第679話、わたくし、そもそも国会議員を男女同数にする必要性がわかりませんの⁉

ちょい悪令嬢「……あのう、メリーさん、開幕早々なんですけど、ちょっと伺いたいことがあるのですが?」


メリーさん太「うん、何だよ? 珍しいこともあるものだ」


ちょい悪令嬢「実は、ですねえ──」




メリーさん太「今回はやけに、おとなしめのスタートだな?」




ちょい悪令嬢「──珍しいと思ったのは、そっちかよ⁉」




メリーさん太「……そりゃあ、毎回毎回午前5時頃から、わけのわからないことばかり言い出しているんだから、いきなりのトーンダウンには疑問を呈しても、当然だろう?」


ちょい悪令嬢「──そんなメタ的なことなんて、どうでもいいのですよ! わたくし、無茶苦茶重要なことに気づいたのです!」


メリーさん太「へ? 重要なことって……」


ちょい悪令嬢「ほら、前々から予告していたじゃないですか、『RickenリッケンVankerバカーOvanオバン党』と『RickenリッケンVankerバカーOkamaオカマ党』とが、日本の国政の行く末と完璧なる男女平等の実現とを賭けてガチで激突すると言う、毎度お馴染みの『時事&政治ネタ』のエピソード案を」


メリーさん太「ああ、最近何かと話題の、『日本の国会における議席の男女格差の是正』に関するやつか」


ちょい悪令嬢「そうそう、それですよ! それについての、根本的疑問に気づいたのです!」


メリーさん太「根本的疑問? 国会の議席の男女格差問題にか?」


ちょい悪令嬢「ええ!」


メリーさん太「今更こんな、日本国民なら誰でも知っているようなトレンドに、一体何の疑問があるって言うんだよ?」


ちょい悪令嬢「では、他ならぬメリーさんが、わたくしの疑問に答えてくださいますか?」


メリーさん太「………一応言ってみろ」


ちょい悪令嬢「最近、『ジェンダー派』のやつらって、口を開けば馬鹿の一つ覚えみたいに、『国会の男女格差是正! 国会の男女格差是正!』の繰り返しではないですか?」


メリーさん太「まあ、そうだな」


ちょい悪令嬢「なぜですか?」


メリーさん太「え?」


ちょい悪令嬢「なぜ、『国会における男女格差』を是正しなければ、いけないのですか?」


メリーさん太「えっ? えっ?」


ちょい悪令嬢「わたくし、どうしても、わからないのですよ」


メリーさん太「だ、だから、一体何が⁉」




ちょい悪令嬢「もしも、もしもですよ? もしも実際に『国会の議席が男女同数』となったとして、一体何のメリットが有ると言うのですか?」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「……わからない、わたくし、どうしても、わからないのです。すでに欧米先進国において、立法府の男女の議席数が拮抗していて、日本国においても、自称『進歩的思考の持ち主』どもが、口を開けば『日本は遅れている』とか、『男女差別だ!』とか、『とにかく国会の男女格差を是正しろ!』とか、声高にわめき立てて、さもそれこそが『理想的』で『正しい』ことのように喧伝しておりますけど、ただの一人も、もし仮に『日本の国会の議席の男女格差が是正された場合』における、『メリット』について明確に述べる方がおられないのですよ? ──これは一体、どうしたことでしょう? 日本における三権の一つである立法府に大改革をもたらそうとしているというのに、それに対する『メリット』がまったく明らかになっていないなんて、どう考えてもおかしいでしょう? むしろ、どうして誰も疑問に思わないのです? 下手すると、こういったことでは当然のごとく非難の的になっている『政権与党の男性議員』の一部まで、当たり前のことのように受け容れているといった体たらくですし。──ねえ、教えてよ、わたくしの疑問に、答えてよ! 『国会の議席の男女格差を是正』して、一体どんないいことがあるの? 本当に是正する必要が有るわけ⁉」




メリーさん太「──言われてみれば、まったくその通りじゃん⁉」




ちょい悪令嬢「やっとわかってくれましたか、メリーさん!」


メリーさん太「わ、わかったと言うか、わからないと言うか……」


ちょい悪令嬢「では、わたくしの質問にお答えください」


メリーさん太「い、いや、あたしはあくまでも、ただの『都市伝説』だから、人間様の国会のことなんて、まったく理解が及びませんでして、はい」




ちょい悪令嬢「だったら、『国会の男女格差是正』を声高にアピールしている、野党やマスコミや学者や評論家や活動家や人道主義者やツイフェミや外国勢力の工作員の皆さん、誰でも構いませんので、わたくしのこの疑問に、今すぐ答えてくださいよ? ──さあ、さあ、さあ、さあ、さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ!」




