第810話、わたくし、一次通過作『異世界警察は人喰いドラゴンを逮捕できるか?』の解説を行いますの(後編)

ちょい悪令嬢「──と言うわけで、ここからは『第9回ネット小説大賞』一次選考通過作品『異世界警察は人喰いドラゴンを逮捕できるか?』について、具体的に『内容』に触れていきたいかと思います」




メリーさん太「……ほう、それは楽しみだな? 実際どれだけ『短編小説として完璧なまでに完成形』であり、『他には無い独創性』があるのか、じっくりと確かめさせてもらおうか」




ちょい悪令嬢「まずは何と言っても、この作品の最大の『ウリ』としては、ヒロインである某国のお姫様が、『ファンタジー警察』を設立することです!」


メリーさん太「ファンタジー…………警察?」


ちょい悪令嬢「そうです、魔物や精霊等多数の種族が跳梁跋扈している、ファンタジー世界に秩序をもたらすために、『法律による規制』を果敢に行おうと、現代日本準拠の『警察機構』を導入するのです!」


メリーさん太「……それって、『なろう系』なの? 例えば現代日本で警察官だったやつが、『トラック転生』とかして異世界に来るとか?」


ちょい悪令嬢「いえいえ、まだ『なろう系』をほとんど知らない頃に作成したものですので、『転生』も『転移』も一切無しで、元々異世界にいたキャラしか登場いたしません」


メリーさん太「『転生モノ』でも無いのに、現代日本のシステムを異世界に導入するなんて、そりゃあ確かに独創的だな。そもそも普通に考えても、『ファンタジー』と『法秩序』って、根本的に矛盾しているしな」


ちょい悪令嬢「これって単にファンタジーとしてだけでは無く、それこそ『なろう系』を始めとするWeb小説的にも、非常に画期的だったりするんですよ」


メリーさん太「……ファンタジー世界への法規制が、『なろう系』Web小説と、どう関わってくるんだよ?」


ちょい悪令嬢「この『ファンタジー警察』って主に、『勇者』とか『救世主』とか呼ばれている『主人公』系のキャラの横暴に対して、規制をかけることを目標としているのです」


メリーさん太「──ああっ、いわゆる『チート転生者の独善的な横暴を許さない』系の作品なわけか⁉ 確かにそういったWeb作品も少なくは無いよな」


ちょい悪令嬢「基本的には同じようなものですが、先程から申しましているように、この作品ならではの『独創性』があるのですよ」


メリーさん太「もはや『ありきたり』と言っても過言では無い、『なろう系逆張り路線』に、独創性だと?」




ちょい悪令嬢「何も勇者とか救世主とかに限らず、何の罪も無い一般市民が人喰いドラゴンに食い殺された場合であっても、ファンタジー警察の『警視総監』であるヒロインのお姫様は、人喰いドラゴンの味方をして、ドラゴンを討伐しようとした討伐隊ドラゴンスレイヤーズのほうを処罰しようとするのですよ!」




メリーさん太「──何ソレ⁉ 確かに『ファンタジー作品の勇者』や『なろう作品のチート転生者』は、少々やり過ぎなところがあるから、場合によっては罪に問われてもおかしくは無いけど、人喰いの現行犯の人喰いドラゴンは、討伐対象にして当然だろうが⁉」




ちょい悪令嬢「それはあくまでも、『人間主体の現実世界』における考え方に過ぎず、ドラゴンや魔王のような『絶対強者』が厳然と存在している『ファンタジーワールド』においては、話はまったく違ってくるのです」


メリーさん太「……つまりそのお姫様は、絶対強者であるドラゴンや魔王にへつらって、罪を不問にしたってわけか?」




ちょい悪令嬢「いいえ、むしろ自然界における絶対的ことわりである、『弱肉強食』を厳守しただけですよ。ドラゴンは人間よりも強いので、あくまでも『捕食』目的で人間を殺した場合においては、まったく罪には問われないのです」




メリーさん太「『弱肉強食』だあ⁉ むしろそっちのほうこそが文字通りの『無法状態』じゃないか⁉ 人間を食い殺したドラゴンすらも罪に問うことができないのでは、『警察』なんか存在価値は無いだろう⁉」




ちょい悪令嬢「でしたら、牛や豚や鳥や魚を殺して食べた人間も、すべて罪に問わなければならなくなるのですが?」




メリーさん太「何言っているんだよ、人間と、牛や豚とかの家畜とでは、話は全然違うじゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「いえいえ、同じですよ」


メリーさん太「どこがだよ⁉」




ちょい悪令嬢「例えばドラゴンから見れば、人間と牛や豚って、どれ程の違いがあると言うのです? あくまでもファンタジー世界においては、人間は『食物連鎖』の頂点に君臨してはいないのですよ?」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「人間がドラゴン退治をするなんて、養豚場の豚が徒党を組んで人間を殺そうとするようなものだから、『駆除』されても文句は言えないのであり、せめて『法律』を定めて、『ドラゴンスレイヤー』等の罪のある人間だけを人間自身の手で処罰することによって、ドラゴンの怒りがまったく無実の人間にまで及ばないようにしているのです」




