第919話、わたくし、『ゆ○ゆ』は『ルール無用』だからこそ面白いと思いますの⁉

ちょい悪令嬢「──いや、良かった良かった、やっぱりわたくしだけでは無かったのですね!」




メリーさん太「……また冒頭早々から、わけのわからないことを言い出したぞ、こいつ?」




ちょい悪令嬢「あ、いえ、前回に引き続いての、今期の『秋アニメ』における、いよいよクライマックスに突入した某作品最新話に対する、第一ファーストイ印象ンプレッションを述べただけですのよ?」


メリーさん太「第一ファーストイ印象ンプレッションが『わたくしだけでは無かった』って………………一体どの作品の話なんだよ?」


ちょい悪令嬢「『結城友○は勇者であるー大満開の章ー』、ですわ」


メリーさん太「……ああ、あれって『過去編』がむちゃくちゃ気に入って、最終回まで視聴継続することにしたんだっけ?」


ちょい悪令嬢「そう、なんですけど、ねえ……」


メリーさん太「うん、本日配信開始されたばかりの最新話に、何か気になるところでもあったのか?」


ちょい悪令嬢「……いえ、相変わらず作画は一級品だし、女の子たちも可愛いし、クライマックスにふさわしくバトル描写も迫力満点だし、しかも『過去編』同様に人間ドラマとしても感動のシーンの連続だし、そして何よりも『百合テイスト』もてんこ盛りだしで、文句のつけようが無いのですけど」


メリーさん太「……けど?」




ちょい悪令嬢「何かどうしても、作品自体そのものの『世界観』が、今一つ理解できないんですよねえ……」




メリーさん太「は? 作品自体そのものの、世界観、って?」




ちょい悪令嬢「勇者たちの立ち位置とか、『大赦』の立ち位置とか、『天の神』と『地の神』のそれぞれの立ち位置とか、一般市民の立ち位置とか、人間の生存圏の具体的な範囲とか、何のために戦っているのかとか、敵は一体何かとか、勝利条件は何かとか、何で戦闘要員がすべて女の子なのかとか、そもそも『勇者』とは何なのかとか──といった感じです」




メリーさん太「それって『まったくわかっていない』ってことじゃ無いか⁉ ──いやいや、そんなに難しくは無いだろうが、『ゆ○ゆ』の世界観て!」




ちょい悪令嬢「そうなんですよねえ、『悪しき存在となった人間たちが、神によって滅ぼされかけるものの、辛うじて別の神の力にすがって反撃を行っていく』と言った、むしろ非常にわかりやすい内容のはずなのに………でも、うちの作者におきましては、いまいち『全体像』をつかみ切れていないのですよ」


メリーさん太「そこはほら、本作において何度も言ってるように、実は本作の作者って『にわか』と言っていいほど、別にそれ程アニメ等のオタクカルチャーに造詣が深いってわけじゃ無いから、いまいち理解が及ばないんじゃないのか?」


ちょい悪令嬢「ええ、実は作者自身も、そのように自覚していたのですけど……」


メリーさん太「そうだろう、そうだろう」




ちょい悪令嬢「──と思っていた時期が、わたくしにも有りました!」




メリーさん太「えっ、またそのパターンなの⁉」




ちょい悪令嬢「だから冒頭でも申しましたでしょう、『わたくしだけでは無かった』って」


メリーさん太「それって、もしかして⁉」




ちょい悪令嬢「ええ、自他共に認める『アニメオタク』──特に、長年の『ゆ○ゆの大ファン』の方すらも、現行の【アニメ版】のストーリーは、非常にわかりにくいそうなんですよ」




