第823話、【夏のホラー】わたくし、あまりに過分なる高評価に、心から感謝いたしますの♡(後編)

メリーさん太「『──総員、傾注! ショタ剣闘士くんは、実は鬼でした♡』って、いくら何でも唐突すぎるだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「……いやだから、最初からタイトルに、【隠れ鬼】って明示しているではないですか?(──あと、劇場版『幼○戦記』を見ながら、作品づくりをするのはよせ!)」


メリーさん太「【隠れ鬼】とか言われたところで、そもそも今回の『夏のホラー2021』のキーワードが『かくれんぼ』なんだから、てっきりそれに掛けたものだと思うだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「それで『正解』です。──つまり、『ダブルミーニング』を狙った『引っかけ』だったわけですわ☆」




メリーさん太「なっ⁉」


ちょい悪令嬢「それに『鬼』だからこそ、オリジナルの『薔薇○灰に祈りを』の問題点を、すべて解消することができたのですよ?」


メリーさん太「『薔薇○灰に祈りを』の問題点て、さっき(前回の前編で)言ったように、『不死属性』は与えたものの、基本的な運動能力等は普通の人間レベルに過ぎない『奴隷剣闘士』が、真の意味で『無敵』になれるかどうかか?」




ちょい悪令嬢「そうです、『薔薇○灰に祈りを』の剣闘士は基本的に『普通の人間』なのだから、怪物のような怪力も無いし、戦い続ければ腹も減るし疲れるし睡眠も必要だし、そもそもたとえ剣闘士をやっていようが、例えば(『【隠れ鬼】ウチの聖女様はブラックです⁉』における少年剣闘士のように)数十名もの元職業プロ軍人を相手にして、すべて殺しきるまでの『闘争心』を維持することなんて不可能でしょうしね」




メリーさん太「……ああ、ただ単に『不死アンデッド』であるだけなのに、たった一人で大多数の敵を相手に戦い続けたりできるなんて、肉体的にも精神的にもあり得っこないよな?」


ちょい悪令嬢「むしろ(ファンタジー作品のお約束セオリー的に)『アンデッド』は、自分たちのほうが無数に存在してこそ、有効な戦術や戦略を講じることができるのではないでしょうかねえ?」


メリーさん太「そうか、たとえ『アンデッド』であろうとも、大勢の敵に対して無双するなんて展開は、どうしても『御都合主義』の誹りを免れないか…………うん、確かにこれを問題無く実現するには、単なる『人間のアンデッド』よりも、元から『鬼』等としての『チートキャラ属性』があったほうが無難だな」


ちょい悪令嬢「しかも鬼だったら、この作品における最大の問題点も解消できますしね♫」


メリーさん太「最大の問題点、って?」




ちょい悪令嬢「剣闘士自身は別に敵対関係に無いのに、なぜ大勢の元王国軍の兵士たちと戦わなければならないのか──と言う、根本的な『モチベーション』のことですよ」




メリーさん太「あ」




ちょい悪令嬢「これに関してはオリジナルの『薔薇○灰に祈りを』においては、先程(前回の前編で)も申したように、アンデッドは術者が死ねば自分も潰えるので『一蓮托生』の関係にあって、術者の身を守るために全力を尽くすのは当然なのですが、まさかそんな特殊な関係までそのまま『参考』にして自作に導入しては、『パ○リ』の誹りを免れませんので、ここいらはやはり『独自オリジナル設定』が必要になってくるわけです」




メリーさん太「……それが『鬼』という、独自のキャラ設定と言うことか?」


ちょい悪令嬢「そうです、少年剣闘士が鬼であれば、彼自身も『大勢の人間』相手に戦う理由が生じるので、飼い主の聖女様とも『WinーWinの関係』となれるのですよ」


メリーさん太「鬼が大勢の人間と、自ら好んで戦う理由って、一体何だよ?」




ちょい悪令嬢「実は彼は鬼は鬼でも『人喰い鬼』なのであって、人間を一人殺すごとに、『エサ』がどんどん増えていくって寸法なのでございます☆」




メリーさん太「──ッ⁉」




ちょい悪令嬢「これだとさっきの、『スタミナ』や『闘争心』の問題も解決しますからね。現代においても大規模戦争における最大の課題は、『糧食』(等を始める兵站)をどのようにして確保するかに尽きますが、そもそも闘う相手自体が『エサ』ならば、『やる気』も『闘争心』も常に100%維持できますし、まさしく一石二鳥ですわね♫」




