第732話、わたくし、第3回『LGBT大喜利』を開催しますの♡

メリーさん太「……ところで、この『レディースアンドジェントルメン』って、日本風に言い直せば、何になるんだろうな?」




ちょい悪令嬢「う〜ん………………………『右や左の旦那様』、とか?」




メリーさん太「──それちょっと、ニュアンスが違うと思うな!」


ちょい悪令嬢「でしたらやはり、『直訳』っぽくなるけれど、『ようこそ、淑女紳士の皆様』あたりでしょうか?」


メリーさん太「……日本国内で、『淑女』とか『紳士』とか呼ぶこと自体、あまり聞かないけどな」


ちょい悪令嬢「元々この『レディ』や『ジェントルマン』って、明確に対象をイメージしたものでは無く、あくまでもお客様『全体』に対して、『丁寧な呼びかけ』をしているだけですしね」




メリーさん太「身も蓋も無い言い方をすれば、受け手のほうで勝手に、自分のことを『淑女や紳士』だと思っていればいいし、『いやいや、私ごときでは、淑女や紳士なんて、畏れ多い!』と思っていても、別に構わないしで、別に『LGBT』のやつらが、淑女や紳士の『範疇』に入るか入らないかなんて、誰も気にしていないんだよ? それくらい常識としてわきまえて、軽くスルーしろよ⁉」




ちょい悪令嬢「本当にねえ、かの『は○バスツアー』にも組み込まれている、新宿の某ニューハーフバーの司会のなんて、『レディースアンドジェントルメン、それとアタシの仲間たち!』とか、しゃれたこと言っていたのにねえ」


メリーさん太「……いや、そんな限定的な例を出されても、あまり参考にならないんじゃないのか?」


ちょい悪令嬢「だったら、誰も文句を言えない、決定的な『例文』を、ここで発表いたしましょうか?」


メリーさん太「おっ、いよいよ今回の『LGBT大喜利』を始めるのか? いいぞ、とにかく言ってみろ」




ちょい悪令嬢「──よく来たな、『チンさんにマンさん』、おまえら最後まで楽しめよ☆」




メリーさん太「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい⁉」




ちょい悪令嬢「……どうしたのですメリーさん、毎度お馴染みの奇声を発したりして?」


メリーさん太「──てめえ、今何と言った⁉ 『ジェントルマン』と『レディ』を、何と言い換えた⁉」


ちょい悪令嬢「『チンさん』と『マンさん』、ですけど?」


メリーさん太「貴様本当に、由緒ある大王国の筆頭公爵家令嬢なのか⁉」


ちょい悪令嬢「でも、これだったら、たとえ救いようのない厄介クレーマーの、『LGBT』を始めとする『ジェンダー勢力』であろうとも、ぐうの音も出ないと思われますけど?」


メリーさん太「………………………はあ?」




ちょい悪令嬢「だってこの世の中で、『チン○』と『マン○』を装備していない人類なんて、皆無じゃないですか」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「まあ中には、特殊な手術をしてご自分の『チン○』を切り落とされた、『元男性』もおられるでしょうが、それは自業自得というものだし、きっと性癖的に『ケツマン○』をお持ちだと思われるので、問題無いでしょう」


メリーさん太「──公爵令嬢おおおおおおおおおおおおおおお!!!」


ちょい悪令嬢「あと言うまでも無いですけど、『フタナリ』の方の場合は、ただ単に『両方に当てはまる』だけの話で、少なくとも差別にはならないでしょうね」


メリーさん太「……てめえ、さっきから聞いていれば、『チンさん』とか『マンさん』とか『チン○』とか『マン○』とか『ケツマン○』とか『フタナリ』とか、言いたい放題だけど、そんな危な過ぎるワードなんて、一般的に使用できるか⁉」




ちょい悪令嬢「でも、これこそがまさしく、全人類をまったく差別せずに呼称できる、『唯一の呼び方』なのですよ? これに異論がある方は、『ジェンダー勢力』に属する者すらも含めて、『差別主義者』の烙印を押されても、文句は言えないでしょうよ」