メリーさん太「──なっ⁉」




ちょい悪令嬢「とにかくですねえ、『ルール』があまりにもあやふやなんですよ」


メリーさん太「……ルール、だと?」


ちょい悪令嬢「先ほどの『世界観』とか『勝利条件』とかって、少々抽象的過ぎると思いましたので、よりわかりやすく言い直してみたのです」


メリーさん太「お、おう」




ちょい悪令嬢「ぶっちゃけ何よりも肝心な『勇者の力のレベル』自体が、まったくわからないのですよ。仮にも神様と戦っているのだから、むちゃくちゃ強いんだろうけど、あっけなくボロ負けして身体欠損したかと思ったら、その次には神様の軍団を殲滅して、なぜか五体満足に復活したりして。──ていうか、そもそも戦っている『舞台』が、四国なのか宇宙なのか神の領域なのか異次元なのかはっきりしないし。更には時代背景も、現代日本とそっくりそのままなのに、何と今から数百年後の話だと言うではありませんか? いやいやいや、その間文明は進化も後退もしなかったのかよ? むしろ数百年間も神の攻撃をしのぎきったと言うのなら、もはやその時点で『大勝利』と言っても過言では無いのでは?」




メリーさん太「……た、確かに」




ちょい悪令嬢「特に今回の最新話においては、文字通りにクライマックスと言うことで『最終決戦』が大々的に行われたのですが、驚いたことに、主人公側の各勢力が、それそれ『バトルの目的』が違ったりするのですよ!」


メリーさん太「な、何だ、そりゃ?」




ちょい悪令嬢「すべての黒幕の『ゼ○レ』みたいな人たちは、人類の味方の神様と一体化することで『人類補○計画』を実行することだし、なぜか異様に人気の高い『勇者候補生』だか『防人』だか『量産型』だかの女の子たちは、何が何だかわけがわからないままに、主人公の勇者たちの戦いを掩護することだし、そして肝心の勇者たちはと言うと、とにかく仲間を『人類補○計画』から助け出せばそれでいいって感じだし、こりゃあBE○Aさんとしても、『また人間同士で争っている……』とぼやかずを得ませんわ」




メリーさん太「いや、BE○Aは作品が違うだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「同じですよ、宇宙空間みたいなところから、人間がまったく太刀打ちできない、『圧倒的脅威』がやって来るのですから」


メリーさん太「なんか最近、そんな作品ばかりだな⁉ それにしてもいくら何でも、『人類補○計画』は無いだろう⁉」


ちょい悪令嬢「……黒幕たちが次々と、人としての形を失い、砂になって崩れ落ちるんですよ?」


メリーさん太「──『人類補○計画』以外の何物でも無いじゃん⁉」


ちょい悪令嬢「そんなことよりも問題は、他ならぬ勇者たちですよ。何ですか『最終決戦』だというのに、自分たちの仲間を助けるために、勇者システムを管理している宗教組織に歯向かうばかりか、そもそも勇者の力を与えてくれている神様に戦いを挑むなんて。『友情物語』をしたいんなら、もっと平和な時代に平和な方法でやれよ⁉」




メリーさん太「……え、何で勇者の力を与えてくれている神様に、勇者の力で反抗することができるの?」




ちょい悪令嬢「そこなんですよ、本作の作者が、何よりも違和感を覚えているのは」


メリーさん太「違和感、とな?」




ちょい悪令嬢「本作において何度も申しているように、『アンチ的な全否定』は厳禁であり、どんな作品でも『得るもの』があるはずなのですよ。──しかし、この『ゆ○ゆ』シリーズって、集合的無意識論や多世界解釈量子論的に、語るべきところが無いんですよねえ……」




メリーさん太「この場合『集合的無意識』は、勇者としての力を与えてくれている文字通りの神様である、『神樹様』ってことになるのか?」


ちょい悪令嬢「だったら、主人公と集合的無意識とのアクセスを全面的にカットするだけで、勇者の力を奪うことができて、絶対に『反抗』なんてさせないでしょう」


メリーさん太「ああ、確かにそれはおかしいよな⁉」


ちょい悪令嬢「『ま○か☆マギカ』のキュ○べえみたいに、一度願いを叶えてやればそれっきりで、キュ○べえ自身でも取り消すことができないとかいう設定なら、わからなくも無いですが、どうも勇者たちは、常に『神樹様』から力を得ているようなんですよねえ」


