第695話、わたくし、世界で初めて『吸血鬼』を論理づけましたの⁉(前編)
ちょい悪令嬢「──さて、今回は前々回にお約束した通り、現在『ア○マTV』様において絶賛無料配信中の、『化○語』アニメ版セカンドシーズンの、主に『ま○いキョンシー』編について、詳細な考証を行いたいかと思います!」
メリーさん太「……いや、約束も何も、仮にもオリジナル作品がこうも堂々と、他人様の作品の考証や評論をやることに、少しも疑問を感じないのか?」
ちょい悪令嬢「いえいえ、ちゃんと本作の作者の作品づくりに役に立つ方向で、考証いたします予定ですので、大丈夫ですわ♫」
メリーさん太「その『作品づくりに役に立つ』ってのは、本作においてはもはや、『言い訳』そのものの使われ方をしているよなあ?」
ちょい悪令嬢「あはは、これは手厳しい」
メリーさん太「──おい、笑ってごまかすんじゃないよ⁉」
ちょい悪令嬢「でも、これまで行ってきた様々な考証が、実際に作品づくりの役に立っていることは、事実では無いですか?」
メリーさん太「うっ………………それはまあ、確かにな」
ちょい悪令嬢「それに今回は、前々回の予告通りに行うこと自体に、意味があるのですし」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「実はこの『ま○いキョンシー』の原作小説版である『傾○語』は、前作の巻末における予告が、実際の内容とはまったく異なっていたことで有名なのですよ☆」
メリーさん太「えっ、そうだったの?」
ちょい悪令嬢「それでいっそのこと、本作もしれっと今回まったく別の内容にしようかと思いましたが、それでは文字通りに『意味不明』になるかと思って、あえて予告通りにしたわけなのです」
メリーさん太「そりゃあ、実際には没になった予告編のことなんて、ほとんど知られてはいないだろうから、本作で真似したところで完全にイミフだと思うけど、本来は一体どういった内容だったんだ?」
ちょい悪令嬢「……本作の作者自身も、はっきりと覚えているわけでは無いのですが、確か真○ちゃんが、落ち武者の亡霊と、手を取り合って踊り狂っているとかいないとか」
メリーさん太「──何だよそれって、そっちこそ完全にイミフだよ⁉」
ちょい悪令嬢「むしろ、ちょっと見てみたくなる『没案』ですよね♫」
メリーさん太「いやそれって、同時に多数の作品を抱えて何かとご多忙な西○維新先生が、編集者さんからとりあえず次回作の予告を考えてくれと頼まれたところ、締め切りギリギリになっても具体的な内容が固まらなかったから、適当にでっち上げただけじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「もしかしたら当時の状況はそうだったかも知れませんが、西○先生におかれましては、当初の予告通りの内容で、新たに作品を創られるご意志もあるそうですよ?」
メリーさん太「──この内容でか⁉ 一体どんなストーリーになるんだ?」
ちょい悪令嬢「まあそれは、実際に作成されてからのお楽しみと言うことで、そろそろ今回の『本題』のほうへ入りましょう」
メリーさん太「……ちゃんと、本作の作者の作品づくりに役立つことを、取り上げるんだよなあ?」
ちょい悪令嬢「──もちろんでございます! それではまずジャブとして、『ま○いキョンシー』編第1話冒頭での、阿良○木暦君と忍野お○ぎちゃんとの『赤信号談義』ですが、ここでの『実は青信号のほうがリスクが高くなり、赤信号のほうがよほど安全になる』と言うのは、まさしく本作における最重要テーマである、『プラスを求めるよりもマイナスを防いだほうが、より効果的である』とする、『リスク回避主義』を見事に代弁していただけたと申せましょう」
メリーさん太「ほう、青信号と赤信号とを、世間一般のイメージとは逆に捉えるところは、さすがは西○先生と言ったところか」
ちょい悪令嬢「次のトピックとしては何と言っても、実は『予告詐欺』だけでは無く、『タイトル詐欺』でもあったことです☆」
メリーさん太「──おいっ、人がせっかく褒めたところなのに、ナチュラルに貶めるなよ⁉」
ちょい悪令嬢「……いや、あなたの発言だって、捉えようによっては、『へそ曲がり』とか『天邪鬼』とか『逆張り』とかと、あげつらったようなものではないですか?」
メリーさん太「あくまでも西○先生の『独特なセンス』を褒めただけなのに、どうしてそこまで悪意をもって曲解できるの⁉」
ちょい悪令嬢「まあ、へそ曲がりで天邪鬼で逆張りとくれば、本作の作者も相当なものですけどね♫」
メリーさん太「──いいからとっとと、話を続けろ!」
ちょい悪令嬢「先程も申しましたように、『傾○語』のサブタイルにしてアニメ版における各話タイトルは、『ま○いキョンシー』となっており、いかにも八九寺真○ちゃんをフィーチャーしているようなのに、全編にわたってずっと、主人公の阿良○木暦君と一緒にいていちゃいちゃして、完全にメインヒロイン扱いされていたのは、ロリ美少女吸血鬼の忍野し○ぶちゃんのほうだったりするのですよ」
メリーさん太「……え? 『いちゃいちゃ』って。阿良○木君とし○ぶちゃんて、そんなに気の置けない間柄だったっけ? どちらかと言うと、常に牽制し合っているって感じじゃ無かったっけ?」
