第668話、わたくし、『死に戻り』はどんどんやるべきだと思いますの⁉(後編)

メリーさん太「──ええっ、そんな馬鹿な、それじゃまるで、『ま○か☆マギカ』全否定じゃないの⁉」




ちょい悪令嬢「そんなことはありませんよ、むしろこの理論に則ったほうが、いろいろとつじつまが合いますし」


メリーさん太「『「ま○マギ」は本当は、実際にループを行っていなかった』なんて、本編における最重要設定を否定しておきながら、つじつまが合うだと?」




ちょい悪令嬢「ほら、この前本作において指摘した、『二回目のループの最初から、ほ○らちゃんがすでに魔法少女になっているのはおかしい』問題が、この理論で解決できるんですよ。これって実はただ単に、二回目以降はどの周回も、『ほ○らちゃんは病院から退院するずっと以前から魔法少女だった』だけの話なのです」




メリーさん太「──つまり、ま○かちゃんの死に際において、魔法少女契約を結ぶのは、最初の周回だけだったってことか⁉」


ちょい悪令嬢「原作自体が、そうだったじゃありませんか?」


メリーさん太「ほんとだ、つじつまが合っている⁉」


ちょい悪令嬢「極論すれば、二周目以降の世界のほ○らちゃんは、ま○かちゃんと関係無く魔法少女になっておきながら、後から集合的無意識を介して『一周目のほ○らちゃん』の記憶をインストールされることによって、『ま○かちゃん絶対守るウーマン』になってしまったわけなのですよ」


メリーさん太「何ソレ、まるでほ○らちゃんが『洗脳』されているみたいじゃないの⁉ 誰が一体どんな目的で、そんな手の込んだことをやったんだよ!」




ちょい悪令嬢「そりゃあもちろん、『ま○マギ』という作品世界を創るために、脚本家の虚○さんや総監督の新○さんが行われたに決まっているではないですか?」




メリーさん太「本作得意の『メタ路線』、来たああああああああああ!!!」




ちょい悪令嬢「別に驚かれる必要は無いでしょう? 『魔法少女作品』であるからには、最初からメタ路線であることは決まっているようなものですし」


メリーさん太「──どうしてだよ⁉」




ちょい悪令嬢「……ったく、本作において何度も何度も申しているではないですか? 女の子たちは魔法少女になったとたん、魔法が普通に使える異世界に転生して、ゾンビそのものの変幻自在なショゴスの肉体を与えられるようなものなのだって。──さて、先程から申しておりますように、ループや異世界転生においては、実際には世界間を移動していないとすると、この場合どういうことになるでしょうね?」




メリーさん太「……ほ○らちゃんを始めとする『ま○マギ』の主人公メインキャラたちは、最初からショゴスによって肉体を構成された異世界の住人であり、あくまでも集合的無意識を介して、『現代日本の普通の女の子としての記憶』を与えられているだけに過ぎない──というわけか?」




ちょい悪令嬢「何せ、ループ作品の鉄則は、『現に目の前にある世界のみが、唯一の現実なのである』ですからね。魔法少女作品であるゆえに、普通に魔法が使えるクレイジーワールドのほうが、現実リアルになってしまうのです」




メリーさん太「……なんかこれまでのあらゆる創作物の常識を覆しかねない、超特大の問題発言のようだけど、確かにこの説を否定したら、剣と魔法の異世界においてループを行っている、『リゼ○』も否定しなくてはならなくなるよな」


ちょい悪令嬢「ようやくおわかりになったようですね? 結局は前回も申したように、ループ作品においては、現時点の世界以外はすべて『夢や幻のようなものに過ぎない』と言う、一番いい加減そうな『ひぐ○しのなく頃に業』の沙○子ちゃんの言い分が、最も正しかったわけなのですよ」


メリーさん太「……うう〜ん、これって確かに論理的に正しいかも知れないけど、『ま○マギ』や『リゼ○』の世界観をぶち壊しにされたみたいで、どうにも納得できないんだよなあ」


ちょい悪令嬢「あら、いつわたくしが、他人様の作品をぶち壊しにしたとおっしゃるのです?」


メリーさん太「──たった今、やったばかりだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「いいえ、わたくしは前回冒頭で述べたように、今回は『ループ問題』について一定の決着をつけてみただけであって、今メリーさんがおっしゃったように、論理的に正しいかも知れませんが、それぞれの作品の世界観を否定するものでは無いのです」




メリーさん太「へ? それって、一体……」


ちょい悪令嬢「別に『どの作品のループが最も論理的に正しいか』を競っているわけでも無いんだから、それぞれの作品のテーマこそが最優先なのであって、本作における『屁理屈』なぞ、二の次ってことですよ」