メリーさん太「いやいやいや、ちょっとは落ち着けよ!」


ちょい悪令嬢「う〜ん、答えられないと言うことは、『国会の男女格差』なんて、是正しなくてもいいってことですよね?」


メリーさん太「──どうして、そうなる⁉」


ちょい悪令嬢「だって、メリットをすぐに提示できないことなんて、無理強いする必要は、微塵も無いではありませんか?」


メリーさん太「うぐっ⁉」


ちょい悪令嬢「それでも無理やり実現しようと、思うのなら、」


メリーさん太「……思うのなら?」




ちょい悪令嬢「もしもあなたが男性なら、今すぐ『消え去って』ください」




メリーさん太「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい⁉」




ちょい悪令嬢「おや、どうしたのです、メリーさん?」


メリーさん太「な、何だよ、『消え去れ』って⁉ どうして『国会の男女格差の是正』を必要と思っていて、それがたまたま男性である場合、消えなければならないんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「だってその方は、『男性と女性との間には、政治能力に格差なんて存在しない』と、おっしゃっているのでしょう? でしたら、もしもその方がどこぞの野党の男性議員であれば、『俺なんか必要無かったんだ……』と自覚しているも同然なのですから、潔く議員を辞職して国会を去るのはもちろん、党籍自体も返還して、二度と国会議員なんかにならないように政治活動を一切すること無く、世間の片隅で寂しく朽ち果てればよろしいのですよ」




メリーさん太「何で『男女格差是正』に賛成しているだけで、男性国会議員が、議員を辞職するどころか、政治活動そのものをやめなければならないんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「小賢しくも、ジェンダーを『政治の道具』にしている、クソ野党のオス議員が一匹いなくなれば、その瞬間にすぐさま、国会の男女格差が是正されるではないですか?」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「実はこれこそが、本来予定していた『政治&時事エピソード』のテーマだったのですが、どこかの党首が党是として『ジェンダー宣言』をして、全力で『国会の男女格差の是正』をするってほざいたのですけど、そいつは自分自身も男性議員なんだから、『……おいおい、だったら、おまえ今すぐ議員やめろよ? 男女格差を是正したいんだろ? おまえがやめればその分、格差が是正できるじゃん? ほら、夢が実現するぞ? 党としての目標が達成できるぞ? 「国会の男女格差の是正」が何よりも大切なんだろ? 実現できるじゃん、今すぐおまえがやめれば。………………やめろよ。政治家として、自分の言葉に責任を持つのならばな。それとも嘘をついたのか? 政治家のくせに嘘をついたのかよ? 弱小野党とはいえ、それでも政党の代表者かよ? さあ、やめろよ、今すぐ議員バッチを外せよ。そして党籍そのものを離脱して、それ以降もけして立候補等の政治活動を一切放棄して、世間の片隅で息を潜めて生きていけよ。──さあ、さあ、さあ、さあ、さあ、さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ!』──てなもんですよ」




メリーさん太「ひえええええええええええええっ⁉ ──怖いっ! だから怖いって! 少しは落ち着いてええええええええええええ!!!」




ちょい悪令嬢「これは別に国会とか政界だけの話では無く、経済界やマスコミや学界や出版界等々において、男女格差の是正を公言している組織は、自分とこの男性をすべて追放して、それ以降は女性だけで組織運営をなされてください。──できるんでしょう? 何せあなた方の言い分では、『男女には能力の差は無い』のですからねw 国会でも政党でも大企業でも放送局でも出版社でも学界でも、女性だけでやっていけるのですよね? 男性なんかに頼る必要は無いんですよね? 何せ能力に格差はまったく無いと言い張っているのですからねえ⁉ さあ、おまえらの組織から今すぐに、男どもを全員追放しろよ? おまえらの悲願である、男女格差の是正が一瞬で達成されるぜ? しかも男女には能力の差が無いんだから、何も問題は無いよな? ……やめろよ、今すぐすべての男はすべての職を辞して、それ以降は何の活動もせず、ただ世間の片隅で息を潜めて生きていき、残された女どもは、すべての組織のすべての運営をしっかりやっていけよ? できるんだろ? 何せ女は男と同じ能力を持っているそうだから、女だけで大組織を運営していくことくらい、朝飯前だよな? ──さあ、さあ、さあ、さあ、さあ、さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ!」




メリーさん太「──やめてやめてやめて、もうやめてええええええ!!!」




ちょい悪令嬢「……とにかくですねえ、仮にも政治家や企業人や知識人なら、自分の言葉に責任を持てって言っているんですよ。どうして『国会の議席の男女格差を是正』しなければならないのか、ちゃんと明言してください。それさえもできないで、ただやみくもに『男女の能力に格差なぞ一切無いんだ! 国会を男女同数にして、何も問題は無いんだ!』と言い張るつもりなら、まずあなた方の政党や企業や放送局や出版社や学界や市民団体から、すべての男性を追放して、女性だけで運営していくようになさってくださいませ♫」




メリーさん太「……うん、まあ、『国会の男女格差を是正しろ!』とか、大それたことを訴えるつもりなら、そのメリットをちゃんと明示して、何よりも自ら範を示すべきだよな」




ちょい悪令嬢「まあ、わたくしとしては、男性なら男性向きの役割を全力で果たして、女性なら女性向きの役割を全力に果たして、お互いに補い合っていったほうが、より良い社会や国家が実現できると思いますけどね♡」










メリーさん太「……うわあ、最後まで『正論』で押し切りやがったよ。まさか現在国内のジェンダー勢力が全力で押し進めている、『国会の議席の男女格差の是正』に対して、論理的に全否定してしまえるなんて、ほんとこの作者ほど敵に回したら恐ろしいやつはいないよな」

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