第1781話、わたくし、『響け!ユーフ◯ニアム』は、是非とも原作も読むべきと断言しますの☆(その10)

ちょい悪令嬢「──うおいっ⁉ ホンマかよ!」




メリーさん太「……何だ、毎度毎度冒頭いきなり奇声を発して。しかも今回は『関西弁』かよ?」




ちょい悪令嬢「……メリーはん、そんなことを言っている場合じゃ、ないどすえ⁉」


メリーさん太「そんなベタでわざとらしい『京都弁(?)』で話すやつなんて、いないよ」


ちょい悪令嬢「いいからこの本の、このページを読んでくださいまし!」


メリーさん太「もはや『関西弁』でも何でも無くなってきたな? 本当にうちの作者って、京都に住んでいたのか?……………どれどれ、何だこれ、『響け!ユーフ○ニアム』原作小説版の短編集『北○治高校吹奏楽部のホントの話』で、映画化もされた『アンサ○ブルコンテスト』の該当ページじゃ無いか?」


ちょい悪令嬢「そうです! 特にこの台詞に注目してください!」


メリーさん太「……なになに、『少なくとも、私はいいと感じましたよ。多くの部員に配慮した、優れた案だと思います』──って、ああ、タ○先生が、『アンサ○ブルコンテスト』に出場するメンバーの選出方法を、黄○新部長を始めとする、新生幹部三人衆に尋ねているシーンじゃ無いか? それにしても、原作もアニメそのまんまだったのか」


ちょい悪令嬢「確かに『内容』はほぼ同様ですが、問題は話している『相手』なのです!」


メリーさん太「『相手』って、そりゃあまさにその『優れた案』の発案者である、黄○新部長だろ?………………って、違うじゃん⁉」




ちょい悪令嬢「そうなんですよ、何と原作版においては、タ○先生は高坂麗○ちゃんに対して、この台詞を言っていたのです」




メリーさん太「──おいおいおいおい、嘘だろ⁉ それじゃいくら話す内容が完全に同じでも、意味合いがまったく違ってくるだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「相手が黄○ちゃんなら、『部長としての彼女の成長』を象徴した台詞になるのに対して、相手が麗○ちゃんなら、『愛するタ○先生に自分の意見を褒めてもらって、文字通り天にも昇る心地となる、恋する乙女』を象徴した台詞となりますからね」


メリーさん太「……これって結構大胆な変更だよな? よく原作者様サイドは認めたものだぜ」


ちょい悪令嬢「これはメディアの違いとか、アニメ制作側が無駄にオリジナリティを発揮したとか言った話では無く、ある意味アニメ版の制作陣における特殊な立ち位置や、それを踏まえてのアニメ版のファンの求めるものを、深く真剣に考慮した結果では無いでしょうか?」


メリーさん太「と言うと?」




ちょい悪令嬢「あくまでも番外編である原作小説版だったら、麗○ちゃんの『恋心』に焦点を合わせた『微笑ましいシーン』にしても構わないけど、アニメ版のほうは、久方振りの『ユーフ○』の御目見得で、しかも劇場版であるだけでも非常に重要な作品であり、更には何と言っても制作会社の『京○アニメショーン』様の、『復活の証し』を世に問う意味合いも込められているので、作中における黄○部長の『新体制の門出』を、全面的にアピールしていく方向で、まとめ上げるべきなのですよ」




メリーさん太「なるほど、アニメ版のほうが、黄○ちゃんの『部長としての力量』を認める『脚色』が施されているのにも、納得しきりだぜ」


ちょい悪令嬢「もちろんそこら辺の事情を、原作者様に対してしっかりとご説明して、了承を得ているとは思いますけどね」


メリーさん太「それを認めた原作者様の度量も、見上げたものだよな」


ちょい悪令嬢「でも、アニメ版における当該シーンに対して、何とも言い知れぬ『違和感』を覚えたのも、また事実なんですけどね」


メリーさん太「あ、そうなの?」




ちょい悪令嬢「アニメ版の黄○部長さんの意見の出し方って、いかにも『苦し紛れ』か『どっちつかず』って感じだったのに、思いの外タ○先生から好評価をいただいて、『結果オーライ』に落ち着いたけど、それって単に『棚ぼた』のようなもので、あまり『部長としての成長』を感じられなかったのですが、本来『お褒めの言葉』をいただくのは麗○ちゃんだったことを知って、納得した次第であります」




