第687話、わたくしたち、悪役令嬢アイドルグループ『アクドル』ですの♡(その2)
「……ええー、完全にイミフなんですけど? 最近流行りの『エセ人道主義者』どもの、『フェミ』とか『LGBT』とか『同性婚』とか『夫婦別姓』とか『国会の男女格差の是正』とかの、『外国勢力の紐付き工作活動』を野放しにしていたところで、戸籍制度等の国家の根本的システムの破壊や、男女間や世代間の分断は進むかも知れないけど、Web小説とかアニメとかの『創作物』に対しては、今すぐ影響が及ぼされることは無いのでは?」
我らが『悪役令嬢限定アイドルグループ』に参加予定の(?)『アクドール』ちゃんの、『アク』の語源である『アクトレス』が、エセ人道主義者どもの卑劣な世論及びマスゴミ工作活動によって、『言葉狩り』の憂き目に遭いそうな現状に対して、俄然憤然となったアイドルグループの『
──しかし、
それに対する彼女の返答は、
こちらの予想の更に斜め上空を、突き抜けるものであった。
「ねえ、アルテミスちゃんは、『心神喪失中の犯罪の法的責任の免除』について、どう思うかしら?」
「は?」
な、何だ?
何をいきなり、言い出しているんだ?
「私はねえ、たとえどんなに『心神が喪失状態』にあろうとも、けして罪を免れないと思うのよ」
──ちょっとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお⁉
「先生、何てことを言い出すのですか⁉ 現在の日本国において『心神喪失中の法的責任の免除』は、数々の判例を始めとする法律面はもちろん、医学的にも完全に正当性を認められており、各方面から支持されておるのですよ!」
「……あらあら、本作のメインヒロインともあろう者が、作者にとっての最大のポリシーをお忘れなのかしら?」
「作者の最大のポリシー、って……」
「小説家を始めとする創作者は、『すべての常識を疑え』、よ」
──ッ。
「例えばねえ、こういった『心神喪失状態』が最も問題となる、『殺人罪』等の重犯罪について述べるとわかりやすいと思うので、むしろこっちからお伺いしたいんだけど、そもそも『心神喪失状態では無い殺人行為』なんて、あり得るわけ?」
「……え、何です、『心神喪失状態では無い殺人行為』って?」
「つまり、完全に正気を保っていて、そのすべての過程において冷静沈着のままで、人を殺してしまえるってことよ」
「そ、そんなこと、できるわけないでしょうが⁉」
「そうでしょう? ──つまりは、人は誰でも、『殺人行為時においては、心神喪失状態にある』ってことなの」
「……あ」
「凄いわよねえ、むしろ心神喪失状態では無いほうが、すべての法律の適用外にしていいほど、『異常な状態』じゃないの? それこそフィクションにおける、『プロの暗殺者』とか『生まれつきの殺人鬼の一族』とかじゃ無いと、不可能なのでは無いかしら?」
「た、確かに! 人を殺すと言うのに、まともな神経でいられるなんて、むしろそっちのほうが怖いよな⁉」
「いやいや、これって別に大層な話では無くて、昔から普通に言われていたことなのよ? 何か犯罪とか重過失とかを犯した時には、たいていの人は決まって、『魔が差しただけなんだ!』とか、『あの時俺はどうかしていたんだ!』とか、
「……あー」
「──おらっ、お偉い学者に法律家に弁護士に医者に人道主義者どもよ、しっかりと答えてみやがれ⁉ おまえらは本当に、『まったく心神喪失状態では無い殺人行為』なんて、あり得ると思っているのかよ! ……そんなもん、あり得るはず無いよなあ? おまえらはただ単に金や名誉が欲しくて、『犯罪者』に手を貸しているだけだもんなあ? おまえらのやっていることのクソさ加減は、ここで完全に論破して見せたぜ? さあ、反論して見ろよ? 『殺人行為を行う際に、まったく心神を喪失していない者なぞいない』という『大正論』に対して、往生際悪く、あれこれ言い訳を弄してみろよ⁉」
「いやいやいやいや、先生少しは落ち着いて! 別にこれって、『本題』じゃ無いでしょう⁉ 開幕から飛ばし過ぎですよ!」
「……失敬、本作の作者としては、自分よりも馬鹿なザコどもが、さも『お利口さん』みたいに装っていることが、何よりも我慢ならないのよ。しかも金儲けや名誉や自分の所属する組織を守るために、凶悪な犯罪者を庇って、被害者やそのご遺族を蔑ろにすることなんて、『どっちが一体人道的なんだよ⁉』と言いたくなるくらい、言語道断じゃ無いの?」
「……しかし、『重犯罪における心神喪失状態による法的責任の免除』という、今や誰もが認める日本国における『共通理念』すらも、一刀のもとに斬り捨ててしまうなんて、一体本作の作者って何者なのよ⁉」
「真の意味で『常識的』に物が考えられるだけよ。だからこそ、巷にあふれている『偽物の常識』なんぞに、騙されたりしないわけ」
「いや、どうしてそんな考え方ができるのかが、知りたいんですけど⁉」
