第807話、わたくし、戦争責任を追及し過ぎると、新たな戦争になるだけだと思いますの⁉
「──急げ! グズグズしていると、すべてが『ヴァルプルギスの夜』に、覆い尽くされてしまうぞ⁉」
「連合軍各国の魔導師たちの配置は、完了したのか⁉」
「は、はい、敵皇国の弓状列島の全周を取り囲むように、等間隔に配置済みです!」
「よし! 『最終魔法』を、発動させろ!」
「し、しかしそれでは、数千数万の、魔導師たちが──」
「必要な『犠牲』だ! 我ら人類の命運は、この作戦の成否にかかっているのだぞ⁉」
「わ、わかりました、『最終魔法』を発動いたします!」
「この世の災厄の具現である『魔女』どもを無力化するには、この方法以外無いのだ! 我々軍上層部が地獄に堕ちようとも構わん! 身も心も鬼や悪魔にならねば、きゃつらには勝てんぞ!」
──聖王歴2605年、8月6日。
魔物の独立を目指す魔女たちと、現在の世界の支配者である
圧倒的に劣勢にあった魔女陣営が、乾坤一擲の『秘術』に打って出た。
あたかも東エイジア大陸及び広大なるフリーデン大海洋を覆い尽くさんばかりに、昼夜を分かたず立ちこめていく、漆黒の闇のベール。
『ヴァルプルギスの夜』。
それは本来、魔女の力が最大限に高まる春の到来を告げる、祝祭の夜のことを指すのだが、
これを『超広範囲術式』に変換して使用することで、全戦域は言うまでも無く、東エイジア及びフリーデン大海洋の魔物たちの生存圏において、魔女を始めとするすべての魔物の力を最高レベルに押し上げ、
──もはやそれは、『戦争の帰趨の如何』のレベルの話では、無くなってしまっていた。
このまま『ヴァルプルギスの夜』に浸食され続ければ、
──もちろん
すべての同盟国から魔法の使い手『魔導師』を根こそぎ強制動員して、エイジア大陸の極東海上に浮かぶ弓状列島である、魔女たちの本拠地『ブロッケン皇国』を取り囲むように配置して、その無数の命と引き換えにして、一度きりの大魔法『
ブロッケン皇国の中心地で突然炸裂した、巨大なキノコ雲状のまばゆい閃光。
一瞬にして無数の都市を消滅させて、あっさりと『ヴァルプルギスの夜』を打ち払ったその『奇跡の光』は、そのまま列島全体を封印し、人呼んで『九条の結界』として、魔女たちが島外に武力進出することが二度と無いように、強大なる魔法障壁と化したのであった。
──しかし、
時は経ち、76年後の同8月6日。
すでに『九条の結界』はほころび始めており、列島内では再び魔の具現どもが、蠢動し始めていたのだ。
──今度こそ、すべての種族が平等で幸せに暮らせる、『大トーア共栄圏』を打ち立てるために。
☀ ◑ ☀ ◑ ☀ ◑
メリーさん太「……おい、これって、ひょっとして」
ちょい悪令嬢「ええ、8月6日と9日の『原爆の日』に絡めて、オリジナル新作の『導入部』を試作してみました」
メリーさん太「作中においてわけのわからない『戦略兵器』扱いされている、『ヴァルプルギスの夜』ってのは、何なんだよ?」
ちょい悪令嬢「最近何かと『マギア○コード』のセカンドシーズンのことばかり話題に挙げてましたからね、ここらで『ま○か☆マギカ』シリーズとはひと味違った、本作ならではの『ヴァルプルギスの夜』というものをアピールしておこうかと思いまして」
メリーさん太「──ていうかこれって、すでに連載を開始して(途中で放り出して)いる、『ヴァルプルギスの心臓』用の
ちょい悪令嬢「あ、わかりました?」
メリーさん太「──わからないでか⁉」
ちょい悪令嬢「ほ、ほら、各サイトのWeb小説大賞用のエントリー作品として始動したのはいいけれど、かれこれ数ヶ月ほど手つかずの状態になってしまっているので、ここいらでちゃんと続ける気があることをアピールしておこうかと思いまして」
メリーさん太「──それ程後ろめたく思っているのなら、こんな姑息な手段でアイディを小出しにしたりせずに、本格的に連載を再開しろよ⁉」
ちょい悪令嬢「それが、何かと忙しくて、つい後回しにしてしまって……」
メリーさん太「うおいっ⁉ 仮にもWeb小説家を自称しているやつが、Web小説を書くことを後回しにしてまで、やることなんて有ってもいいのか⁉」
ちょい悪令嬢「その『やること』って、まさしく本作の執筆なのですが?」
メリーさん太「……あ」
ちょい悪令嬢「それに、この八月が終わるまでに、さっさと今年の『夏のホラー』向けの新作に取りかからねばならないし」
メリーさん太「──それ、まだやっていなかったのかよ⁉」
ちょい悪令嬢「まあまあ、それはおいおいと言うことで、そろそろ今回の『本題』に入ることにしましょう」
メリーさん太「へ? 今回の本題、って……」
ちょい悪令嬢「もちろん、76回目の、『原爆の日』についてですわよ」
メリーさん太「──ッ」
ちょい悪令嬢「メリーさんは、歴史上唯一の被爆国である日本が、現在アメリカに対して友好的に接することができているのは、なぜだと思います?」
メリーさん太「……え? それって前回と前々回で、すでに解決済みだったよな? ──もしかして、作品の『公開順』を間違えたとかじゃないだろうな?」
