第914話、わたくし、高齢者介護も『地域ぐるみ』で行えば、楽勝だと思いますの♡

ちょい悪令嬢「──さて、ここ最近難解なテーマのエピソードが続いておりましたので、今回は久方振りに、ついにクライマックスを迎えた今期の秋アニメや、現在絶賛無料配信されている旧作アニメについて、語っていきたいと思います!」




メリーさん太「……何かすげえ落差だな? ──それよりも、大丈夫なのか?」




ちょい悪令嬢「大丈夫とは、何がでしょうか?」


メリーさん太「──ほら、本作の作者の父親の介護の件だよ! 結局当分の間は父親の実家で、作者自身が介護することになったんだろ?」


ちょい悪令嬢「地元にいる歳の離れた姉のほうは、まだ市役所に在職中ですからね」


メリーさん太「だったら、今その準備に忙しいだろうし、これから先は今までみたいに、コンスタントに小説を作成できないんじゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「そこら辺は大丈夫です!」


メリーさん太「大丈夫、って……」




ちょい悪令嬢「痴呆老人の介護と言うと、いかにも大変そうに思われていますし、最近何かと『不幸な事件』が世間を騒がせておりますが、それはあくまでも介護の担い手自身が、『一人で抱え込もうとしている』からなのです。──しかし! すでに超高齢化社会となりつつあるこの日本国において──中でも特に、高齢者の人口割合の大きい田舎の自治体においては、当然のごとく『高齢者サービス』がどんどんと充実して行っていて、もはや文字通りの『地域ぐるみの介護』が実現されていて、介護対象の御家族の負担が限りなく軽減されているのです!」




メリーさん太「……地域ぐるみの介護、だと?」


ちょい悪令嬢「その地域の自治体を中心として、各医療機関や福祉機関の連携のもとに、定期的な医師や看護師の訪問検診はもちろん、巡回入浴サービスや食事の宅配や自宅のバリアフリー化等の改築に、掃除洗濯の代行等日常生活のお世話に至るまで、至れり尽くせりのサービスが、格安の費用で享受できるのです!」


メリーさん太「入浴や食事や掃除や洗濯って、そんなの高齢者の家族がやるべきことじゃ無いのか⁉」


ちょい悪令嬢「そんな考えはすでに時代遅れであり、その思い込みこそが、これまで『介護とは困難なこと』という誤った考えを蔓延らせていたのです!」


メリーさん太「時代遅れ、って?」


ちょい悪令嬢「そりゃあ二昔ほど前の話なら、大勢の若い世代で一人の高齢者を支えれば済みましたが、昨今の『少子高齢化』の急激なる進行により、高齢者一人に対して一人の介護者──それも、必ずしも『若者』とは限らず、下手するとすでに50代以上の、自分自身も高齢にさしかかっている者たちが担わざるを得ないという、過酷な状況となっており、とても家族が個人的に行うには無理があり、もはや『地域ぐるみ』の介護サービスこそが基本となっているのです」


メリーさん太「ああ、『80・50問題』なんて言われているやつか」


ちょい悪令嬢「今では『90・60問題』に、シフトしつつあるそうですよ?」


メリーさん太「……うわあ、本当に大丈夫なのか、これからの日本⁉」


ちょい悪令嬢「だから、これからは『地域ぐるみ』で行くんですってば。──それに、たとえ介護人が若かろうが、やはり一人で年老いた親の面倒なんて見られませんからね」


メリーさん太「え、何で?」


ちょい悪令嬢「例えば年老いた親御さんを入浴させることだけでも、もしも完全に痴呆化している場合は、もはや不可能と言っても過言では無いのですよ」


メリーさん太「……年老いた親の入浴の世話なんて、痴呆になる前にも行っていた御家族の方って、結構いるんじゃ無いのか? 言っちゃ何だが老衰状態だと、身体のほうも痩せ細っているだろうし、それほど困難なものでは無いのでは?」




ちょい悪令嬢「そりゃあ、親御さんのほうの意識がはっきりしていれば、最低限は『自分の意思で動いてくれる』でしょうけど、まったくこちらの思う通りに動いてくれない数十キロの『物体』を、服を脱がしたり風呂桶の中に入れたり身体を洗ったりすることが、どんなに大変かおわかりになります?」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「しかも『水の中』においては、常に危険が伴っていて、介護人の不注意で親を溺れかけさせたりした場合、たとえ命が助かったとしても、恐怖心を植えつけてしまって、それ以降けして入浴してくれなくなることだって、十分あり得るのですよ?」