メリーさん太「そういえば、この作品て、『ま○マギ』の影響が大きいんだっけ?」


ちょい悪令嬢「それならそれで構わないんですけど、この作品の最大の『ウリ』の一つが、迫力満点な『バトルシーン』でしょ?」


メリーさん太「うん、そうだな。特に最新話においては、その点に関しては、諸手を挙げて称賛できるよな」




ちょい悪令嬢「──とはいえ、『お手本』になった『ま○マギ』のほうは、むしろバトルに対しては『否定的』だと思うんですけどね。ド派手な戦闘描写という意味では『ゆ○ゆ』に勝るとも劣らずのハイレベルですが、後ほど『魔女を退治すること』の真の意味を知った時の絶望感ときたら。つまり『ま○マギ』においては、『戦うことバトル』自体がまったくの無駄だったのですよ」




メリーさん太「うっ、反論できねえ⁉」


ちょい悪令嬢「それなのに、明らかに『ま○マギ』の影響が大きい『ゆ○ゆ』が、バトルをどちらかと言うと『肯定的』に捉えているのが、どうしても『ちぐはぐ』に感じられるのですよねえ……」


メリーさん太「──だったらどうして、それこそ作者自身『否定的』に捉えている『ゆ○ゆ』を、いまだに切らずに視聴し続けているんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「……え? 本作の作者はもちろんわたくし自身も、別に『ゆ○ゆ』のことを、否定したりはしていませんけど?」




メリーさん太「はあああああああああああああああああああ⁉」




ちょい悪令嬢「それどころかむしろ、『好ましい』とすら思っていますよ?」


メリーさん太「世界観自体そのものがおかしいとか、ルールがまるでなっていないとか、散々な言いようだったじゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「、素晴らしいのではありませんか!」


メリーさん太「へ?」




ちょい悪令嬢「世界観が定まっておらず、ルールがあやふやで、次に何が起こるかわからず、キャラたちが何をするか定かでは無い──って、これぞまさしく、『現実世界』そのものではございませんの?」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「もちろん、『ま○マギ』や『進○の巨人』や『ひぐ○しのなく頃に』のように、作品自体がアニメとして『イレギュラー』なのも素晴らしいと思いますが、一応のところアニメとしては『レギュラー』なのに、世界観やキャラクターが予測不能な展開ばかり見せることによって、結果的に『イレギュラー』になるというのも、見ていて飽きないと思いません?」




メリーさん太「──うっ」




ちょい悪令嬢「しかも極上の作画と極上のキャラデザによる美少女たちが、全編大活躍してくれるのですよ? これを見逃す手は無いでしょう」


メリーさん太「……ああ、キャラデザと言えば、何と言っても本作の作者の大のお気に入りの『BUNB○N』大先生が、『キャラクター原案』を担当されておられるからな」


ちょい悪令嬢「まさかBUNB○N先生のキャラを、あれ程忠実に再現してくださるなんて! これはかの『SA○』でも不可能だったというのに!」


メリーさん太「一応『SA○』のキャラクター原案は、『BUNB○N』先生では無いことになっているだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「とにかく、『ゆ○ゆ』のような息の長いシリーズは、最終話まで見てみないことには、正しい評価はできませんからね! 今回においてお話について行けなくなりかけたファンの皆様も、ここが『踏ん張りどころ』です! 最後まで頑張りましょう!」













メリーさん太「……すげえ、途中まで完全に『アンチ』そのものだったのに、最後の最後に180度方向転換しやがった。まさしくうちの作者こそが、『令和の口先の魔術師』だよな」







(※次回は一転して、実は『ゆ○ゆ』シリーズがしっかりと『集合的無意識論』に基づいていることを、詳細に解説いたします!)

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