第639話、わたくし、進撃の悪役令嬢ですの⁉(前編)

ちょい悪令嬢「──さあ、皆様、ついに待ちに待った『ネット小説大賞』がスタートしました! 本作『わたくし、悪役令嬢ですの!』も参加する予定ですので、どうぞよろしくお願いいたします!」




メリーさん太「……それにしても、今回いやに、募集告知が遅かったよな?」




ちょい悪令嬢「そこはほら、現在いろいろと深刻な状況下にあることですし、運営様としても、例年通りのスケジュール進行というわけにはいかなかったのでしょう」


メリーさん太「あー、そういえば、そうだったなあ……」


ちょい悪令嬢「わたくしなんて下手したら、実は本作の作者がぼけっとしている間に、とっくにコンテストが終わってしまったのか、今年は募集自体が無かったんじゃないのかと、思っていたくらいですもの」


メリーさん太「……本作の作者って、基本的には、『グズ』野郎だものなあ」


ちょい悪令嬢「でも、今回の日程になったからこそ、良かったこともあるのですよ」


メリーさん太「え、そうなの?」


ちょい悪令嬢「まず何と言っても、例年よりも余裕を持って、『準備期間』をとれたことですね」


メリーさん太「……まあ、いつもは締め切りギリギリになるまで、ぐだぐだやっているものな、あのグズ作者」


ちょい悪令嬢「二つ目は、すでに『カクヨムコン6』にも参加しているので、コンクール用の新作案をいくつも考案及び試作しておりますし、すでに『カクヨムコン6』に応募したもの以外は、今回のいわゆる『なろうコン』のほうに応募できるわけですよ」


メリーさん太「な、なるほど、例年だったら、募集期間がほとんど重なっていたから、そういうのは不可能だったよな」


ちょい悪令嬢「……これまでは、スケジュール的にも大変でしたからねえ。それに比べれば、今回は非常に楽ですわ」


メリーさん太「その成果が、これまで本作において【試作版プロトタイプ】を発表した、数々の作品案ってわけか」


ちょい悪令嬢「別にあのままの形で、コンテストに応募するわけではありませんが、あのように一度作品にしておけば、いろいろな『発見』や『反省点』が見つかって、本番の作品作成時に、大いにフィードバックできますからねえ」


メリーさん太「……最近本作において【試作版プロトタイプ】を発表したやつに限っても、『ロボット悪役令嬢』とか『歴代総理大臣のLGBT転生』とかいろいろあったけど、正式なエントリー作品は、どうするんだろうねえ」


ちょい悪令嬢「それをじっくりと絞り込むためにも、本作の【座談会】において、各候補作を毎回一作ずつ取り上げて、いろいろと検証したいかと思っているのですよ」


メリーさん太「……ああ、そういえば、各【試作版プロトタイプ】は、公開しっぱなしで、説明は一切無かったよな」


ちょい悪令嬢「お陰様で、(コンテスト用以外のも含めて)いろいろと新作のアイディアが浮かびましたからねえ」


メリーさん太「それで、どうする? やはり『ロボット悪役令嬢』の考証から始める? それとも『LGBT転生』のほうかな?」




ちょい悪令嬢「もちろんその二作品についても、近いうちに取り上げるつもりですが、今回のところは、まさに本日本作に先立って公開された、【竹島の日】を記念しての特別作品である、『進撃のヴァルプルギス』に関して、語っていきたいかと思います☆」




メリーさん太「──ちょっ、おまっ、何だよ、そのタイトル⁉」




ちょい悪令嬢「……え? 『魔女が竹島の日に進撃する』内容ストーリーですので、このタイトルにしたのですが、何か間違っているでしょうか?」


メリーさん太「うん、確かに内容ストーリー的には非常に面白そうなんだけど、それだったら、『鬼がメッ○を飲んでお腹を壊してヤバいわw』という内容の作品を創れば、『鬼メッ○のヤバい』とか、完全にパロディそのもののタイトルをつけ放題じゃないか⁉」