ちょい悪令嬢「ボケとツッコミの漫才カップルという意味では、他のヒロインたちと同じですが、し○ぶちゃんは戦場○原さんとはまた違ったタイプの、『辛辣クールヒロイン』と思っていましたけど、このエピソードにおいては、結構阿良○木君に『懐いている』って感じでしたねえ」
メリーさん太「……まあ、キャラ背景的に『依存』せざるを得ないのはわかるけど、もう完全に『イトコのお兄さんに懐いている幼女』って仲だよな」
ちょい悪令嬢「とにかく今回はこの二人が、ほぼ全編を通してメインを張るのですが、そうするとどうしてもテーマとなる『怪異』が、『吸血鬼』とならざるを得ないのですよ」
メリーさん太「あれ? サブタイトル的には、『キョンシー』じゃ無かったっけ?」
ちょい悪令嬢「今回はいわゆる中国系作品における典型的な『キョンシー』では無く、吸血鬼の『なり損ない』や『変質したモノ』といったイメージでした」
メリーさん太「キョンシーが『吸血鬼のなり損ない』、だと?」
ちょい悪令嬢「元々吸血鬼やキョンシーやゾンビは、似ているところが多々ありますからね。いわゆる『アンデッド』の類いだし、吸血鬼と洋風キョンシーであるゾンビは、他者を咬むことで仲間にしていくことができるし」
メリーさん太「だけど、毎度お馴染みの『進○の巨人』に例えれば、吸血鬼が『知性巨人』なら、キョンシーやゾンビは『無垢巨人』てな具合に、明確な差があるじゃないの?」
ちょい悪令嬢「それは、大本──いわゆる『始祖の吸血鬼』とか『マスターヴァンパイア』とでも呼ばれるべき、し○ぶちゃんの本来の姿である、キスシ○ット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードさんが自殺未遂をしてしまい、彼女の『始祖の力』が損なわれたので、『眷属』に当たる他の吸血鬼たちも一斉にバグってしまったのですよ」
メリーさん太「キスシ○ットさんが自殺って、吸血鬼って不死の化物じゃなかったの⁉」
ちょい悪令嬢「彼女のような『最強の吸血鬼=最強の怪異』の場合の『不死』とは、他の吸血鬼を始めとする怪異では
メリーさん太「……でも結局、失敗したわけだろ?」
ちょい悪令嬢「やはりそれだけ、彼女の『不死性』が強かったのか、あるいは──」
メリーさん太「あるいは?」
ちょい悪令嬢「彼女には最終的に死んでもらわなければならないけれど、その生命『力』を主人公のほうで利用しなければならないと言う、『ストーリー上の都合』ってやつなのでは?」
メリーさん太「──おいっ、他人様の作品に対して、あまりぶっちゃけるなよ⁉」
ちょい悪令嬢「まあ、西○先生としては、『阿良○木君とキスシ○ットさんは、文字通りに死なば諸共』の関係にあると言う、作品の根幹に関わる設定を、押し通すしか無かったのでしょうねえ」
メリーさん太「──ええっ、死んじゃうの、あの二人⁉」
ちょい悪令嬢「はい」
メリーさん太「『はい』って、主人公の阿良○木君が死んでしまったら、そこで『○語』シリーズそのものが終わってしまうじゃん⁉」
ちょい悪令嬢「ネタバレしてしまうので、多くは語りませんが、その点は大丈夫です」
メリーさん太「どう大丈夫なんだよ⁉ 確かにネタバレは駄目だけど、もう少々多く語れよ!」
ちょい悪令嬢「それはともかくとして、」
メリーさん太「『それはともかく』う⁉」
ちょい悪令嬢「これもいい機会ですから、本作独自の量子論と集合的無意識論に則ることによって、果たして『○語』シリーズ等における『吸血鬼』が実現可能となるのか、考証したいかと思います♡」
メリーさん太「──なっ⁉」
ちょい悪令嬢「おや、メリーさん、それ程驚くことでしょうか?」
メリーさん太「そりゃあ驚くよ⁉ 吸血鬼の実現可能性を、量子論なんかで実証するとか言い始めたら!」
ちょい悪令嬢「またまたあ、メリーさんてば、吸血鬼程度でビビること無いのにい〜。あなたご自身も、最新かつ高名なる『怪異』であることを、お忘れですのw」
メリーさん太「──うっ、そういえばあたしの『メリーさんの電話』の都市伝説なんて、カテゴリィ的には、八九寺真○ちゃんの仲間のようなものだったりして」
ちょい悪令嬢「何ならまず、メリーさんの『実在可能性』から、考証いたしましょうか?」
メリーさん太「やめろよ! 量子論なんかで定義づけられたら、その瞬間、もはや正体不明な『怪異』じゃ無くなってしまいそうじゃん⁉」
ちょい悪令嬢「あはは、わかりました、大人しく『吸血鬼』に関してのみにしておきましょう」
メリーさん太「……いや、他人様の作品のキャラクターを、勝手に論理づけてしまうのもどうなんだ?」
ちょい悪令嬢「『○語シリーズにおける吸血鬼は、論理的に存在し得る』と、肯定的に捉えようとしているのだから、問題は無いのでは? それに、話は非常に簡単明瞭ですし」
メリーさん太「吸血鬼の存在証明が、簡単明瞭だと?」
ちょい悪令嬢「──結局これも、『集合的無意識とのアクセス方式』で、すべて説明できるのですよ♫」
メリーさん太「……ああ、またしても、それかよ」
(※後編に続きます)
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