第711話、わたくし、『リスク管理』こそが、コロナ対策の鍵だと思いますの⁉(前編)

ちょい悪令嬢「……いやあ、危ないところでした」


メリーさん太「うん、どうした? 相変わらず冒頭から、意味不明なこと言い出して」


ちょい悪令嬢「──聞いてくださいよ、メリーさん!」


メリーさん太「うわっ、何だ⁉ 急に(立体映像VRで)迫って来やがって!」


ちょい悪令嬢「以前本作の作者が、現在介護中の田舎の父親の『新型コロナウイルス用ワクチン接種』の予約に成功したと、お知らせしたではありませんか?」


メリーさん太「……ああ、成功したと言っても、ちょっとばかし手違いがあって、本当は接種初日だったこの前の日曜日の予約が取れていたのに、結局二週間後の5月23日に一回目の接種を受けることになってしまったんだよな」


ちょい悪令嬢「──それで、良かったのですよ!」


メリーさん太「は?」




ちょい悪令嬢「実は5月10日夜の特報にて、父親の実家とほぼ同じような条件の地方の自治体において、ワクチン接種時における諸問題が明るみになったのです!」




メリーさん太「なっ⁉」


ちょい悪令嬢「具体的には、せっかくの貴重なるワクチンを温度管理ミスによる未使用のままでの廃棄と、それに対する応急処置として、使用済みの注射器に残っていた分をかき集めての、複数の高齢者への接種が行われたのです」


メリーさん太「ちょっ、それって⁉」


ちょい悪令嬢「ええ、事前に危惧されていた『初歩的ミス』が、実際に行われたのでございます」


メリーさん太「そう言った危険性が前もってわかっていながら、一体何をやっているんだよ⁉」


ちょい悪令嬢「……それだけ今回の『ワクチン接種』が、日本全国の多数の自治体にとって、大変な事業であるわけなのですよ」


メリーさん太「──うっ」




ちょい悪令嬢「実際各自治体においては、よりによって住民の生命に関わる重大なる事業を、いきなり押しつけられて、すでに数年にわたる『オーバーワーク』を強いられている中で、大変良くやっていらっしゃいます。住民である日本国民としても、様々なご不満があるのは重々承知しておりますが、本作においても重ね重ね申している通り、『すべての元凶が誰なのか』を、忘れてはなりません。一生懸命頑張っている地方時自治体に怒りの矛先を向ける前に、現在自由主義国が先頭に立って行っている、『某国の封じ込め政策』に対して、国民一丸となって『賛意』を示し、それに従おうとしないばかりか数々の妨害工作を行っている、許し難き『売国奴』どもをあぶり出して、一匹残らず駆除いたしましょう!」




メリーさん太「──こらこらこらこら、また興奮して迷走し始めているぞ⁉ 前回の続きをやるつもりか⁉」




ちょい悪令嬢「ハッ、わたくしは、一体何を⁉」


メリーさん太「『何よ』じゃねえよ、まったく…………それに、お役所の皆様が一生懸命頑張っているからって、住民の生命に関わるミスを、軽々しくやってもらっちゃ困るだろうが?」


ちょい悪令嬢「──それに対しては、住民側にも、『自助努力』が必要なのです!」


メリーさん太「またそれかよ⁉ これまでずっと政府や自治体の責任逃れのようにして、『自助自助』言われ続けて、もはや国民全体がうんざりしていているんじゃないのか⁉」


ちょい悪令嬢「いいえ、これは非常に重要なことなのです!」


メリーさん太「はあ?」




ちょい悪令嬢「何せ、この極めて重大なる『国難』における『自助努力』とは、何よりも自らの生命に対する、『リスク管理』に他ならないのですから!」




メリーさん太「──それって⁉」




ちょい悪令嬢「そうです、本作における最重要テーマの一つです!」


メリーさん太「……何と、実は本作は、『新型ウイルス対策啓蒙作品』だった?」




ちょい悪令嬢「『ワクチン接種』の予約が超困難な『早い者勝ち』とは言っても、やみくもに『早期接種』をすればいいとは限らないのです。接種の日時が早ければ早いほど、『こういったミスが起こり得る』と、べきなのですよ」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「先程も申しましたように、本作の作者においてはあくまでも偶然でしたが、ワクチン接種の初日より二週間遅れの予約しか取れなかったものの、結局それが功を奏したわけです」


メリーさん太「……まさしく、『急がば回れ』とか『残り物には福がある』とかの、典型的な例だな」


ちょい悪令嬢「二週間もあれば、大抵の『ミス』や『不具合』は出尽くして、万全の状態で臨めるでしょうしね」


メリーさん太「確かに電話予約にしろWeb予約にしろ、基本的に『早いもん勝ち』だけど、肝心の『接種日』自体は応募側が任意で指定できたのだから、あえて『いの一番』に接種しようとはせず、余裕を見た日程にすれば良かったのか」