メリーさん太「そう言われてみれば、黄○ちゃんの意見をちゃん論理立ててまとめ上げたのは、麗○ちゃん(と塚○君)の手柄なのであって、褒められるとすれば、むしろ麗○ちゃん(と塚○君)のほうだよな」




ちょい悪令嬢「そう言うわけで、物語的に『筋が通っている』のは原作版のほうで、演出的に『インパクトが有る』のはアニメ版のほうって感じで、どちらが正しいとか改悪とかでは無く、何を『重点』にしてストーリーやキャラを組み立てるかの『違い』でしか無いのですよ」




メリーさん太「確かに、久し振りの劇場版で、特にTV版第3期の前哨戦とも言える、『アンサ○ブルコンテスト』は、黄○ちゃんの部長としての成長を描くべきだから、アニメにおける改変は、至極妥当なものだったと言わざるを得ないな」


ちょい悪令嬢「こんな原作に対する大胆な改変を、よくぞやろうと決意なされたものですよ」


メリーさん太「しかもアニメ版を見た後では、『これしか無い』と思ってしまうしな」


ちょい悪令嬢「まさに『大英断』であり、現場の最高責任者の石○立也監督と、実際に脚色を担当なされた花○十輝先生に対しては、尊敬の念を禁じ得ませんわ」




メリーさん太「こんな『思わぬ事実』を知ると、この【座談会】でここ最近ずっとお薦めしているように、『ユーフ○』は原作小説版も読んでみるべきかも知れないな」




ちょい悪令嬢「原作版には原作版の面白さがありますからね。それに何度もご紹介しているように、原作版のみで明かされている、『驚愕の事実』を知ることもできますし♫」


メリーさん太「……実は卒業後に、あ○か先輩と香○先輩が同棲していることとかか?」


ちょい悪令嬢「他には、(比較対象である)アニメ版のほうが、とことん考え抜いて、最も的確な『改変』を施しているのがわかるところなんかもね」


メリーさん太「それも、ただ単に『関西弁を標準語に変えた』なんてレベルでは無く、標準語を話す麗○ちゃんも、原作の関西弁版と遜色の無い、『実力者だけど何かと繊細で扱いの難しいキャラ』として、きっちりと表現できているところが、見上げたものだよな」




ちょい悪令嬢「今回のように、『黄○ちゃんと麗○ちゃんの、どちらの意見を採用するのか』とか、『関西弁にするか標準語にするか』とか、『香○先輩のあ○か先輩に対する感情を、友情以上のものにするか否か』とか言ったものは、作品の根幹に関わる重大事であり、本来なら手を加えるべきものではありませんが、それに大胆な改変を加えたり、あっさりと省略したりしながらも、作品としての魅力を一切損なわないでいるのは、何と言ってもアニメ制作陣が、原作の魅力や物語の方向性を、きっちりと把握しているからかと存じますわ」




メリーさん太「つまり、実写ドラマなんかでよく見られる、『意識高い系』気取りで、原作の良さなんかちっとも理解せずに、自分のオリジナルをゴリ押ししてくる、クソ脚本家どもとは、根本的に違うってわけか?」




ちょい悪令嬢「最近で言えば、『ぼ○ち・ざ・ろっく!』や『推○の子』や『葬送のフリー○ン』や『魔○少女にあこがれて』等々のように、原作をきちんと理解して惚れ込んで、その魅力を最大限に生かしつつ、アニメならではの特長をふんだんに織り込んで、大ヒットを飛ばしたのが、記憶に新しいですわね」




メリーさん太「特に『フリー○ン』なんかは、アニメならではの『グリグリ動くアクションシーン』が、話題騒然だったよな」




ちょい悪令嬢「──と言うわけで、アニメにはアニメの、原作の小説や漫画には小説や漫画の、『独特の良さ』と言うものが有り、それがいい意味で『化学反応的相乗効果』を起こしてこそ、超傑作アニメが生み出されるわけであって、これからも原作への理解度リスペクトの高いスタッフの皆様に、アニメ版を作成していただきたいものですわ♡」










メリーさん太「……この原作版とアニメ版との違いって、実は原作版は麗○ちゃんのほうを『主人公』にしようとしていたことも、少なからず影響しているんじゃ無いのか?」




ちょい悪令嬢「そう言う論点で語れるのも、原作版読者の特権ですよね♫」

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