第975話、わたくし、完璧を目指すよりもマイナスを減らすほうが重要だと思いますの⁉

ちょい悪令嬢「──いよいよ本日は、本作の作者の父親の、三回目のコロナワクチン接種の日でございます!」




メリーさん太「……………………へ?」




ちょい悪令嬢「おや、どうしたのですか、メリーさん、反応が少々薄いようですが? もっと盛り上げて参りましょうよ!」




メリーさん太「──いやいやいや、本作の作者の父親が、三回目の──いわゆる『ブースターショット』の、ワクチン接種を受けるって、そんなの初耳だぞ⁉」


ちょい悪令嬢「そりゃあ、今回初めて言いましたからね」


メリーさん太「それにしても、2月早々に接種なんて、今度は随分と早いものだな?」


ちょい悪令嬢「まあ、作者の父親は後期高齢者なので、優先的に接種が受けられるのは当然なのですが、実は今回は結構『紆余曲折』が有りまして……」


メリーさん太「……何だよ、紆余曲折、って?」




ちょい悪令嬢「お役所からの『ワクチン接種の通知』を、現在の介護人である本作の作者に知らせること無くほったらかしにしていたのを、市役所主催の『集団接種』の予約受付が本格的に開始された後に発見したのですよ」




メリーさん太「──ええっ、それで接種予約は間に合ったの⁉」




ちょい悪令嬢「生憎と今回は、『接種の通知』を受領すると同時に予約を開始できるシステムとなっておりまして、作者が気づいた時にはすでに、最寄りの接種会場の予約はすべて埋まっており、かなり遠くにある別の接種会場しか空きは無かったのです」


メリーさん太「……うわあ、予約システムまで変わっていたのかよ? 何とも間の悪いことで。でも結局は、その『別の接種会場』に予約はできたんだろ?」


ちょい悪令嬢「それがですねえ、うちの実家の市は、幾つかの町が合併してできていて、その接種会場は本来は『別の町』に所在していて、しかも『田舎の町』って無駄に面積が大きいから、町から町へ行くのに結構距離があって、ほんのこの間まで長期入院していてすっかり身体が弱ってしまっている父親が行くには、少々キツいのですよ」


メリーさん太「だったら、どうするの? 確か実家には、自家用車は無かったよな?」


ちょい悪令嬢「かといってバスや電車は本数は少ないし、タクシーは片道一万円もかかるしで、まさに『八方塞がり』の状況でして」


メリーさん太「片道一万円って、どんな秘境に住んでいるんだよ⁉」


ちょい悪令嬢「通知が届くと同時に本作の作者に教えていたら、すぐさま『Web予約』をして、一瞬で最寄りの集団接種会場を押さえることができたんですけどね」


メリーさん太「……痴呆の進んでいる後期高齢者の介護において、ありがちなアクシデントだよな」


ちょい悪令嬢「本来何よりも急を要するはずの今回の『ブースターショット』が、全体的に伸び悩んでいるのは、このように高齢者の皆様が『予約』という最初の段階でつまずいているからでは無いでしょうか?」


メリーさん太「大いに有り得るよな…………それで、本作の作者は、どうするつもりなんだ?」




ちょい悪令嬢「どうするもこうするも、本日接種に行く旨を、冒頭で宣言したではありませんか?」




メリーさん太「え? 結局、その遠くの接種会場に行くことにしたの?」




ちょい悪令嬢「いえ? 最終的には、実家から徒歩十分圏内にあり、集団接種では『モデ○ナ製』だったところを、『フ○イザー製』のワクチンを打ってくれる会場ところにおいて、本来2月5日の予定だったのを、本日に繰り上げて接種することにいたしましたけど?」




メリーさん太「──何なの、それって! 最初の予定から何から何まで、むちゃくちゃ『好条件』になっているじゃんか⁉」




ちょい悪令嬢「そりゃそうですよ、忘れたのですか? 本作の作者ってば、東京で一、二を争うマンモス自治体の『一位と二位の両方共』において、第一線の職場で勤務していたのですよ? 田舎の自治体のワクチン接種システムくらい、問題にもなりませんわ」