メリーさん太「確かに入浴中に溺れかけたりしたら、風呂嫌いになっても当然だよな」


ちょい悪令嬢「よって現在においては、高齢者用に改良を施した特殊な浴槽を設置した車両で巡回して、介護の専門家の方が入浴のお世話を行ってくれることになっております」


メリーさん太「え、それって、家族は何もしなくてもいいってことなの?」


ちょい悪令嬢「ええ、基本的には。──それどころか、先ほどもちらっと申しましたけど、高齢者に関わる食事や清掃から洗濯、果てには『排泄行為』のお手伝いまで、すべて専門家の方がやってくださいます」


メリーさん太「ホント、至れり尽くせりじゃ無いか⁉ 確かに想像以上に家族の負担は軽減されているけど、利用料金のほうがとんでもない額になるのでは無いのか⁉」


ちょい悪令嬢「それがそうでも無いのですよ」


メリーさん太「どうして⁉」




ちょい悪令嬢「これまで述べてきたことのほとんどが、公共機関によるサービスであり、しかも『介護保険』の適用範囲となるので、実際にかかった費用の一割から三割程度を支払うだけで済むのです!」




メリーさん太「──保険の適用される公共サービスなんて、最強じゃんか⁉」




ちょい悪令嬢「どうです、この超高齢化社会だからこその、日本の公的介護サービスの充実ぶりは? たとえ読者の皆様が将来親御さんの介護をすることになったとしても、まさしく『恐れるに足らず』でございましょう?」


メリーさん太「……うん、良くわかったけど、今回のメインテーマである、『今期の秋アニメの考証』は、一体どこに行ったんだよ?」


ちょい悪令嬢「──おっといけない、少々熱が入りすぎましたわ」


メリーさん太「こんなことを延々と聞かされて、読者の皆様には、いい迷惑だろうよ⁉」


ちょい悪令嬢「いえ、むしろ皆様には、是非ともお聞きになっていただきたかったのです!」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「最近立て続けに『親の介護』に関して痛ましい事件が起こっておりますが、これはひとえに、『介護に対する誤った先入観』と、『介護の担い手自身のコミュニケーション能力不足』が原因なのです! だからこそ今回全編を通して、介護に対する正しい知識と、いかにコミュニケーションが大切であるかを、ご提示した次第であります!」




メリーさん太「……うん、確かに正しい知識は重要だし、今回本作においてもこの部分に力を入れており、読者の皆様にも納得していただけたと思うけど、『コミュニケーションの大切さ』とは、何だ?」




ちょい悪令嬢「今まで述べてきたように、現在における介護は何と言っても、『地域ぐるみ』を基本としており、高齢者の家族である主な介護人だけでは無く、大勢の専門家の協力のもとに行われています。──このように申すと、いかにも『万全な態勢』のように思えますが、何と言っても肝心の御家族の方が、専門家の皆様との間にしっかりと『意思疎通コミュニケーション』が行われていないと、どんなに素晴らしいサービス態勢であろうとも、実効性は望めないでしょう。──さて、最近介護に関して重大な事件を起こしている『オタク』の皆様にとって、最も苦手なものとは何でしょうか?」




メリーさん太「事件等の問題を起こすオタクと言えば、『引きこもり』。引きこもりの最も苦手なものと言えば、『人と人とのコミュニケーション』……ッ!」




ちょい悪令嬢「そうです、別に高齢者である親の介護をするからと言っても、やろうと思えばWeb小説の作成だってできるし、大好きなアニメ視聴すらもあきらめる必要はありません。──ただし、そのためにこそ、介護そのものが余裕をもってうまく行くように、大切な協力者である、専門家の皆様と十分な意思疎通をはかっておくことが肝要なのでございます! さあ皆様も、将来の快適な(自分の趣味をけしてあきらめる必要の無い)介護ライフを送るためにも、コミュニケーション能力を磨き抜いて参りましょう!」













メリーさん太「……ええと、今回の本来のテーマである『アニメ考証』につきましては、次回以降に行う予定でございます(汗)」

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