ちょい悪令嬢「(しまった)──そ、それでは逆に、戦時中の米英連合軍の大勢の兵士たちが、かの高名なる『戦場にか○る橋』で描かれたように、日本軍によって強制労働をさせられたというのに、ちっぽけな半島のそのまた半分のちっぽけな人間性しか持たない某『K印』民族みたいに、個別に『賠償金』等をせびろうとしないのは、なぜだと思います?」
メリーさん太「そう言われてみれば、まさしくその通りだな⁉ 米英連合軍の捕虜に対しては、明確なる戦時協定違反の強制労働をやらせているというのに、どこかの半々島の『K印』小部族のように、グジグジといつまでも問題にしようとしていないよな⁉」
ちょい悪令嬢「──なぜなら、いつまでも戦時中のことでもめ続けたら、いつまでも『殺し合い』を続けなければならなくなるからですよ!」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「以前にも申しましたよね? どんなに凶悪な犯罪であろうとも、必ず『時効』というものが存在しているのは、三流商業ミステリィ作家どもに三流人間ドラマをでっち上げさせるためでは無く、いつまでも下々の国民がいがみ合い続けると、国家全体として不安定になるから、一定の期間が過ぎたら罪に問われ無くなるのだと。──となると、ちゃんと罪に対して裁判等を受けて、『禊ぎをそそいだ』場合においては、その犯した罪に対しては、二度と責められることなぞあり得ないのですよ」
メリーさん太「ああっ、そうか、そう言うことか⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、日本はすでに敗戦と同時に『東京裁判』において、戦時中の軍事的及び政治的指導者のほとんど全員を犯罪者として断罪されることによって、国家的な禊ぎが済んだと連合国側から認められて、その後戦時中のあらゆる行為に対して、罪に問われることが無くなったのです!」
メリーさん太「……なるほど、ある意味すべての交戦国と、一気に暫定的な『平和条約』を結んだようなものか」
ちょい悪令嬢「ええ、その後のサンフランシスコ平和条約において、正式に日本は戦時中のすべての罪を許されて、再び独立国家として国際的に認められることになったのです」
メリーさん太「つまり逆に言うと、日本側としても、『原爆投下』や東京等の『大空襲』に関して、連合国側に対して、いかなる訴追や賠償等を要求することを、永遠に放棄したってことなんだな?」
ちょい悪令嬢「まあ、個々人としての感情はともかくとして、国と国との関係においては、もはや完全に『戦争は終わっている』のですわ」
メリーさん太「だったら、いまだに『イアンフガー』とか『チョウヨウコウガー』とか言っている、ちっぽけな半島のそのまた南半分の『K印』な某小部族のやつらって……」
ちょい悪令嬢「国際的な取り決めのイロハもわきまえていない、前世紀の遺物そのままの、常識知らずの愚か者ってことですよ」
メリーさん太「そこまで言うの⁉」
ちょい悪令嬢「──だったら、先程も申したように、永遠に『殺し合う』のかって話になるのですが?」
メリーさん太「うぐっ⁉」
ちょい悪令嬢「人間だったら、文化的な生き物であったら、どんなに争い合おうとも、ちゃんと国際的に公式に行われた裁判によって罪を償ったのなら、いつまでも過去のことに囚われずに、未来的な友好関係を築いていこうとすべきなのです。──そんな国際社会における『イロハのイの字』レベルのことも理解できずに、オリンピックという平和の祭典の期間中にあっても、その開催理由の一つとも言える『福島復興』に対して様々な難癖をつけてイメージダウンを図るなんていう、明確なる敵対行為をするなど言語道断であり、おそらくオリンピック終了後は、さすがの日本政府も『断固とした処置』をとるものと思われます」
メリーさん太「……断固とした、処置、って?」
ちょい悪令嬢「最低限でも、全面的な経済制裁、ですね」
メリーさん太「最低限で、経済制裁かよ⁉」
ちょい悪令嬢「当たり前です、もはや日本国民としても、堪忍袋の緒が切れてしまっているのですから。──もしも現政権が日和ったりする場合には、次の選挙で保守層からも見放されるだけだし、
メリーさん太「──また出たよ、『シン・ニッポン』! 一体どこまで本気なんだ、この作者⁉」
ちょい悪令嬢「……まあ、本音を申せば、南北小半島部族のことなんて、どうでもいいんですけどねw 問題はこの『原爆の日』をいい機会とし、当時の日本の外交の在り方の愚かさを再認識して、もはやあのような『失策』をせぬよう、すべての政治家は深く反省してもらいたいものですね」
メリーさん太「外交上の在り方って?」
ちょい悪令嬢「現在の国際状況からして、軍備拡張は急務ですが、『軍事力は実際に使ったら負け』という大原則を、今再び肝に銘じるべきであり、そういう意味では『専守防衛』を堅持している現在の自衛隊は、非常に理想的な在り方だと申せましょう♡」
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