第1129話、わたくし、京都を舞台にしたアニメには一家言有りますの⁉

ちょい悪令嬢「──さて、今期の夏アニメもいよいよ放映&配信が開始されました今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか?」




メリーさん太「……うわあ、いかにもオタクっぽい『時候の挨拶』だなあ。あんた本当に、大陸一の魔法王国の筆頭公爵家令嬢なのかよ?」




ちょい悪令嬢「何を今更、三人の姫君のうち一人が同人作家である王国で、公爵令嬢がオタク界隈に関わりが有っても、別に問題は無いでしょうが?」


メリーさん太「問題大アリだよ! 特にあんたは少々オタク界隈に関わり合いがある程度では無く、自分自身『剥ぎコラ師』をしていると言う、『特級呪物』レベルの存在なんだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「大丈夫です! あの暴走族が散らかしたゴミを率先してかたづけて全国に名をあげた、佐○大学お嬢様部の皆様をごらんなさい! 心が清廉なるお嬢様でありさえすれば、オタクであろうが男であろうが、お嬢様になれるのです!」


メリーさん太「佐○大生の皆様の『お嬢様魂』を否定するつもりは無いけど、『剥ぎコラ師』であるあんたは間違いなく、お嬢様失格だよ!」


ちょい悪令嬢「ふっふっふっ、それがそうでも無いんですよねえ」


メリーさん太「……何だと?」




ちょい悪令嬢「これは『りゅうオーのおしごと!』の受け売りになりますが、武家政権の華やかなりし江戸時代においては、京の都のお公家衆の権威はすっかり形骸化してしまい、荘園時代なぞ夢の彼方に過ぎ去り、日々の生活に困るほど困窮しており、皆さんこぞって『同人誌』づくりに手を出されるようになったのです!」




メリーさん太「……はあ? 江戸時代の京都のお公家さんが、同人誌を創っていたって、そんなまさか⁉」




ちょい悪令嬢「『春画』ですよ『春画』、現在で言えばまさしく、18禁の同人誌!」




メリーさん太「──ええっ⁉ 春画って、京のお公家さんが描いていたのか⁉」




ちょい悪令嬢「確証はありませんよ? 何と言っても『受け売り』であり、今し方Web上で確認したところ、この説を裏付ける文献等は見つかりませんでしたしね」


メリーさん太「な、何だ、やっぱり『ガセ』だったのかよ」


ちょい悪令嬢「それでも、『信憑性』は大アリなのです!」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「実は当時の『創作物』は、何よりも『公序良俗』を尊ぶ『御公儀』様によって、ジャンルを限らず大幅に制約を受けていて、例えば『浮世絵』の合法的な作成においては、冒険的な作画技術はほとんど投入しづらかったのですが、最初から非合法で『お上の顔色を窺う』必要の無かった春画においては、手間暇やコストがかかる色刷りだろうが何だろうがチャレンジし放題で、当然のごとく絵画手法の最先端技術が投入されていて、腕自慢の名だたる絵師たちほど、半ば公然に春画を手がけていったのです!」




メリーさん太「……あー、『歌舞伎』なんかもそうだよな。江戸時代以前から、女を見世物に使うなんて公序良俗に反するってことで、『女形おやま文化』を育むことになったけど、結局『女歌舞伎』も密かに大人気になって、女性の表現者も多数輩出されたと言う」


ちょい悪令嬢「そうそう、まさにその歌舞伎の脚本演出担当の方や、浮世絵師や草紙作家の方々こそが、問題となるのですよ」


メリーさん太「……江戸時代の創作者が、問題だって?」




ちょい悪令嬢「絵画にしろ物語にしろ演劇にしろ、広く大衆に訴え得る作品を創るためには、一定以上の『教養と知性』が必要となるのでございます!」




メリーさん太「──ああ、そうか、そう言うことか⁉」




ちょい悪令嬢「そうです、名だたる浮世絵師や草紙作家のほとんどが、下級武士や浪人なんかの『知識階級』であるように、非合法の春画の作成に、やはり知識階級であり、何よりも生活に困っていて『ヤバい橋』をも渡らざるを得ない、京のお公家さんが関わっていようと、別にそれ程おかしくは無いでしょう」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「そういうわけでして、うちの王国のお姫様が『ジェンダーレス系同人誌』を書いていようが、公爵令嬢のわたくしが名うての『剥ぎコラ師』であろうが、何ら問題は無いのですよ!」