「それこそ非常に簡単なことで、けして『先入観』を持たずに、常にすべての常識を疑って、『自分自身の頭で考える』こと──これが、すべてなの」
「……うわあ、何かその言い方だと、他の人たちが、『自分の頭で考えていない』みたいじゃないの?」
「だってそうでしょう? 『すべての殺人行為は心神の喪失状態で行われる』なんて、ちょっと考えれば思いつくことなのに、今まで誰も指摘しなかったわけじゃない?」
「た、確かに……」
「──そしてもちろんこれは、今話題になっている、『エセ人道主義』ムーブメントにも、しっかりと当てはまるわけなのよ!」
(※次回に続きます)
ミルクの時間♡「──はい、ここからは、本編に関する補足説明を行いたいかと思いマース♫」
ちょい悪令嬢「へ? 補足説明、って……」
ミルクの時間♡「今回述べた話題を、法的かつ論理的に、更に明解にご説明する所存です」
ちょい悪令嬢「──あんな『詭弁と極論の集合体』そのままな言い分を、論理的にはともかく、法的に説明できるのですか⁉」
ミルクの時間♡「実は『心神喪失状態における法的責任の免除』は、本作の論説が正しければ、『憲法違反』の疑いがあるのよ」
ちょい悪令嬢「はあ⁉ け、憲法違反、って……」
ミルクの時間♡「第14条の、『法の下の平等』よ」
ちょい悪令嬢「どうして『心神喪失状態での法的責任の免除』が、法の下の平等に反するのですか⁉」
ミルクの時間♡「本編で述べたように、殺人等の『ヒトデナシ』そのものの重犯罪を犯す場合は、それこそ精神状態を疑われかねないほどの、まさしく『ヒトデナシ』そのものの異常な人物以外は、何らかの形で『心神の喪失状態』にあるものと思われるのであって、これを理由に罪を免除される者とされない者との間で、人生すらも左右させかねない差別を生じさせることなぞ、けして許されないのよ」
ちょい悪令嬢「え、でも、心神喪失状態の疑いがある場合は、専門医によって診断を下されることになっているから、特に重症だと認められた人だけが、法的責任を免除されるとか言った、一定のルールが存在するんじゃないの?」
ミルクの時間♡「それこそが、『危険』なことであり、憲法違反レベルの『反則』だと言っているのよ!」
ちょい悪令嬢「ど、どうして?」
ミルクの時間♡「法律の場においては、医者なんて、ただの『素人』じゃない? そんなのが口出ししてくること自体が、そもそもおかしいのよ」
ちょい悪令嬢「素人って、この場合医学的な見解を求められているんだから、医者によってある程度の判定が下されるのは、理に適っているのでは?」
ミルクの時間♡「……あのねえ、これって結構有名な話だと思っていたんだけど、『精神医学』においてはいまだに、医学的にも論理的にも、誰もが認める科学的判断基準なんて存在していないのよ?」
ちょい悪令嬢「──なっ⁉ と言うことは!」
ミルクの時間♡「そう、すべては、医者の『さじ加減一つ』というわけよ」
ちょい悪令嬢「……そんな、法の下の平等どころの話では無いじゃない⁉」
ミルクの時間♡「ええ、金と権力が有れば、いくらでも医者を抱き込んで、やりたい放題できたりしてね」
ちょい悪令嬢「……そうか、やはり『法的判断』においては、『法的判断』のみに委ねられるべきなんだ!」
ミルクの時間♡「
ちょい悪令嬢「本作の作者としては、法的判断の場においては、加害者本人はもちろん、医者の判断すらも含めて、『法律以外の意見は絶対に持ち込むべきではない』って立場なわけ?」
ミルクの時間♡「当たり前でしょ? 何のために法律があると思っているのよ?」
ちょい悪令嬢「えっ? 犯罪の抑制とか、国家や社会の基本的ルールとしてとか?」
ミルクの時間♡「違うわよ、それだったら医者とかの素人の意見も、それなりに尊重すべきじゃない」
ちょい悪令嬢「でしたら、何のためだとおっしゃるのですか⁉」
ミルクの時間♡「『王様』や『独裁者』や『軍事勢力』や『国家的財閥』等々の、権力者の独断専横を防止するためよ」
ちょい悪令嬢「──‼」
ミルクの時間♡「歴史的に見ても、元々『三権分立』って、王様から権力を奪うことを目的に制定されたのよ? たとえ現在は世界屈指の民主主義国家である日本だって、法の執行や裁定において、『理不尽な権力の横行』を許しては駄目なの」
ちょい悪令嬢「……それこそが、エセ人道主義弁護士による、加害者優先主義や、最近話題のエセジェンダー主義者による、数々の『逆差別』活動そのもので、結局は自由民主主義国家において、あたかも共産主義国家のような、国家権力の不当な介入を蔓延らせることになってしまいかねないってわけですか」
ミルクの時間♡「まあ、こういったことは、いかにも耳障りのいい『お題目』に騙されること無く、本当に『法の下の平等』や『個人の利益と社会全体の公益とのバランスの維持』等々を定めた、日本国憲法に反していないか、しっかりと考えてみることをお勧めいたしますわ♡」
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