第667話、わたくし、『死に戻り』はどんどんやるべきだと思いますの⁉(前編)

ちょい悪令嬢「──本作の作者の同志たる『進○の巨人』ファンの皆様、ご存じですか、現在すごいことになっておりますよ⁉ まず動画配信サイトの『GYA○!』様においては、最終話配信を記念して、欧米においても話題騒然だったファイナルシーズン全話と、主人公のエ○ン君のお誕生日を祝しての全シーンズから選りすぐりの傑作エピソード集を、『ア○マTV』様においては、全シーズン屈指の人気を誇る【パラデ○島編】第三期クライマックスを、何と一挙に無料配信なされているのです!」




メリーさん太「ええっ、これまで第1話すらも無料配信しなかったファイナルシーズンが、ここに来て全話無料配信だって⁉」




ちょい悪令嬢「ええ、是非とも第三期クライマックスと併せてご覧になることによって、それぞれのシーズンならではの特色ウリを存分に堪能できる、絶好の機会到来なのですよ!」


メリーさん太「……本作の作者、大喜びだろうなあ。ファイナルシーズンの第1話は作画・演出ともに超傑作との噂だったのに、初放送&配信当時ではいまだ『進○の巨人』のファンで無かったので、すっかり見逃してしまっていたしな」


ちょい悪令嬢「うふふふふ、実は今まさに、第1話を流し見しながら、この作品を書いていたりして♫」


メリーさん太「──またかよ⁉ ちゃんと小説作成に集中しろよ!」


ちょい悪令嬢「大丈夫ですって、これもしっかりと、作品づくりに活用いたしますから!」


メリーさん太「……本当、だろうな?」


ちょい悪令嬢「本作の作者を信じなさいって。別にだらだら無料配信のアニメを見ているだけでは無く、常に独特の視点で考察しているのですよ」


メリーさん太「独特の、視点て?」




ちょい悪令嬢「──前回の続きですよ。今回はついに、あらゆる創作物における『ループ問題』について、一定の決着をつけようかと存じます!」




メリーさん太「なっ、ループ問題に決着をつける、だと⁉」


ちょい悪令嬢「前回『リゼ○』と『進○』とを比較検討することによって、ループを含むすべての超常現象は、『集合的無意識とのアクセス』という同一の原理に基づいて実現されていると申しましたが、その捉え方は、それぞれの作品によって、大きく異なっているのです」


メリーさん太「……え、『繰り返し』とか『死に戻り』とか『世界線の移動』とか、いろいろと呼び名は違うけど、『ループ』の類いって、『オヤシ○さま』とか『嫉○の魔女』とか『強○の魔女』とかの、『神様』的な存在によって集合的無意識に強制的にアクセスさせられることで、実行されているんじゃ無かったのか?」


ちょい悪令嬢「『仕組み』としてはそうですが、『物語』としてはそれぞれに異なるのですよ」


メリーさん太「……物語的に異なる、って?」




ちょい悪令嬢「大きく二つに分けることができますが、一つは、『主人公が「死に戻り」等で別の世界に転移しようが、元の世界もちゃんと続いて行く』とするものと、もう一つは、『主人公にとっては常に現在存在している世界のみが現実で、その他の世界は夢や幻のようなものに過ぎない』とするものです」




メリーさん太「あー、そういうことか」


ちょい悪令嬢「果たしてこれって、どちらが正しいのでしょうねえ?」


メリーさん太「どっちが正しいって、いやそもそも、同一の原理から成り立っているのに、どうしてこうも大きな違いが出てくるんだよ⁉」


ちょい悪令嬢「それはあくまでも、『認識の違い』によるものでしかないからですよ」


メリーさん太「認識の違い、だと?」


ちょい悪令嬢「普通ループ作品の主人公って、自分がそれまで居た世界がどうなるかなんて考えておらず、ちゃんと自覚している数少ない『変わり種』さんだけが、『夢や幻のようなものに過ぎない』と、認識できているのです」