メリーさん太「いや、おまえら二人共、別に生活に困っていないし、必然性が無いじゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「『必然性』はございますわ! 実はこれまでの、いかにも雑談そのものと思わせていたすべてが、本題の前フリだったりするのです!」


メリーさん太「前フリだと?……………いや、そもそも今回の『本題』って、一体何なんだよ?」




ちょい悪令嬢「前期の春アニメの、『総括』でございます!」




メリーさん太「……ああ、それで、冒頭があんないかにもオタクっぽい、挨拶文になったわけか?」


ちょい悪令嬢「あなたがそのような『茶々』を入れるものだから、このように大幅に回り道をしてしまったのでは無いですか?」


メリーさん太「その『回り道』──特に、『春画の作者は当時のお公家さんである可能性も有る』と言うのが、どうして『春アニメの総括』の前フリになるんだ?」


ちょい悪令嬢「一言で言うと、『京都繋がり』でございます」


メリーさん太「京都って…………………ああっ、まさか⁉」




ちょい悪令嬢「そう、『であい○ん』でございます」




メリーさん太「やっぱりかよ! ──でもそれって、ちょっとおかしくは無いか?」


ちょい悪令嬢「おかしいとは、何がでしょう?」


メリーさん太「うちの作者って、『であい○ん』にはあまり乗り気じゃ無かったじゃないか? せっかくの庶民的で可憐なロリ美少女の一○ちゃんに対しても、『児童福祉法上問題が有るのでは?』とか、無粋なことを言っていたし」




ちょい悪令嬢「──一○ちゃんは、『緑○』にとって、すでに家族の一員です! 家族が家の手伝いをして、何が悪いのですか⁉」




メリーさん太「うおっ⁉ いきなりどうした!」




ちょい悪令嬢「わたくしも最初のうちは、いかにも世間にありがちな『ロリキャラを売り物にした日常アニメ』とばかり思っておりましたが、7月7日の正午まで動画サイトの『GYA○!』様で行われていた、全話無料配信を一気見することによって、文字通りに目から鱗が落ちましたの! これこそは古都京都の和菓子屋を舞台にした、家族愛を中心にした超本格的『人情もの』アニメだと!」




メリーさん太「──またすげえ、『手のひら返し』だな⁉ 一体何が、あんたや本作の作者の琴線に触れたんだよ⁉」


ちょい悪令嬢「大きな要因の一つとしては、『舞台が京都』と言うのが挙げられますね」


メリーさん太「それって、ひょっとして……」


ちょい悪令嬢「ええ、実は京都も作者にとっては馴染みが深く、実際に数年ほど住んでいたことが有るのです!」


メリーさん太「──またそのパターンかよ⁉ それちょっと多過ぎるんですけど、本当の話なのか⁉」


ちょい悪令嬢「多過ぎるって、そうでしょうか?」


メリーさん太「『シ○タインズ・ゲート』の秋葉原に、『かくし○と』や『パ○ピ孔明』の渋谷と来て、今度は京都なんて、いくら何でも出来過ぎだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「それって結局、首都圏と関西圏にいただけでは無いですか? 大学が京都で、就職先が東京なんて、世間で良く有ることでは?」


メリーさん太「──うっ、確かに。そもそも『であい○ん』の主人公のな○むさんが、大体そのパターンだからな」


ちょい悪令嬢「少々ネタバレ気味な不確定情報だと、『パ○ピ孔明』のエー○ちゃんも、実は京都のご出身で、お祖母さまのご職業が和菓子屋さんよりも、更に『京都名物ならでは』だったりするそうですよ?」


メリーさん太「……え、あのエー○ちゃんも京都出身だったなんて、『パ○ピ孔明』の考察回の時には、別に触れて無かったじゃんか?」


ちょい悪令嬢「そこのところが判明するのは、アニメ放映の範囲外であり、そもそもうちの作者は原作漫画版のほうは未読ですからね」


メリーさん太「いやでも『パ○ピ孔明』が(うちの作者から)高評価なのは、別にヒロインが京都出身者だからじゃ無いんだろ? もしかして『であい○ん』のいきなりの激推しについても、京都以外の要因が有るわけなのか?」


