第839話、【祝一次突破】わたくし、もう死んでいる美少女探偵『ゾンビィ39号』ですの⁉(解説・後編)

ちょい悪令嬢「──と言うわけで、ほんのちょっと型破りですけど、本作独自の『魔法少女』を、『鬼の隠れ里』へと赴かせたわけなのですよ☆」




メリーさん太「どこが『ほんのちょっと』だよ⁉ そもそも『魔法少女』どころか実際上は『ゾンビ』だなんて、そんなトンデモ設定は、この作品のヒロインには無かっただろうが⁉」




ちょい悪令嬢「ええおっしゃる通り、このアイディアを『三つ子の魂いつまでも』の続編において活用しようと思い立った際には、純粋に『魔法少女』あたりにしようと思っていたのですが、まさか『ゾンビ』になってしまうとは考えてもいませんでした」


メリーさん太「『魔法少女』になってしまうだけで、十分とんでもないよ! このヒロインて、『多重人格探偵』であること以外は、一応普通のJKだっただろうが⁉」


ちょい悪令嬢「──まさにその、『多重人格』であるところこそが、『ミソ』なのですよ!」


メリーさん太「………何だと?」




ちょい悪令嬢「『多重人格』や『先祖返り』等の『別人格化』って、実は何らかの形で『集合的無意識とのアクセス権』を手に入れて、『別の人格の情報』をダウンロードして自分の脳みそにインストールすることによって実現しているのですから、同じようにして『魔法少女』や『魔女』の『人格情報』をダウンロードすればいいわけなのです」




メリーさん太「──またそのパターンかよ⁉…………いや、でも、『人格』だけ魔法少女や魔女になったところで、『魔法』の類いを使えるようになるわけじゃ無いのでは?」




ちょい悪令嬢「……そこなんですよねえ、これが異世界を舞台にした物語なら、すべての生物の肉体はかのクトゥルフ神話で高名なる『不定形暗黒生物ショゴス』によって形成されているとか、それこそ『トンデモ設定』をぶち込むところなんですけどね」


メリーさん太「もしも『三つ子の魂いつまでも』のヒロインの肉体がショゴスでできていたりしたら、もはやリアリティもへったくれも無くなってしまうよな」


ちょい悪令嬢「そこで苦し紛れのアイディアとして、主人公である探偵助手の少年が連れ歩いているのは、本物の探偵少女、(ショゴスみたいな物質でできている)『ロボット』ということにして、事件の推移等の必要に応じて集合的無意識からダウンロードする様々な『人格情報』によって、『魔法少女』や『魔女』になったりして、『魔法』のような超常現象も起こせると言うのも考えたのですけどねえ」


メリーさん太「──そもそも、何でヒロインが、いきなりロボットになってしまうんだよ⁉」


ちょい悪令嬢「本編ラストでヒロインとラブラブな関係になった、実は『超過保護』だったりする助手の少年が、『危険な怪事件の現場に愛する先輩を連れて行くことなんかできない!』とか言い出して、その代わりに彼女そっくりの、変幻自在の(ショゴスでできた)ロボットを連れ歩くようになったのですよ」


メリーさん太「完全に『本末転倒』じゃん⁉ ちゃんとヒロイン本人を、物語に登場させろよ!」




ちょい悪令嬢「──と言うわけで、いっそのことヒロインを殺して、『ゾンビ』にすることにいたしました☆」




メリーさん太「………………………………は?」




ちょい悪令嬢「作品本編でも述べましたが、ありとあらゆる存在のいかなる情報でも集まってくるとされている集合的無意識には、『生前の彼女自身の人格情報』も存在していますから、屍体を物理的に修復した後に、その『人格データ』を再インストールすることで、生前通りの彼女を取り戻すことも不可能ではありませんし、更には少々強引ですけど『死体は通常の固定された人間の肉体から解放されたようなものだから、ショゴスみたいに変幻自在の能力を獲得できてもおかしくは無い』と言うトンデモ設定を付け加えれば、同じように集合的無意識から『魔法少女』等の『人格情報』をインストールして、自分の肉体や周囲の物質を変化メタモルフォーゼさせることによって、本物の魔法少女そのままに、様々な『魔法』を実現できることになるといった次第ですの」




メリーさん太「ああ、本作でお馴染みの、『軍艦擬人化少女』とかと同じパターンか………………………………では無くて! 何だよ、『ヒロインを殺した』ってのは⁉」


ちょい悪令嬢「もちろん、魔法少女にするためだけに殺したとかでは無くて、実は『ある難事件の解決に当たっている時に、犯人の凶行によって殺害されてしまった』とか言った、いわゆる『不慮の出来事によって身罷った』のでございますの」