メリーさん太「作品のテーマ、って?」




ちょい悪令嬢「『ま○マギ』や『シ○タゲ』においては、本来何の意味も無いループの繰り返しによって、愛する者をどうしても救おうとすることに対する、矛盾や絶望や悲哀であり、『ひぐ○し業』や『リゼ○』においては、ちゃんとループの害悪を自覚していながら、それでも愛する者を救ったり自分のものにしようとしたりする、挫けぬ闘志──等々のことなのです」




メリーさん太「そ、そうか、別にループをすることによって何もかもうまく行くわけでは無く、むしろますます自分や周りの人々を傷つけているのは同様だけど、『主人公の心の持ちよう』次第で、まったく真逆の作品みたいになってしまうってことか」


ちょい悪令嬢「作品づくりというものは、別に理屈だけで成り立つものではありませんからね。あくまでも『人間』としての登場人物たちに、どのような『感情』を込めることができるかどうかが、何よりも重要になってくるのですよ」


メリーさん太「……だったら、今回ループについて論理的に追求したのは、まったくの無駄だったのかよ?」


ちょい悪令嬢「そんなことはありませんよ? このようにループの本質と言うものをしっかりと把握していれば、作品づくりの際に『迷う』ことが無くなりますからね」


メリーさん太「……作品づくりに、迷う、って?」




ちょい悪令嬢「例えば、『進○の巨人』(固有名詞)の継承者って、過去の継承者の記憶を参照できるどころか、未来の継承者が過去の継承者に時空を超えて精神的に干渉できて、自分の思い通りに誘導することさえもできるではないですか? そのため、現時点の継承者であるエ○ン君の言動が、自分自身の考えによるものなのか、過去の継承者の影響によるものか、自分の影響を受けた過去の継承者の影響によるものか──といった具合に、完全にこんがらがってしまい、収拾がつかなくなっていたりしてね☆」




メリーさん太「た、確かに……」




ちょい悪令嬢「でもこれって、あくまでも『本物の記憶』であるのは、現時点のエ○ン君自身の記憶のみで、他はすべて(『進○』で言うところの『道』に当たる)集合的無意識から与えられた、『偽りの記憶』でしか無いと見なすと、話が一気にシンプルになると思いません?」




メリーさん太「なるほど、エ○ン君自身がこれまで実際に体験してきた記憶以外はすべて、今や影も形も無い夢や幻そのものの、『ループ中の記憶』のようなものでしか無いってわけか?」




ちょい悪令嬢「そうなのです、超常の力によって得た『偽りの記憶』はすべて、現在の考え事のための『参考』にすればいいだけで、間違っても己自身の思考や性格そのものを乗っ取られるなんてことは、あってはならないのです」




メリーさん太「そうだよな、普通にインターネットを閲覧しているだけでも、膨大なる情報にさらされているわけだけど、それらはあくまでも自分の思考のための材料以上の意味は無く、結局最終的に判断するのは、人間の脳みそだしな」




ちょい悪令嬢「おお、さすがはメリーさん。まさしくインターネットこそ、『現代の集合的無意識』とも見なされており、言い得て妙ですね♫」


メリーさん太「そもそも過去へのタイムトラベルなんかも、まさに御同様なのであって、実際に過去に行けたとしても、量子論に則ればその時点で未来には無限の可能性が生じるので、既存の知識なぞ何の役にも立たず、それからは過去の人間として、一から人生を歩んでいかなければならないんだよな」


ちょい悪令嬢「その通り! すべてのプロのSF小説家の皆さん! もしも過去へのタイムトラベルが実現されたとしても、あなたの作品にあるように、世界そのものがまるでプラナリアみたいに、分岐したりはしませんので、悪しからず」




メリーさん太「──だから、最後の最後で、余計なケンカを売るなよ⁉」




ちょい悪令嬢「実は『ゲキ○ル』の最終話において、『過去の世界は過去の人間に任せて、未来人である私たちは手出ししてはいけないの』という台詞が有りましたもので。いやあ、まさしく真理を突いていましたねえ♡」




メリーさん太「まあ、そういう意味では、本当に今期のアニメ作品は豊作揃いだったし、本作の作者自身も大いに影響を受けたよな。後はこれを自分の作品づくりにどう生かしていくかが、問題だよね☆」













ちょい悪令嬢「………あれ? 今回の『ネット小説大賞』のエントリー作品て、別に『ループ作品モノ』では無かったですよね?」




メリーさん太「──はあ⁉」

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