メリーさん太「──やめろやめろやめろ、もうやめろ! それってもはや(一応生物として同じ立場での)『戦闘』レベルの話では無く、(食物連鎖&弱肉強食に基づいての)一方的な『捕食』関係になってしまっているじゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「ホラーコンテストの応募作品としては、むしろふさわしいのでは?」


メリーさん太「……珍しく『政治色』が一切無かったと思ったら、むしろ作者の最も『悪い面』が、全開になっていたのかよ⁉」


ちょい悪令嬢「なぜに『人喰い鬼』かと申しますと、そもそもこの作品は『ホラー』では無かったのですが、今回の『夏のホラー2021』にエントリーするための新作が他に無かったので、急遽『人喰い鬼の少年剣闘士』を聖女様の護衛として登場させることで、ホラー色を付け加えることにした次第であります」


メリーさん太「──それにしても、最後の第3話でいきなり登場させるなんて、あまりにも唐突過ぎるだろうが⁉」


ちょい悪令嬢「……それについては、重々反省しております。むしろ第1話の冒頭から、聖女と少年剣闘士との逃避行のシーンにして、そこから『過去のいきさつ』を振り返るといった構成にすべきだったと存じます」


メリーさん太「あー、まあ、今回は(スケジュールの都合上)どうしても『付け焼き刃』にならざるを得なかったからなあ、仕方ないところでもあるわけか」


ちょい悪令嬢「──ただし、基本的に鬼としての頑丈さや戦闘能力が有りながら、聖女様の超絶『治癒魔法』を重ね掛けすると言った『二段構え』は、少年剣闘士の『無敵』ぶりの説得力を増すとともに、当作品における『独自テーマ』の深化も実現しているものと自負するところであります」


メリーさん太「独自テーマって、もしかして本作の第816話の検証の時に語っていたやつか?」




ちょい悪令嬢「そうです、『果たして、死人すらも甦らせる治癒魔法によって、人の命を左右することが、本当に正しいのか?』──です」




メリーさん太「第816話では、戦争や難病等のために極端に短い人生で身罷る場合でも、本人が精一杯生きてきたのなら、(魔法等で下手に生き長らえさせたりせずに)そのまま死なせるべきって話だったけど、どうしてこれに『鬼』を絡めることによって、更にその主旨テーマが深化するんだよ?」




ちょい悪令嬢「超常的な治癒魔法によって延命されるのは、何も味方である普通の人間ばかりでは無く、鬼や魔物や魔王等の、本来人類の敵である超常的存在であろうとも、当然対象になり得るのだから、本作品のように聖女様を敵に回してしまったら、鬼や魔物や魔王等による人類攻略の際において、超治癒魔法で後方支援バックアップすることによって、むしろ人類全体の寿命を縮めることにすらなりかねないってことですよ☆」




メリーさん太「──何で聖女様の治癒能力という、女性向けの『なろう系』作品における『お約束セオリー』から、こんなゲスなストーリーを思いつけるの⁉ ホントこの作者って、性格が悪いよな⁉」




ちょい悪令嬢「とはいえ、今回参考にさせていただいた某作品の聖女さんの『超治癒魔法』についても、頭ごなしに否定しているわけでは無いのですよ? 確かに聖女の力の『万能性』は、『支配者』サイドにばかり都合が良く、『末端の兵士』を絶望のどん底に突き落とすものでしかありませんが、本作においても何度も何度も申しておりますように、『王様の視点に立って物事を考える』ことも絶対に必要なことであって、たとえ末端の兵士を大勢犠牲にしようとも、国家そのものに利益があるのなら、最終的には下々の者にも恩恵が授けられるのであり、長い目で見れば支配者のやっていることもけして間違いとは言えないのです」




メリーさん太「こ、こいつ、最後の最後で、わざとらしく取り繕いやがってッ⁉」




ちょい悪令嬢「本作の作者は単に性格が悪いだけでは無くて、屁理屈を言わせれば右に出る者が無いと、自負しておりますからね♡」










メリーさん太「──そういうところこそが、『人間性に問題がある』って、言っているんだよ⁉」

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