

「攻めの対義語って、何だと思いますか?」




本当に0コンマ数秒かの間をおいて、

「「受け」」

私たちは即答する。すると彼女は少しづつ口角を上げ、






「ですよね!」

目を輝かせた。


それが私たちの出会いだ。

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