メリーさん太「──そのファンタジー警察を設立したお姫様って、頭がおかしいんじゃないのか⁉ それって完全に、ドラゴンや魔王の『目線』じゃないか⁉」




ちょい悪令嬢「そのお気持ち、わからないでも無いですよ? 実はもう一人の主人公として、何とお姫様の幼なじみである『魔王』様も登場するのですが、そちらのほうがメリーさんと同じ立場にあって、始終人間側の味方をして、お姫様に対して突っ込みまくっていたりしてw」




メリーさん太「お姫様と魔王様の立場が逆じゃん⁉ 本作の作者って、独創的なんかじゃ無く、自作のヒロイン同様、『頭がおかしい』だけじゃないのか⁉」




ちょい悪令嬢「──おい、何で『自作のヒロイン』という台詞のところで、わたくしのほうを見た⁉」


メリーさん太「え、自覚が無かったの?」


ちょい悪令嬢「やかましい、『都市伝説』に言われたくは無いわ!」


メリーさん太「そういやこの【座談会】も、公爵令嬢と都市伝説との、立場が逆のような……」




ちょい悪令嬢「──と、ここまででしたら、世間によくある『逆張り』そのままな『天邪鬼作品』に過ぎないのですが、これ以降が『ひと味』違うのですよ!」




メリーさん太「へ? ひと味違う、て……」




ちょい悪令嬢「お姫様がこのような『ファンタジー警察』なんて酔狂なことを始めたのも、実は幼なじみである魔王様のためであり、しかも作品そのものの真のテーマが、『反戦平和主義』と言うことが判明するのです!」




メリーさん太「は? 魔王様ご自身が全否定している『ファンタジー世界における法的秩序の設立』が、実は『無法状態』の具現である、魔王様のためだったってえ⁉ ──しかも、よりによって本作の作者のWebデビュー作品のテーマが、『反戦平和主義』だとお⁉」




ちょい悪令嬢「……あなた、むしろ後半部のほうを、意外に思っているでしょう?」




メリーさん太「そりゃそうだろう、何かと言えば『毒亜ドクーア三国ガー』とか言っているやつのどこが、『反戦平和主義』なんだよ?」


ちょい悪令嬢「『ネタバレ』してしまっては何ですから、あえてぼかしてご説明しようかと思いますけど、丁度いいのでここでは、まさにその『毒亜ドクーア三国』に例えてみましょうか?」


メリーさん太「へ? 『反戦平和主義』と、日本に対して何かと好戦的な『毒亜ドクーア三国』とが、どう関わってくると言うんだよ?」


ちょい悪令嬢「あいつらの支配層が、日本人を憎悪させようと、自国の国民に対して施している『洗脳工作』こそが、むしろ『反戦平和主義』の役に立っているのですわ☆」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「あいつら、戦前の日本国が、『K印』を始めとする半島人を男女を問わず強制的に奴隷にしていたとか、『中つ国』の南のほうの都市で一般市民を数十万人も虐殺したとか、デマばかり国民に信じ込ませて日本人に憎悪を抱かせて、『戦意発揚』を目論んでいるけど、もしも実際に戦争になって、運悪く半島の南半分とか中つ国の南部の一部とかが、日本の占領下となった場合、男も女も強制的に奴隷されたり、何の脈略も無く突発的に一般市民を数十万人も虐殺されたりする怖れがあるってことになるのだから、『K印』半島人も中つ国の南方の人々も、常に生きた心地がしないまま日常生活を行っていかなくてはならなくなるわけで、そんな思いをするくらいなら、『絶対に日本と戦争をしてはいけない! せっかく日本が平和主義になっているのに、日本人を怒らせて虎の尾を踏む必要は無い! そんなに戦争をしたかったら、おまえら支配層だけで勝手に戦争しろ!』と、むしろ『戦争断固反対』の『反戦平和主義』一色に染まることさえも、十分あり得るでしょう」




メリーさん太「……ああなるほど、日本人が半島人をすべて奴隷にして、数十万人の中つ国人を虐殺してしまうほどの、『鬼や悪魔』そのものの存在であることが、デマでは無く厳然とした事実なら、そんな『悪鬼羅刹』にケンカを売ろうとする『毒亜ドクーア三国』の支配層こそ、命知らずのクレイジーと言うことになり、民衆が従う必要はまったく無くなるよなw」




ちょい悪令嬢「同じように、わざわざ『魔王様』に対してケンカを売るなんて馬鹿の極みであり、異世界の一般庶民の皆様は、むしろ頭がおかしいよそ者である『チート転生者』こそをみんなで叩き潰すべきって言うのが、今回ご紹介した『異世界警察は人喰いドラゴンを逮捕できるか?』及び、現在考案中の『異世界裁判』という新作の、最大の(隠し)テーマだったりするのです」




メリーさん太「そうか、ここ最近の『終戦記念日特別編』において口を酸っぱくして述べたように、軍事における正解は『自ら戦わないことで、相手にも戦わせない』ことであり、それを実現している日本の自衛隊こそが、真の『平和の具現』と言うことか」




ちょい悪令嬢「──といった具合に、むちゃくちゃ深いテーマを、たった四百字詰め原稿用紙三十枚の中に凝縮し、しかも物語的にも抜群に面白いという、第9回ネット小説大賞一次選考通過作品『異世界警察は人喰いドラゴンを逮捕できるか?』は、絶対読まないと損をしますので、是非騙されたと思って、ご一読なさってみてください♡」













メリーさん太「……………………この作者の作品ことだし、本当に騙されたりして」

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