ちょい悪令嬢「それだけではございません、今回の『新型ウイルス騒動』全体に対しても、最初から『リスク回避』を心掛けておけば、これほどの惨事にはならなかった可能性があるのです!」




メリーさん太「……『最初から』って、まさか本作が全面的に推奨している『リスク回避論』に則っていれば、今回の『コロナ禍』は未然に防げたとか、言うんじゃないだろうな⁉」


ちょい悪令嬢「いえいえ、『新型コロナウイルス』に関しては、様々な要因が複雑に絡んでおりますので、『完全に事前に防止する』なんてことは、絶対に不可能でしょう。──ただし、被害を最小限に防ぐことは、十分可能だったのです」


メリーさん太「……えー、今から何を言い出すつもりなのか知らないけど、そんなものすべて単なる『結果論』であり、何でも好き勝手に言えるだろうが?」


ちょい悪令嬢「そんなことありませんよ? 本作の作者におきましては、中国は武漢で最初のコロナ騒ぎが始まる数年前から、日本国に対して警鐘を鳴らしておりましたから」


メリーさん太「はあ?」


ちょい悪令嬢「例えば、作者の別作品である『転生法』のプロローグにおいて、明確に『オリンピック開催反対』を表明したのは、どうしてだと思います?」


メリーさん太「……そういや、あれは『コロナ禍』よりずっと前の話だし、そもそも『愛国者』である作者にしては、筋の通っていない主張だったよな?」


ちょい悪令嬢「筋は通っていますよ、おそらくはオリンピック開催直前等において、今回の『コロナ禍』のような事態になり得ても、別に不思議は無いと、ちゃんと予測しておりましたので」


メリーさん太「なっ、そんな馬鹿な⁉」


ちょい悪令嬢「もっと厳密に言えば、『オリンピックなんてやる必要は無い』と、主張していたのです」


メリーさん太「ど、どうして? 愛国者を自認しているなら、オリンピックとか万博とかの開催は、全面的に支持すべきだろうが?」


ちょい悪令嬢「『メリット』と『デメリット』とを比較すれば、開催する場合、あまりにも『リスク』が大きかったのですよ」


メリーさん太「……やはり『リスク回避論』が絡んでくるのか。それで、『東京オリンピック』における、『メリット』と『デメリット』って、一体何なんだ?」


ちょい悪令嬢「『メリット』としては当然、競技施設の建設等による雇用の促進や景気の向上、それに国威の発揚と言ったところでしょうか」


メリーさん太「……結構なことじゃないか? やらないよりもやったほうがましだと、十分思うけどな」


ちょい悪令嬢「ええ、もしこれが、『東京オリンピック』ならね」


メリーさん太「え」




ちょい悪令嬢「当時の日本は、第二次世界大戦の惨敗から、ようやく立ち上がろうとしていました。もしもアジア初のオリンピックを首都東京で開催することができれば、その経済的効果は計り知れず、国民の自信回復にも繋がることでしょう。──事実、オリンピック開催を起爆剤として、いわゆる『高度経済成長時代』を迎えて、日本は一躍世界の先進国の仲間入りを果たしたのですからね!」




メリーさん太「おお、確かに!」




ちょい悪令嬢「それに対して、今回のオリンピックについては、どうでしょうか?」


メリーさん太「ど、どうって……」


ちょい悪令嬢「オリンピックと言えば、国際的行事の代表格ですから、それなりの経済効果は期待できるでしょう。──ただしあくまでも、『それなり』に過ぎないのです。もはや現在の日本は経済大国として成熟しており、少々国際的行事を行ったところで、それ程の経済効果は見込まれないのです」


メリーさん太「そりゃあ、『高度経済成長時代』と比べるのは、酷というものだろう? 『それなり』の経済効果だって、無いよりはましじゃないのか?」




ちょい悪令嬢「だから言っているではないですか、『メリットにはデメリットが付き物』だと。あなたの言うように『結果論』と見なされても構いませんが、オリンピック開催を強行し続けてきた日本が、現在どのような状況にあるでしょうか?」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「いえね、別に現在の『コロナ禍』を、事前に正確に予測しておくべきだったとか、無理難題を押しつけているわけではございませんよ? ──しかし、一国の指導者なら、今更オリンピックなどといった国際的大事業を開催しようとする場合には、当然起こり得る『リスク』に関してちゃんと予測して、それに備えた対応策をあらかじめ講じておくべきだったのですよ。例えば、世界的経済不況に見舞われるとか、国際的紛争に巻き込まれるとか言った、オリンピックの開催自体が中止に追い込まれかねない事態なんて、いくつも挙げることができるでしょうが?」







(※後編に続きます)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る