第963話、わたくし、『選択的夫婦別姓』では『弱者救済』は不可能だと思いますの⁉
メリーさん太「……あのさあ、あんた前回、『夫婦別姓』制度が成立した場合、むしろ『同姓』にすることでこそお互いの『絆』を感じ合えることのできる、『同性愛者』にとっては、とても認めることのできない『悪制度』であるとか何とかって、言っていたけどさあ」
ちょい悪令嬢「ええ、そうですけど?」
メリーさん太「でも、これって──」
ちょい悪令嬢「これって?」
メリーさん太「別姓は別姓でも、『選択的』別姓だったら、何も問題は無いのでは?」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「………」
ちょい悪令嬢「………」
メリーさん太「──いや、いい加減何か言えよ⁉
ちょい悪令嬢「……メリー、さん」
メリーさん太「な、何だよ、そんなじっとりとした視線で、あたしのほうを見たりして?」
ちょい悪令嬢「ホント、あなたには、がっかりですよ」
メリーさん太「──ちょっ、何でだよ⁉」
ちょい悪令嬢「前回お話しした内容をお聞きになっていて、どうしてそのような疑問を
メリーさん太「……い、いや、前回の話を聞いていたからこそ、『選択的』に限定すれば、話が変わってくるんじゃ無いかと思ったんだけど⁉」
ちょい悪令嬢「どうして『選択的』だったら、変わるんですか?」
メリーさん太「だってほら、前回の趣旨では、『同性愛者』みたいに現在の結婚制度では『家族』になれない『社会的弱者』の皆様は、むしろ『養子縁組』等の反則技を使ってでも、『家族』に──すなわち、同じ『戸籍』に入り同じ『姓』となることで、お互いの『絆』を実感するのを望んでいるってことだっただろう?」
ちょい悪令嬢「はい、そうですね」
メリーさん太「それに対して、『夫婦別姓制度』が正式に導入されて、結婚しても姓が別々になってしまっては、『同性愛者』みたいな特殊な関係においては、『絆』が実感できなくなるって結論だったけどさあ」
ちょい悪令嬢「……けど?」
メリーさん太「それって、『選択的夫婦別姓制度』だったら、問題無いじゃん? 何も夫婦の姓を同じにすることを強制的に阻んでいるわけでは無いんだし、これまで通りに結婚するとともに、どちらかの姓に統一すればいいんだから!」
ちょい悪令嬢「……うわあ、いかにも『勝ち誇った』かのような『ドヤ顔』をして。こういったやつらが、ニコ○コ大百科の『夫婦別姓スレ』あたりに棲みついて、的外れな暴言を垂れ流して悦に入っているんでしょうね」
メリーさん太「──何が暴言だよ⁉ 余計なこと言って、『ジェンダー方面』のやつらにケンカを売っているんじゃねえよ⁉ あいつら一応『弱者救済』のために活動していることになっているから、下手に目をつけられると、いろいろと厄介だぞ⁉」
ちょい悪令嬢「は? 『選択的夫婦別姓』が、『弱者救済』に貢献するですって? 一体何をおっしゃっているのですか?」
メリーさん太「え?」
ちょい悪令嬢「『選択的夫婦別姓』とか『フェミニズム』とか『LGBT』とか『同性婚』とか言った、いわゆる『ジェンダー問題解消』の推進は、『弱者救済』どころか、『弱者弾圧』そのものなのですよ!」
メリーさん太「へ?………………………いやいやいや、あんた何をいきなり、とんでもないことを言い出しているの⁉」
ちょい悪令嬢「でしたらこれより、まずは『夫婦別姓』に関して、寸劇風にご説明いたしましょうか?」
メリーさん太「す、寸劇風、って……」
ちょい悪令嬢「──それでは早速、行ってみましょう!」
メリーさん太「お、おい⁉」
女性「──あなたお願い、私は一人娘で家督を繋がなければならないのだから、結婚したらあなたのほうの名字を変えてちょうだい」
男性「はあ? 男がそんなかっこ悪いことできるか⁉ 仲間や職場内で笑い物になってしまうじゃんか!」
女性「仕方ないでしょ、それが結婚と言うものなんだし、結婚式も新居もすべて、私の実家のほうで用意してくれるんだから」
男性「何言っているんだ、すでに『夫婦別姓制度』が正式に施行されたんだから、別に結婚しても姓を変える必要は無いだろう?」
女性「あれはあくまでも『選択的』なんだから、夫婦が姓を同じにしてもいいはずでしょう⁉」
男性「だからこの俺様が、別姓であることを『選択』したんだから、おまえは黙って従えばいいんだよ!」
女性「……どうしてよ」
男性「あ?」
女性「どうしてそこまで、『別姓』にこだわるのよ⁉ だったら今のままで、結婚なんかせずに、このやはりうちの実家で用意した億ションレベルのペントハウスで、同棲生活していればいいじゃないの⁉」
男性「……あー、そりゃあ、正式に結婚したら、法律的というかお役所的というか、いろいろと社会的に正式な関係として認められて、『特典』がいっぱいあるじゃないか?」
女性「特典だったら、もう十分手に入れているじゃないの?」
男性「んあ?」
女性「うちの実家の一族に『入り婿候補』として認められることで、長年続けてきた音楽活動に便宜を図ってもらったり、業界との絶大なるコネを使ってプロデビューさせてもらったりしたじゃない?」
男性「ああ、まさかおまえのようなとち狂った『グルーピー娘』が、音楽業界にも顔の利く、大企業の創業者一族のお嬢様とは思わなかったぜ。ホント、恩に着るよw」
女性「……そんなに私や実家に恩を感じるのなら、どうして頑なに『別姓』にこだわるのよ?」
男性「そ、そりゃあ、俺のこの『京城』という名字に『ソウル』を感じていて、とても日本人の名字なんかに『帰化』できないからに決まっているだろ?」
女性「──嘘だ!」
男性「なっ⁉(……今更『
女性「……私、知っているんだからね」
男性「な、何を、だよ?」
女性「あなたが、他のグルーピーの
男性「──うっ⁉」
女性「おおかた名字を変えることによって、数多くいるグルーピーの中で私だけを選んで、結婚したことを知られるのが困るのでしょう?」
男性「──ううっ⁉」
女性「……散々うちの実家にお世話になってきたのはもちろん、私とちゃんと籍を入れて正式に一族の一員になりさえすれば、そこらの庶民では及びもつかない富や権力を手にできると言うことで、入り婿することを承知したくせに、平気で浮気をしようとするばかりか、そのために名字を変えることを拒否するなんて、いい度胸をしているわよね⁉」
男性「──うううっ⁉」
女性「わかったわ、あなたとはこれまでにしましょう。もちろん結婚も無しね。──良かったじゃない、これで名字を変えないで済むし、同時に日本人に帰化することも無くなって、『京城』さんとしての『ソウル』も守れるし」
男性「おいおい、いきなり短気を起こすなよ? 愛しているぜ、子猫ちゃ〜ん」
女性「──気安く触らないでよ! もうあなたとは、恋人でも婚約者でも無いんだから⁉」
男性「……本気かよ?」
女性「あなたの浮気性には、もううんざりなのよ!」
男性「ふ〜ん、『転ばぬ先の杖』って、日本人どもも、たまにはいいこと言うな」
女性「は?」
男性「これ、な〜んだw」
女性「……婚姻届? ──ちょ、ちょっと、何で私の氏名が書かれて、『実印』が押されているの⁉」
男性「この前、おまえが寝ていた時に、こっそりとなw ダメだぞお? まだ正式に結婚していない男なんかを、信頼しきっちゃwww」
女性「そんなもの勝手に捏造して、ただで済むと思っているの! お父様に頼んで、社会的に潰してやる!」
男性「──別に構わないぜ? 俺はおまえと『結婚した事実』が、欲しかっただけだしな」
女性「え」
男性「実は俺様、今度本国の『頭K印POP』で、プロデビューが決まったんだよ」
女性「は? あなたのような本国では差別対象の、『兵役逃れの
男性「今つき合っているグルーピーの
女性「い、いつの間に……」
男性「だからもう、日本人のおまえに媚びる必要は無んだよ。──つうか、元々後腐れ無く、『消えてもらう』つもりだったしな」
女性「消えてもらう、って…………ちょっと、何よ? どうして手に手に凶悪な武器を持った屈強な男たちが、私たちの『愛の巣』であるこの部屋に入ってくるのよ⁉」
男性「こちらの皆様は、本国からお呼びした、『プロの殺し屋』さ」
女性「殺し屋、って………………………ま、まさか、あなた⁉」
男性「ホント、助かるよ、日本の『相続制度』って。何せたとえ書類上の関係とはいえ、『配偶者』がほとんどの『遺産』をもらえるんだからな。うちの『本国』とはえらい違いだぜ。──げひひひひ、おまえのような世間知らずなお子ちゃまとつき合ってやった甲斐も、有ったというものだぜ」
メリーさん太「──おい、一体何なんだよ、これって⁉」
ちょい悪令嬢「……残念ながら字数がオーバーしてしまいましたので、【解説】のほうは次回にしたいかと思います♡」
メリーさん太「またそのパターンかよ⁉」
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