メリーさん太「──なっ⁉ 『チンさん』とか『マンさん』とか呼ばれることに、苦情を呈したら、むしろ自分のほうこそが、差別をしたことになってしまうだと⁉」




ちょい悪令嬢「……おい、『LGBT』を始めとする『ジェンダー勢力』のクソどもよ、おまえらって、自分の立場と言うものを完全に勘違いしているし、世の中と言うものを舐めきっているんだよ? 世の中のことに理不尽さを感じているのは、何もてめえらだけじゃないんだよ? サラリーマンを始めとする家庭の世帯主の普通の男性だって、男であることに悩み続けていて、できることなら自ら否定したくて堪らないんだよ! それでも、己の家庭や職場や社会や日本国そのものの規範を維持するために、必死にそれぞれの役割を──『男』であることを、いるんだよ! てめえら『LGBT』どもは、その役割を放棄して自分勝手に好き放題生きているくせに、権利ばかりを主張するわ、『言葉狩り』そのものの難癖をつけてきたりするわで、まったく社会性も公共性も無いんだよ! それで本当に人間社会の一員と言えるのか⁉ もしも文明社会の中で生きていくつもりなら、もう少し常識や規範というものを守れよ! こっちは別におまえらのことなんて、差別するどころか意識するつもりも無いんだから、その特殊な性癖を愉しみたかったら、人目につかないところでコソコソとやって、けして周囲の人たちにカミングアウトしたりするんじゃないよ!




 ──いいか?


 本作において、何度も何度も言い続けているけど、


 この世に──少なくとも、日本国においては、


 差別なんて、


 ただ単に、それぞれの個人の前途に、


 無限の『壁』が、立ち塞がり続けているだけだ。


 ──そう、人生とは、この無限の壁と、無限に戦い続けることなのだ。


 壁を一つ乗り越えても、更に無限の壁が立ち塞がっているのだ。


 生きている限り、この『壁との戦い』を、やめることはできない。


 しかし、この戦い挫けた『負け犬』どもは、必ず言う、




「──私は、差別をされた」、と。




「私がうまく行かなかったのは、女として差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、家柄で差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、学歴で差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、出身地で差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、国籍で差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、容姿で差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、身長で差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、肉体的障害で差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、精神的障害で差別されたからだ!」


「私がうまく行かなかったのは、『特殊性癖LGBT』で差別されたからだ!」




「「「差別だ差別だ差別だ差別だ差別だ差別だ! 私の人生がうまく行かなかったのは、すべて差別が悪いんだ! 私は何も悪く無いんだ!」」」




 ……バカこくんじぇねえ、この『負け犬』どもが。




 これまでの人類史において、性別や家柄や学歴や出身地や国籍や容姿や身長や肉体的障害や精神的障害や『LGBT』等々の、『人生における壁』を乗り越えて成功した人間なんて、ごまんといるわ!




 辛いのは、おまえだけじゃ無い。


 今も、誰もが、戦い続けているのだ。


 おまえから見れば、いかにも『恵まれている』と、思われるやつでもだ。


 ──何せ『神様』というものは、慈悲深く、何よりも『平等』だ。


 誰の前にも、皆等しく、『無限の壁』を与えてくれている。


 人間生きている限りは、その『無限の壁』を、乗り越え続けなければならないのだ。


 それがおまえら『負け犬』の言う、『差別』の正体だ。


 しかし、戦い続けている大多数の者たちにとっては、ただ単に『乗り越えるべき障害』に過ぎず、たとえ自分が差別されていると感じても、それを言い訳にして泣き言をほざいたりせず、生きている限りずっと戦い続けるだけなのだ。




 そう、『差別』なんて、存在しやしない。




 なぜなら、誰もが『差別』を受けているのだから、もはやそれは『差別』とは呼べないほど、『差別化』ができなくなっているのだから。




 つまりな? 『LGBTである私たちを差別するなんて、社会が間違っている! 今すぐ私たちを保護する法律を作れ!』などと言い出している時点で、おまえらは『負けて』いるんだよ? ──おまえらの言うところの『差別』であり、人間なら誰の前にも立ち塞がっている、『神様が与えた試練』である、『無限の壁』にね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る