メリーさん太「……ということは、『夢幻』論のほうが、正しいわけか?」




ちょい悪令嬢「は? 何をおっしゃっているのです、に決まっているではないですか?」




メリーさん太「………………………へ?」




ちょい悪令嬢「だから、『認識の違いに過ぎない』と申しているではありませんか? 本作において何度も何度も申しておりますように、多世界解釈量子論に則れば、あくまでも『世界と言うものは無限のパターンのものが最初からすべて存在しており』、途中で増えたり消失したり改変されたりせず、未来永劫すべてのパターンが存在し続けていますので、某『シ○タゲ』のように、岡○さんが悲痛な表情をして泣き叫ぶ必要などまったく無く、『その世界においては女の子であるル○君はずっと女の子』だし、『まゆし○を切り捨てて紅○栖さんを選んだ世界においては、岡○さんがいくら別の世界線でやり直そうが、紅○栖さんは生き続ける』のですよ」




メリーさん太「──『シ○タゲ』全否定じゃん⁉」




ちょい悪令嬢「と言うか、『ループ主人公』全否定ですね。あいつらって全員自分勝手な都合で、世界そのものを後先考え無しに放り出しておいて、自分だけ新しい世界に行って、まんまとやり直そうとしているのですからね」




メリーさん太「……ああ、確かに。主人公以外の残されたほうは、堪ったもんじゃないよな」


ちょい悪令嬢「特に『死に戻り』なんて、どんどんと主人公が死んでしまった世界が増えていくのですよ? 特にメインヒロインの子なんて、耐えきれず発狂してしまうのでは?」


メリーさん太「……『リゼ○』の、第二の試練か」


ちょい悪令嬢「まあ、本人としては無自覚だったんだから、一方的に責めるのは可哀想ですけどね」


メリーさん太「そもそも『死に戻り』なんかさせられること自体が、まったくの予想外だったんだからな」


ちょい悪令嬢「しかもその前に、異世界転移だか転生だかもしているし」


メリーさん太「……ということは、自覚的に『世界を使い捨て』にしている、『ひぐ○しのなく頃に業』の沙○子ちゃんは、ループや世界そのもののことを何もわかっておらず、間違ったことをしているってわけか?」




ちょい悪令嬢「いいえ、むしろ沙○子ちゃんこそが、神に認められた『繰り返す者』として、ループというものを真に理解しており、最も理想的なループを行っていると言っても過言では無いのです」




メリーさん太「──どうしてだよ⁉ 自分の死を悲しむ仲間たちのことなんか少しも考えずに、れっきとして存在している現実世界そのものや、そこに暮らしている人々を捨て去り続けることのどこが、理想的なんだよ⁉」




ちょい悪令嬢「おやおや、本作における基本原理を、すっかりお忘れのようですね。確かに世界と言うものは無限に存在し得るかも知れませんが、それはあくまでも量子論に基づいての『可能性の話』でしか無く、今目の前にあるこの世界だけが、我々にとっての唯一絶対の現実世界に過ぎないのですよ?」




メリーさん太「──‼」




ちょい悪令嬢「そもそも『ループ』なんて、本当に世界間を移動したり一定の時間を繰り返しているわけ、集合的無意識にアクセスして、『別の可能性の世界の自分自身』の記憶を脳内にインストールすることによって、実現しているだけなのですからね。確かに『別の世界』も存在しているかも知れませんが、ループ作品における『別の世界』とは、主人公の記憶の中にしか無く、主人公自身が世界を使い捨てにした事実なぞのですよ」




メリーさん太「……それじゃあ、いかにも自分勝手で、人に迷惑ばかりかけているように見える、沙○子ちゃんこそが、正しかったわけ?」


ちょい悪令嬢「あの子ってデフォルトでは、いわゆる『カケラ空間』──『進○の巨人』で言えば『すべての道が交わる座標』であり、本作で申せば『ありとあらゆる世界の外側』にいるでは無いですか? よって彼女はすでに、真の神様である『外なる神アウター・ライター』と同等の立場にあるのですよ」


メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「彼女にとってのループとは、もはや実際に世界を移動していると言うよりも、無数の『カケラ』をのぞき見しているようなものでしかなく、『夢幻』みたいなものであるというのは『言い得て妙』であり、そしてそれは量子論や集合的無意識に則っても、非常に正しかったのです」




メリーさん太「……じゃあ、他のループ作品の、主人公たちも?」




ちょい悪令嬢「例えば、現在劇場版総集編が絶賛無料配信中の『ま○か☆マギカ』における、ほ○らちゃんについても、ただ単に『無限に存在している別の可能性の世界の自分自身の記憶』を脳みそにインストールされているだけで、本当に時間遡行や世界間移動を行っているわけでは無いのですよ」




メリーさん太「──な、何ですとおー⁉」







(※後編に続きます)

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