メリーさん太「で、でも、集団接種の予約に間に合わなかったんだろ? それなのにどんな抜け道を使ったんだ。──あっ、まさか、市役所の重鎮であるお姉さんに頼んで、裏から手を回してもらったんじゃ……」


ちょい悪令嬢「──おいっ、滅多なことを言うんじゃないよ⁉ 現在作者の姉とは、父親の介護についての見解の相違のために、絶賛喧嘩中だから、連絡すらろくに行っておりませんよ!」


メリーさん太「じゃあ、何をどうすれば、こんな『大逆転』ができるんだ?」




ちょい悪令嬢「簡単なことですよ、『集団接種が駄目ならば、個別の医療機関で接種すればいいじゃ無い』ってなわけです♫」




メリーさん太「──ああ、そうか! 普通に病院でも、ワクチン接種をやっていたんだっけ⁉」




ちょい悪令嬢「なんか集団接種するのが当たり前みたいに思い込んでいましたが、ちゃんと他に選択肢は有ったわけですよ」


メリーさん太「……あ、でも、医療機関での接種って、お役所の集団接種よりも、後回しになるんじゃ無かったっけ?」


ちょい悪令嬢「今回は全世界的に緊急性のある『ブースターショット』ですので、作者の実家のように地方によっては、医療機関のほうが先行しているところもあるのです」


メリーさん太「それなら、予約自体も集団接種とほぼ同時か、下手したら先行していたんじゃ無いのか? よく間に合ったな⁉」


ちょい悪令嬢「作者が接種の通知の存在を知ったのが日曜日だったのですが、医療機関の予約開始が、運がいいことに次の月曜日だったのです」


メリーさん太「ギリギリじゃねえか⁉ そんな土壇場で、しっかりと予約を成し遂げるなんて、ほんとラッキーだったな!」




ちょい悪令嬢「──ラッキーなんかじゃありませんよ、ギリギリの土壇場だからこそ、文字通り『火事場の馬鹿力』が発揮されたのです!」




メリーさん太「……火事場の馬鹿力、って?」


ちょい悪令嬢「そもそもですねえ、接種場所こそ少々問題があるものの、集団接種を2月5日という早い段階で予約できたこと自体は上出来とも言えて、文句を言うと罰が当たるほどだったんですが、父親としてはどうしても納得がいかず、それこそ市役所の重鎮である長女に頼み込めとか、そうで無くても『病み上がりの後期高齢者』である自分に便宜を図るように役所の担当者に電話しろとか、むちゃくちゃなことを言い出しまして」


メリーさん太「──自分が通知をほったらかしにしていたのが悪い癖に⁉ それにそもそも今回の接種対象者のほとんどが、『病弱な後期高齢者』ばかりだろうが!」


ちょい悪令嬢「とはいえ、確かに『要介護対象』の父親を、遠方の接種会場に連れて行くのは躊躇われまして、本作の作者ならではの『仕事人としてのスキル』を発動することにしたのです」


メリーさん太「……仕事人としてのスキル、って?」




ちょい悪令嬢「実は実社会のあらゆる職場においては、完璧に仕事をやりこなすことなんて、絶対に不可能なのです!」




メリーさん太「は?」




ちょい悪令嬢「その昔、著名なアニメ監督の皆様は、このようにおっしゃいました。アニメ制作とは、『常に綻び続ける縫い物を繕い続けるもの』であり、『一度破綻したスケジュールはけしてリカバリーすることなぞ不可能で、後はどうごまかしていくか』であると。──実はこれは別にアニメ制作に限らず、すべての『仕事』においても同様で、限られた予算と時間と人員のみの状況下で、完璧な結果を得ることが不可能であるのを前提に、どうにかして『様々なトラブル』に対処していきつつ、どれだけ『マイナス点を少なくしていく』ことこそが、すべてなのですよ!」




