近未来タイプのクズ男
お題:「近未来」「クズ」「シュールギャグ」
――時は近未来。科学技術の急速な発展により、人類は飛躍的な進歩を遂げていた。
通勤には電車ではなく、時空間転移装置で向かう。さらに、携帯電話の代わりに各個人専用のナビゲーションシステムがあり、わからないことは全てナビがやってくれるのだ。
――そんな時代に憤りを感じていた男が一人。
彼の名はAくん。Aくんは科学の進歩が生み出した近未来社会を怨み、憎んでさえいた。それはまるで、体中の毛が恐ろしさに総毛立つほどの憤りであった。
一体なぜ、彼はそれほどまでに近未来社会を憎んでいるのか?
一つ言っておこう。Aくんは自他ともに認める根っからのクズ野郎である。
かつてはベタに存在していたシチュエーションが、現在の近未来社会では幻の産物になってしまった。
突風によってスカートがめくれ、舞い散る木の葉の中で一瞬、ほんの一瞬だけ見えるぱんつ。そんな――少年のロマンとも言えるベタな光景が見られることはもう、ないのである。
その手のマンガやアニメが大好きなAくんは悔しくて、悔しくてたまらなかった。
こうして、Aくんは前代未聞なクズ作戦を思いつくに至ったのである。
作戦決行日、Aくんは意中の女の子Sさんの玄関前で待ち伏せをする。彼は事前に断電離システムをハッキングし、Sさん家の時空間転移装置を乗っ取っていた。未来社会では、日常のほとんどがフルオートメーション化されており、座標をセットしてドアから出るだけで、設定した目的地へワープ移動できるのである。
しかし、AくんがS家の電子コントロールシステムをダウンさせてしまったため、ワープシステムは作動しない、普通のドアとなっている。
そして、何も知らずに出てきたSさんのぱんつを……という作戦である。もはや立派な犯罪行為であり、言い訳のしようがない。もう一度言おう。Aくんはクズ野郎である。
さて目論見通り、Sさん家のドアが開いた。
待ってました! とばかりにAくんは風発生装置を起動させる。本来はこんな使い方はしない機械だが、クズだから仕方ない。
突風が起こり、やって来た人物のスカートをめくる。
そして、Aくんは愕然とした。
めくれ上がったスカートの中にあったのは黄ばんだブリーフぱんつ。
出てきたのはSさん家のお父さん。彼が女装趣味であることをAくんは知らなかった。ちなみにSさんのお父さんは少し興奮していたらしい。理由は……私にもわからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます