第939話、わたくし、『運命の果実を一緒に食べよう』、でございますの♡

ちょい悪令嬢「──せいぞん、せんりゃあああああくううううう!!!」




メリーさん太「うおっ⁉ いきなりどうした!」




ちょい悪令嬢「そうです、『愛』、『愛』なのです!」


メリーさん太「は?」


ちょい悪令嬢「幸せになることなんて、簡単だったのです! 『愛』ですよ、『愛』!」


メリーさん太「あ、あの……」




ちょい悪令嬢「すごい、あんなに悩んでいた答えが──『世界の真理』が、こんなところにあったなんて⁉」




メリーさん太「──ちょっと、あんたは一体、何の話をしているんだ⁉」




ちょい悪令嬢「……何の話って、当然──」


メリーさん太「当然?」




ちょい悪令嬢「来年4月29日に劇場版第一弾が封切り予定の、超問題アニメ作品『輪るピングド○ム』の、TV版最終話でございますわ!」




メリーさん太「え?………………………って、ええーっ⁉ あれってついに、最終話が配信されたのかよ⁉」




ちょい悪令嬢「はい、本作の作者自身、今朝方視聴したばかりです」


メリーさん太「それで、どうだった? 半年間ずっと追い続けての、最終話のファーストインプレッションとしては⁉」


ちょい悪令嬢「だから、『愛』ですってば!」


メリーさん太「……ああ、確かにサブタイトルが『愛している』になっているけど、どんな内容だったんだ? 丁度具体的な日程が発表されたばかりの劇場版に対するネットの反響においては、十年前のTV版は『バッドエンド』で終わったって言ってる輩もいるけど」




ちょい悪令嬢「……ホント、『アンチ』どもときたら。──おいおい、『感受性』が人並み以下に欠落しているのなら、下手なことを言わずに口をつぐんでおけよ?」




メリーさん太「感受性が欠落、って?」


ちょい悪令嬢「先日はアンチどもに対して、『読解力が無い』と申しましたが、むしろ『感受性が乏しい』と言ったほうが、より正しいかと思い直しましたの」


メリーさん太「……どう違うんだよ?」




ちょい悪令嬢「『読解力』の有無のほうは、作品自体が絶対的に素晴らしいのに、それを理解できないアンチ側が絶対に悪いような、『決めつけ』となってしまいますが、そもそもある作品に対して『どう感じるか』については、人それぞれであってしかるべきであり、『感受性』が高い者ほど『得るものが多い』だけの話で、何も感じないアンチ連中は別に間違ってはいないものの、せっかく作品をけして少なくない時間視聴し続けながら得るものが何も無かったという、『損』をしているわけなのですよ」




メリーさん太「なるほど、特定の作品に対して何も感じないのは、別に間違ったことでは無いものの、それを理由に作品を叩くのは、自分自身の『感受性の無さ』を棚に上げた、愚かな行為でしかないってことか」


ちょい悪令嬢「この『感受性の有る無しによる判断基準』こそ、まさしく本作において何度も申し上げている、『アンチであることは損でしか無い』や、『見る価値の無いアニメなぞ存在しない』を、如実に証明した新基準と申せましょう」


メリーさん太「ただしそれは、『感受性』が強い人ほど、より当てはまるわけなんだな?」


ちょい悪令嬢「本作の作者のように、自らもWeb小説等を創作している人間なんかが、特に顕著でしょうねえ」


メリーさん太「……ほう、それなら今回は、さぞや得るものが多かっただろうな?」




ちょい悪令嬢「それはもう! 何と以前申しておりました、『幸福になれるのは本人の努力次第』と、『無敵の人にならないための方策』について、更なる『最適解』を得ることができましたの!」




メリーさん太「なっ⁉ けして『無敵の人』なんぞにならないように『幸せな』人生を掴むための、『最適解』だと⁉」




ちょい悪令嬢「──それこそが、『愛』なのですよ! 『愛』こそが、すべての『救い』なのです!」




メリーさん太「またそれか? どうして『愛』によって、人は幸せになれて、『無敵な人』にならずに済むわけなんだ?」


ちょい悪令嬢「『輪るピングド○ム』の最終話において、石○彰さんと能○麻美子さんの演じるキャラが、会話するシーンがあるのですが、」


メリーさん太「……うわあ、なんかすごい組み合わせだなあ。絶対その場にいたくないぜ」




ちょい悪令嬢「そこで、作品全体を象徴する台詞として、『愛されたことのある子供は、必ず幸せになれる』と言うのがあるのです!」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「まさにこれぞ、『至言』と言うものでしょう! そうなのです、『愛』さえ知っていれば、人から愛されたことさえ有れば、『無敵な人』なぞになることなど無く、最近話題の凶悪事件を起こすことなぞ無いのです!」




メリーさん太「……いやまあ、それって昔から言われていることでもあるけど、昨今の悲惨な事件ばかり起こしている、ごく『例外的な』人間たちが、少々愛を知ったくらいで、犯行を思い止まったりするかあ?」


ちょい悪令嬢「例外? 一体何が、例外だと言うのです?」


メリーさん太「例外に決まっているだろう⁉ 鉄道内で突然殺傷行為にはしったり、同居中の幼い親族を殺害したり、雑居ビルに火をつけて大量殺人を行ったりするなんて、基本的にあり得るはずが無く、最初から人とは違った歪んだ思考に染まりきった、『例外的存在』以外の何者でも無いよ!」




ちょい悪令嬢「──いいえ、人間誰にでも、『ああなる』可能性は有るのです! 以前も申したでしょう? ああいう手合いは『この世で自分だけが不幸なのだ』とか、『自分こそが最も不幸なのだ』などと思い込んでいるからこそ、凶行にはしるって。果たしてこの世に、自分のことを『不幸では無い』と思っている人間なんて、一人でも存在するんでしょうかねえ?」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「そうなんですよ、誰だって不幸なのです。みんな自分自身の『不幸な人生』と、戦い続けているのですよ!」




メリーさん太「……だったらどうして、『凶悪犯罪』が、それ程起こっていないんだよ」




ちょい悪令嬢「──だから、『愛』さえ有れば、誰かから『愛されて』さえいれば、他の誰かを『愛して』さえいれば、たとえ不幸であっても耐え忍び、人生を戦い続けることができるのです!」




メリーさん太「なっ⁉」




ちょい悪令嬢「つまり、人から愛されたことない者はもちろん、自分自身も他者を愛そうとはいない者ほど、孤独感や疎外感をこじらせて、周囲の者たちがすべて『敵』に見えるようになって、自分が不幸なのは他のやつらのせいだと『八つ当たりそのままの被害妄想』に駆られて、最後には壮絶なる凶行に及ぶことになるのです!」




メリーさん太「……な、なるほど」




ちょい悪令嬢「何せ、『輪るピングド○ム』こそは、平成最大級の『犯罪』をモチーフとしておりますからね、この解釈で間違いないでしょう」


メリーさん太「──そういえば、そうでした!」




ちょい悪令嬢「そういうわけで、これをお読みの『無敵の人予備軍』の皆様、不幸なのはあなただけでは無いし、誰だって幸せになれるのです! そのためにも『愛』こそが必要なのであり、今からでも他者を愛し、自らも愛されるように、全力で努力を始めましょう♡」













メリーさん太「……かといって、『ストーキング』等の独りよがりの愛は、また別の犯罪を生み出すだけですので、是非とも常識と限度というものをわきまえられることを、切にお願いいたします」




ちょい悪令嬢「同日に視聴した『コードギ○ス 反逆のルル○シュR2』においては、生まれてきてからずっと『暗殺者』として使役されていた幼い少年が、本来は暗殺対象であったルル○シュ君に対して、いまわの際に彼の腕の中で、『あなたが僕のことを「弟」として受け容れてくれたお陰で、初めて「人間」になることができたんだ』と吐露したのも、同様の趣旨かと存じます」




メリーさん太「……うわあ、現在の本作の作者の心情、そのまんまじゃんか」




ちょい悪令嬢「うちの作者も下手すると、『無敵の人』サイドに堕ちる可能性がありましたからね。それを人間に戻してくれたのが、最近奇跡のカムバックを果たした、故郷の年老いた父親だったのです!」




メリーさん太「……なるほど、兄から弟へ──あるいは、親から子への、『無償の愛』に勝るものは無いってことか」




ちょい悪令嬢「このように、何度も何度も申しますが、『見る価値の無いアニメなぞ存在しない』どころか、自分自身の感受性さえ豊かならば、『世界の真理』すらも得ることができますので、何の得もしない『アンチ活動』なぞに身をやつすこと無く、『輪るピングド○ム』や『コードギ○ス』等の過去の名作をも含めて、一つでも多くのアニメ作品に親しまれることを、心よりお勧めいたしますわ♡」

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