メリーさん太「……つ、つまり、この世には『完璧な仕事』なぞ絶対に有り得ず、実はすべては『やっつけ仕事』でしかないってことか⁉」




ちょい悪令嬢「その通り!」




メリーさん太「ええっ、歴史的に名を残した創作物や、人を感動の渦に巻き込んだ音楽コンサートや演劇とかもかよ⁉」




ちょい悪令嬢「むしろそう言うものであるほど、いろいろな困難を抱えながらも、その時点で『ベストを尽くした』からこそ、輝いて見えるのです! ──あなた、宮○駿氏の代表作にしてアニメ史上最高傑作である『カリオストロ○城』が、どんな『逆境』の中で生み出されたのか、ご存じではありませんの?」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「そしてこれは、本作の作者としては珍しく、『頭でっかちの理論』だけでは無く、実際に嫌というほど体験し骨身に染みていることですので、今回の『日常的トラブル』程度では、微塵も動じないのですよ」


メリーさん太「……現在何かと話題となっている、オミクロン株型コロナウイルスに緊急対応したワクチン接種が、日常的トラブルに過ぎないだと?」


ちょい悪令嬢「何せ本作の作者は某役所に勤務中に、『輪るピ○グドラム』をリアルに体験しておりますからね」


メリーさん太「──何ソレ⁉」




ちょい悪令嬢「よって今回も『昔取った杵柄』そのままに、『どうにか今の状況を少しでも良くする方策は無いのか?』とか、『そもそも集団接種以外の選択肢は無いのか?』等々、あらゆるパターンをシミュレーションすることによって、あっけなくも『……何だ、家の近くの病院に予約し直せば、全部解決じゃん♫』となった次第であります」




メリーさん太「う、うん、そう言うふうに『結果論』だけ聞けば拍子抜けだけど、そのことにちゃんと気づいて、今度こそ予約に間に合わせるには、何よりもこういった『問題トラブル解決』の場数を踏んでいて、常に落ち着いた判断と行動をとれないと不可能だよな」


ちょい悪令嬢「やはり実際に実社会で働いた経験が有るか無いかでは、大違いでしょうね」


メリーさん太「……ひょっとして、最近『年老いた親の介護』に関する悲惨な事件が連発しているのは、介護の担い手自身のほうも世間知らずの『引きこもり』であることが、問題だったりして」




ちょい悪令嬢「──何を他人事みたいに言っているのです、これは本作の作者を始めとする『創作者』にとっても、非常に重要なことなんですよ?」




メリーさん太「は? 基本的にのんきな在宅ワーカーである『創作者』に、公務員やアニメ監督の『トラブル解決能力』が、どう関わってくるんだよ?」




ちょい悪令嬢「本作の作者のように親の介護を行っていたりするのはもちろん、そうで無くともこの『コロナ禍』において、多くの創作者の皆様におかれましては、『万全な体制』で作品づくりを行うことが不可能になっていると思われるのですけど?」




メリーさん太「──うっ⁉」




ちょい悪令嬢「しかーし! 今回詳細に述べましたように、そもそも文句なしの『万全な体制』で仕事ができること自体があり得ませんので、『親の介護』とか『コロナ禍』とかは単なる言い訳に過ぎません! 真の創作者であれば、どんな逆境の中にあっても『歴史的名作』を実現することだって、けして不可能では無いのです! ──そう、過去のアニメ界における名匠たちのようにね♡」
















メリーさん太「──うおい、一体どうしたんだ? 前回に引き続いて、本作の作者にあるまじき、『正論』のオンパレードじゃないか⁉」




ちょい悪令嬢「……いや、本作の作者こそ、『親の介護』や『コロナ禍』のせいで、作品づくりに時間をかけることができず、何といまだ今期の各『Web小説コンテスト』に、応募エントリーすらしていないという体たらくなのですよ」




メリーさん太「……ああ、そういえば、そうだったな」




ちょい悪令嬢「でも、今回のワクチン接種の件によって、かつての『仕事人魂』が甦ることで、これからでもベストを尽くそうと思い直したのです!」




メリーさん太「おおっ、そうなのか⁉」




ちょい悪令嬢「──と言うわけですので、遅ればせながら本作の作者である『881374』は、本作を始めとする既存作の更新や新作づくりに全力で取り組んでいこうかと思いますので、読者の皆様におかれましても、どうぞご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたしますわ♡」

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