ちょい悪令嬢「──いや、それは無理やり『鬼メッ○のヤバい』というタイトルをひねり出そうとしているだけで、全然内容が伴っていないじゃありませんか⁉」


メリーさん太「……それじゃ、『進撃のヴァルプルギス』とやらのほうは、ちゃんとした内容があるわけなのか?」


ちょい悪令嬢「もちろんですよ!」


メリーさん太「『進○の巨人』の、パロディとかでは無く?」


ちょい悪令嬢「当然ある程度は影響を受けておりますが、実際にご覧になってもらえば、まったくの別物であることが、ご理解いただけるかと存じます」


メリーさん太「まあ、そりゃそうだよな。現在あんなに『進○』にのめり込んでいる作者が、まったく影響を受けないでおられるとは思わないけど、まさかそのままの内容で、自作を発表するなんて──」




ちょい悪令嬢「メインキャラの名前が、『ヘレナ』と『ミクラ』になっております」




メリーさん太「──うおいいいいいいいいいいいいいいいっ⁉」




ちょい悪令嬢「な、何ですか、メリーさん、いきなり大声を出されたりして?」


メリーさん太「大声も出すわ! 何その、『進○』の『エ○ン』君と『ミ○サ』ちゃんそのままのネーミングは⁉」


ちょい悪令嬢「あはははは、やっぱり気がつきました?」


メリーさん太「気がつくよ! 作品の冒頭も、何だか『進○』っぽいし!」


ちょい悪令嬢「だから申したではありませんか、『ある程度は影響を受けている』と。──ただし、この二人の名前は、別に『進○からの影響』にばかり、基づいているわけでは無いのですよ」


メリーさん太「……その、完全に否定するわけでも無い言い方からすると、いつものように、『ダブルミーニング』でも隠されているわけか?」


ちょい悪令嬢「ええ。──それも、オチに直結するような、絶妙なる『隠し設定』がね」


メリーさん太「オチに繋がる設定、って……」


ちょい悪令嬢「ヘレナにミクラ、それに『ヤシロ』と言われて、何かを連想しませんか?」


メリーさん太「……そういえば、最後のやつは、『進○』の影響ってわけでは無さそうだな」


ちょい悪令嬢「『晴海』なんて言うのがかつて存在していたのなら、『ハルミン』とか呼ばせてもよかったのですが、生憎『有明』はいても、『晴海』はいませんでしたからね」


メリーさん太「……一体、何の話をしているんだ?」


ちょい悪令嬢「わたくし、前から思っていたんですけど、『ヤシロ』という名前で、巫女服チックな制服を着用しているのに、『オヤシ○さまかよ⁉』というツッコミが皆無だったのは、どうしてでしょうね?」


メリーさん太「え? 今回の作中の魔法少女って、トンガリ帽子とか漆黒のマントやブーツとかいった、いかにも典型的な『魔女装束』を着用していたんじゃないのか? それとも魔法少女のうち唯一外見描写が無かったヤシロちゃんだけは、巫女装束みたいな格好をしていたわけ?」


ちょい悪令嬢「──そんなことをしたら、著作権的にアウトじゃないですか⁉ ヤシロちゃんももちろん、他の姉妹同様の『魔女っ子ルック』でしたよ!」


メリーさん太「本作の作者における、『オリジナリティ』の判断基準が、まったくわからねえ……」


ちょい悪令嬢「おや、まだわかりませんか? この子たち三姉妹のお母様である魔女の名前が、『タンヤン』であり『ユキカゼ』でもあると言えば、もはや議論の余地は無いと思うのですが」


