第913話、わたくし、藤○剛志先生の作品テーマは、『少年よ、現実に返れ』だと思いますの⁉

メリーさん太「──いやいやいや、それは無いだろう⁉ 同じ藤○先生の作品の主人公とはいえ、『即死チート○最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』の夜○君と、『姉ちゃん○中二病』の雄○君とは、『同じモノ』どころかむしろ、『真反対』と言っても過言じゃ無いだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「真反対、ですか?」




メリーさん太「『即死チート』のほうはタイトル通りに、とにかく自分に危害を加えようとする相手を殺し回っているけど、『姉ちゃん○中二病』のほうもタイトル通りに、中二病の姉ちゃんに無駄に高度な戦闘能力を仕込まれているだけで、雄○君自身は基本的に戦うこと自体を面倒くさがっていて、たとえ相手が極悪非道でガチで自分を殺そうとしてこようが、わずかな例外を除いて命まで奪ったりしないじゃないか?」




ちょい悪令嬢「まあ確かに、敵キャラに相対するスタンスは、違っているようですね」


メリーさん太「それだけじゃ無いぞ、何よりも雄○君てば、『即死チート』を無効化したことすら有るからな!」


ちょい悪令嬢「ほう、そういえばそうでしたね。──それで、どのようにして、無効化したんですっけ?」


メリーさん太「……ええと、具体的には一度止まった心臓を、自ら拳で強打することによって、蘇生に成功したんだっけ」


ちょい悪令嬢「それって『即心臓停止チート』であって、厳密な意味では『即死チート』では無いのでは?」


メリーさん太「あ、いや、そもそも『この領域から一歩でも足を踏み出せば死んでしまう』という呪いをかけられていたわけで、心臓停止はその結果に過ぎず、雄○君がそのまま死んでしまわないこと自体がおかしいのであって、事実上『即死チート』と同様の効果が有ったものと思われるんだけど……」


ちょい悪令嬢「雄○君ご自身は、何とおっしゃってますの?」


メリーさん太「……確か、『そんなのおまえらが勝手に決めたルールに過ぎず、何で俺たちがそれに大人しく従わなければならないんだ⁉』、とか何とかって」


ちょい悪令嬢「──あははははは! それはいい! 何とも明解ですね!」


メリーさん太「笑いこっちゃ無いだろ⁉ これでもしも本家本元の夜○君の『即死チート』に対しても、『そんなこと知ったこっちゃ無い』が通用してしまったら、同じ作家の主人公同士のバトルが始まるぞ⁉」




ちょい悪令嬢「いえいえ、むしろこのことによってこそ、雄○君と夜○君が、『まったく同じスタンス』であることが、はっきりといたしましたわ!」




メリーさん太「は?………………………いやいやいや、何でだよ⁉」




ちょい悪令嬢「何でも何も、雄○君が『何者』であり、彼が『何』を打ち破ってきたのかを考えれば、自明の理ではございませんか?」


メリーさん太「雄○君が、何者かって、いきなりそんなことを言われても……」


ちょい悪令嬢「あら、それこそ『姉ちゃん○中二病』においては、それぞれのキャラの『属性』が、一目でわかるシステムになっていたではありませんか?」


メリーさん太「ああ、『ソウルリ○ダー』のことか⁉ そういや最終巻の大詰めの辺りで、あの『マギ○コの灯○ちゃん』みたいなロリ少女ア○ターが、雄○君の詳細なる『属性』を読み取っていたよな?…………ええと、何だっけ、確か、『けして中折れしない者』だっけ?」


ちょい悪令嬢「──『最後に立っている者』だよ⁉ 何が『中折れ』だ!」


メリーさん太「同じことじゃんw」


ちょい悪令嬢「『勃っている』では無く、『立っている』だよ! てめえわざとだな⁉ それに何だよ、『姉ちゃん○中二病』のエ○デちゃんのことを、『マギ○コ』の灯○ちゃんちゃんみたいって?」


メリーさん太「ほら、クラシカルなドレスを着込んでいるとことか、いかにもタカビーなとことか、灯○ちゃんそのものじゃん?」


ちょい悪令嬢「むしろ『魔法少女属性』としては、ね○ちゃんのほうに近いですけどね!」


メリーさん太「──それで、いい加減さっきのあんたの問いかけに戻りたいんだけど、その『最後に立っている者』である雄○君が、全七巻にわたる本編中において、一体『何』を打ち破ってきたと言うんだよ?」