メリーさん太「……それで、実は自分も『多重人格者』で、他人を強制的に集合的無意識にアクセスさせることのできる助手の少年が、魔法少女どころか、何にでも変化メタモルフォーゼできるショゴスそのままの、『美少女ゾンビ探偵』にしてしまったというわけなのか?」


ちょい悪令嬢「ええ、そうです」




メリーさん太「──いやいやいや、それってつまりその少年は、かつて自分が愛していた少女を、自らの手でゾンビにして連れ歩いているってことだろ? 完全に『サイコ』じゃん⁉ 一応SFテイスト等はあったものの、しっかりとハッピーエンドに終わったラブコメ作品の主人公が、どうしてそうなった⁉」




ちょい悪令嬢「もちろんすべては、ヒロインへの『愛』ゆえですよ」




メリーさん太「……何、だと?」




ちょい悪令嬢「前回さきほども名前が挙がっていましたが、これってまさしく『ゾンビラ○ドサガ』における、幸○郎さんとさ○らちゃんの関係そのものじゃないですか?」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「それに実はこれは、何よりもかの超傑作魔法少女アニメ『マギア○コード』セカンドシーズン第7話にも、大いに触発されているのです!」




メリーさん太「へ?」




ちょい悪令嬢「本作において何度も何度もご紹介して参りましたが、最新第7話における『ウワサの鶴○』ちゃんは、『魔法少女=ゾンビ』という『ま○か☆マギカ』シリーズにおける最重要の『根本的設定』を、全関連作品において初めて具体的に実演フィーチャーしてくださったのです。どんなに傷つこうが『歪な笑顔』を絶やさずに、まるで壊れた人形のように戦い続けるその有り様は、完全に『マギ○コ』という作品のそれまでの世界観そのものをぶち壊し、全登場人物はおろかすべての視聴者すらも、衝撃と絶望の坩堝に叩き落としてしまいました。──これを目の当たりにした、丁度『三つ子の魂いつまでも』の続編作成に思い悩んでいた本作の作者が、大いに感化されないわけが無かったのでございます!」




メリーさん太「そ、そうか、そもそも本作の作者お得意の『ショゴスの肉体を持った魔法少女』ってのは、『ま○マギ』シリーズにおける『魔法少女=ゾンビ』という(裏)設定こそが、発想の根源だったんだしな」




ちょい悪令嬢「──それだけではございません! むしろゾンビだからこそ、主人公のヒロインに対する『至上の愛』すらも、描き出すことができたのです!」


メリーさん太「……ゾンビならではの、『至上の愛』、だと?」




ちょい悪令嬢「本来なら、どんなに愛し合っていようと、相手が死んでしまえばそこで『終わり』であり、永遠に『離れ離れ』になる他はありません。──しかし、ヒロインはおろか主人公も、たまたま『多重人格者』だったりして、集合的無意識とのアクセスの素養チカラがあり、しかも主人公のほうは、他者を強制的にアクセスさせることさえもできるので、ヒロインの死体に集合的無意識から彼女自身の『生前の人格データ』をダウンロードしてインストールし続ければ、実質上はゾンビであるものの、一応肉体的にも精神的にも生前そのままの彼女を維持できて、『術者』である主人公自身が朽ち果てるまでは、永遠に彼女と共にいることができるという、むしろ理想的な関係を築くことができたのですわ♫」




メリーさん太「──狂っている、その主人公はもちろん、そんな作品を創ってしまった、本作の作者自身も!」




ちょい悪令嬢「あら、これぞ真に理想的な『愛の物語』であるとともに、真に理想的な『探偵物語』でもあると言えるのではないですか?」


メリーさん太「探偵物語?………………………確かにヒロインは、生前『学園探偵』をやっていたけれど」




ちょい悪令嬢「だって、『探偵はもう、死んでいる』はずなのに、今も身も心もちゃんと助手の少年と共にあるのですよ? どこかの『ラノベ&アニメ』作品よりも、よほど『タイトル』を忠実に実現していると思われません?」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「それに、『狂気や憎悪』こそは、『真の愛』の裏返しなのですから、『マギ○コ』最新第7話において『ウワサ』化して『ゾンビ』の本性を現した鶴○ちゃんが、最愛の『や○よしょー』を執拗に攻撃し続けたように、当作品における主人公が、せっかく安らかに眠っていたかつての『探偵少女』を、あえておぞましき『ゾンビ』として甦らせて、『探偵と助手』としての関係を装いながら、実のところは『彼女の屍体ヌケガラ』に過ぎないモノを連れ回しているという、彼女に対するこの上なき『冒瀆的行為』さえも、『愛の形』であることには違いないのですよ♡」

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