ちょい悪令嬢「──もちろん何と言っても、メインヒロインの一○ちゃんと、主役のな○むさんとの関係性です!」


メリーさん太「と、言うと?」




ちょい悪令嬢「先ほども申しましたが、一○ちゃんは日常系アニメに良く有る、いわゆる『萌え優先のロリキャラ』なんかでは無く、あえて似た作品だと、『Papa t○ld me(関西改変実写版)』や『かくし○と』等が挙げられます」




メリーさん太「……ああ、なるほど、まさしく萌え系では無く、『家族愛系』ってやつか」


ちょい悪令嬢「──それでいて当の幼女ヒロインが、大人びた『シニカル系』だと言う♫」


メリーさん太「うん、現代版『じゃり○子チエ』って感じかな?」


ちょい悪令嬢「おお、言い得て妙ですね! そうか、『であい○ん』て、『じゃり○子チエ』を萌え化したようなものだったんだ!」


メリーさん太「──結局、『萌え系』なのかよ⁉」


ちょい悪令嬢「あ、いえ、ヒロインと主人公の間に有るのは、あくまでも『家族愛』であって、恋愛感情はまったくございません。そもそも主人公を巡っては、十分大人な女性の『元カノ』さんや現役JKの恋人候補さんが、鎬を削っているくらいですしね」


メリーさん太「あ、そうなの?」


ちょい悪令嬢「しかもその二人の闘いが、結構『黒く』て、男どもは鈍感だからまったく気づかない中で、幼くも大人びた一○ちゃんだけが見抜いていて、常に冷や汗を流していると言うw」


メリーさん太「……あー、確かにそこら辺は、『Papa t○ld me』の知○ちゃんだわ」


ちょい悪令嬢「その他の大人たちとの関わり合いも、血の繋がりが有るか否かにかかわらず、家族同然の『親愛の情』に満ちあふれており、余計な『色恋沙汰』なぞ微塵も存在しないのです」


メリーさん太「色恋沙汰は無いって、さっきのな○むさん周りの話とは、矛盾しているのでは?」


ちょい悪令嬢「実はな○むさん自身が、『色恋沙汰』とは認識していなかったりして?」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「とにかく彼は老若男女を問わず──何と『元カノ』すらも含んで、まったく下心や邪心無しに付き合えて、相手を思いやり手を差し伸べることができるのですよ。それによって更に、新たなる女性の恋心をGETしてしまうと言う、罪な男なのです」




メリーさん太「……うわあ、そりゃあ、一○ちゃんも呆れるわな」


ちょい悪令嬢「でもですねえ、実はこれこそが、な○むさんの『持ち味』だったりするのですよ!」


メリーさん太「持ち味、って……」




ちょい悪令嬢「一見いい加減で頼りなさげに見えますが、とことんまでお人好しでどうしても憎めず、人の心にするりと入ってきて、しかも先ほども申したように、他人のために行動することをまったく厭わないものだから、最初は頑なに壁を作っていた一○ちゃんも、すぐにその『底抜けの善人さ』に気づいて、相変わらず辛辣な態度を装いつつもすっかり懐いてしまったのですよ!」




メリーさん太「──おお、つまりは『疑似』とはいえ、『Papa t○ld me』や『かくし○と』同様に、『父娘路線』と言うわけなんだな?」




ちょい悪令嬢「むしろ疑似の父娘であるからこそ、その結びつきは本物よりも堅かったりしてね」




メリーさん太「……へえ、実写版の『Papa t○ld me』でも無いけど、それこそ『N○Kの朝ドラ』そのままの、近年稀に見る『真の日常もの』ってわけか」




ちょい悪令嬢「それに加えて何度も申しますように、本作の作者に馴染みの深い古都京都を舞台にしているのですからね、魅了されないはずが無く、まさしく心が洗われるようでしたわ♡」













メリーさん太「……まあ、普段どぎついアニメばかり見ているんだから、たまにはこういうのもいいだろう」




ちょい悪令嬢「ちなみに、次の【アニメ談義】の機会には、この夏に最終章が放映&配信される、『うたわれ○もの』シリーズについて、熱く語りたいかと存じます☆」




メリーさん太「──これまた、どぎついやつが来たな⁉」












ちょい悪令嬢「──今し方確認したところ、何と『GYA○!』様に引き続いて同じく動画サイトの『ア○マTV』様において、『であい○ん』の全話一挙無料配信が、明日7月8日より一週間限定で行われるとのことです!」




メリーさん太「今回の【座談会】をご覧になって興味を惹かれた方は、是非ともこの機会にご視聴なさってくださいませね♡」

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