ちょい悪令嬢「それはもちろん、本編における敵役である、『世界観保持者』──すなわち、『ホ○ダー』や『ア○ター』の皆さんですよ」


メリーさん太「──そ、それって⁉」




ちょい悪令嬢「そうです、『姉ちゃん○中二病』の雄○君は、絶大なる超常の力で世界そのものを自分たちの『世界観』に染め抜こうとしている埒外の存在たちに対して、その歪んだ世界観をすべてぶち壊して、現実世界を守り抜いてきたのです。──まさしく、『即死チート』の夜○君同様にね」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「雄○君には異能の力がまったく無いように描写されているからわかりにくいですが、やっていることはまさに夜○君の『即死チート』と同じことなのです。世界を邪悪な力で支配して、『自分を中心カミサマとした物語』にしようとしている者たちを、あらゆる意味において『無力化』して、超常現象なんてまったく起こり得ない『現実世界』を取り戻そうとしているという意味では、結果的に御同様ですからね」




メリーさん太「この世からあらゆる超常現象を無効化することこそが、真の意味での『即死チート』だと⁉」


ちょい悪令嬢「他ならぬ本作において、『超常現象を無効化する』方法と言えば、何を思い浮かべますか?」


メリーさん太「そりゃあもちろん、他者の集合的無意識とのアクセス権の、強制的遮断だろ?」


ちょい悪令嬢「同様に本作における、集合的無意識論や量子論に則っての、『即死チートの仕組み』についての見解って、どのようなものでしたっけ?」


メリーさん太「そりゃあもちろん、他者の集合的無意識とのアクセス権の、強制的遮断………………………って、まったく同じじゃ無いか⁉」




ちょい悪令嬢「そうなんですよ、『方向性』が違うだけで、雄○君も夜○君も、自分自身で意識しているかは別にして、最終的に作品内において『現実世界』を取り戻そうとしているという点では、まったく同一と言えるのです」




メリーさん太「現実世界を取り戻す、って……」


ちょい悪令嬢「実はこれこそが、どうやら藤○先生の全作品を通しての、『メインテーマ』のようでもあるんですよね」


メリーさん太「……いや、確かに『姉ちゃん○中二病』では最終巻でそのようなことが言及されていたけど、そもそも異世界を舞台にしている『即死チート』のほうに関しては、そんなテーマなんてあり得ないだろうが?」


ちょい悪令嬢「あら、そんなことは無いですよ? そもそも夜○君たちは最初から、自分たちとっての唯一無二の『現実世界』である、現代日本に帰ろうと努力し続けているではありませんか?」


メリーさん太「──うっ」


ちょい悪令嬢「しかもその手段として、いかにも『超常の象徴』そのものである『賢者』さんたちから、超常の力の源とも言える『賢者の石』を奪い続けていますしね」


メリーさん太「──ううっ」


ちょい悪令嬢「それに何よりも、夜○君が異世界の実力者たちを次々に、全次元からその存在そのものを抹消していくにつれて、当該異世界だけでは無く、文字通りに全次元から超常現象が無くなっていき、すべてが現実世界へと収束していっているのですからね」


メリーさん太「──うううっ……………………………て、まさか、それって⁉」




ちょい悪令嬢「そうです、『現実世界への帰還』のためには、別に『世界間移動』自体を必要とはせず、現在いる異世界から超常現象をすべて取っ払って、現実世界に塗り替えることによっても実現できるのですよ」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「ちなみに実はこれは、本作『わたくし、悪役令嬢ですの!』における、結末案の一つだったりもします」




メリーさん太「──おいっ、いかにもついでみたいにしてポロッと、重大な発言をしたりするなよ⁉」


ちょい悪令嬢「まあ、予定は未定ですから、別にこれで『決定』と言うわけではありませんし」


メリーさん太「それでも心臓に悪いだろうが⁉ 読者の皆さんもきっと、びっくりしておられるぞ⁉」




ちょい悪令嬢「──それはともかくとして、『即死チート』のほうがどんな結末を迎えるのか、果たして今回の本作の予測は当たっているのか、非常に楽しみですねえ♡」













メリーさん太「……いや、すでに完結している『姉ちゃん○中二病』のほうにしたって、別に『完全なる現実世界』になったわけじゃ無いだろうが?」

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