メリーさん太「……うん、タンヤンというのは聞き覚えが無いけど、ユキカゼと言えば──」


ちょい悪令嬢「そうです、あの有名な──」




メリーさん太「日本産にしては珍しく傑作と呼び得るSF小説に出てくる、超ハイスペックの(AI搭載型の)戦闘機の名前!」




ちょい悪令嬢「──どうして、『そっち』に行く⁉ そこはどっちかと言うと『オリジナル』である、大日本帝国海軍きっての『幸運艦』たる、『ユキカゼ』を挙げるべきでしょうが⁉」




メリーさん太「あはは、メンゴメンゴw………………って、うん? 雪風に、ヘレナに、クラに、シロって、みんな第二次世界大戦中の軍艦じゃないのか?」


ちょい悪令嬢「おお、いいところまで行きましたね! それでは、それらの軍艦における『共通事項』とは、一体何でしょう⁉」


メリーさん太「共通事項って、旧帝国海軍の軍艦であることか? ──あ、いや、ヘレナだけは確か、アメリカ海軍の軽巡洋艦だったっけ? ……皆等しく『軍艦擬人化少女』のモデルであることなら、間違い無く共通しているけど、少々範囲が広すぎるよな。こいつらに何かもっとわかりやすく特徴的な、共通事項なんてあったっけ?」


ちょい悪令嬢「──そこで『タンヤン』の、ご登場ってわけですよ!」


メリーさん太「丹陽、て…………確か、作中でも言われていたけど、『雪風』の別名だよな」


ちょい悪令嬢「では、どうしてそのような『別名』が、使われることになったのでしょうか?」


メリーさん太「いくら何でも、そのくらい知っているわい! 確か雪風は戦後、『賠償艦』として中華民国──すなわち、現在の『台湾』に引き渡されたんだけど、そこで新たにつけられた艦名が、『丹陽』だったんだよな………………って、『台湾』だと? そうか、そういうことか!」




ちょい悪令嬢「そうです、『ヘレナ』に『御蔵』に『屋代』は、『艦隊こ○くしょん』というゲームにおける、台湾在住絵師のA○氏が担当なされた『艦む○』であり、残る『雪風』についても賠償艦『丹陽』として、個人的な同人誌において、その台湾時代の様々なエピソードをしたためられておられるのです」




メリーさん太「そうかそうか、A○さんか。この人って、『艦こ○』の赤城さんの元ネタを生み出したことでも、有名だよな」


ちょい悪令嬢「と言うわけで、今回の【試作版プロトタイプ】に登場した魔法少女や魔女における、ネーミングの『共通事項』とは、台湾──作中で言うところの、『タイヴァーン』繋がりと言うことになります」


メリーさん太「……ははあ、そもそも『カクヨムコン6』のエントリー作品である『ヴァルプルギスの心臓』シリーズにおいては、魔法少女には『軍艦擬人化少女』としての力も秘められているから、『エ○ン』と『ミ○サ』をもじって、洋の東西を問わない軍艦の名前をこじつけようとしたところ、丁度A○先生の『ヘレナ』と『御蔵』を思いついて、結果的にオチの『台湾ネタ』に結びついたってわけだな?」


ちょい悪令嬢「そうなんですよ、これぞまさしく『偶然の賜物』で、基本的に魔女という種族がほんのわずかな例外を除いて、九条列島(異世界における日本列島のようなもの)から生涯出られないという、『呪い』のようなものに縛りつけられているとしたら、最初から列島以外のタイヴァーン島(異世界における台湾のようなもの)生まれの魔女であれば、その拘束が適用されなくなるんじゃないのか?──と言った、『抜け道アイディア』に行き着いたわけですよ」


メリーさん太「……う〜ん、そこのところがちょっと、納得いかないんだよなあ」


ちょい悪令嬢「おや、何か、ご不審な点でも?」




メリーさん太「そもそも『九条の盟約』って、一体何なの? 魔女だけを阻む『不可視の結界』が、列島を物理的に取り巻いているとか? それとも、魔女たちを列島から一歩も出て行けないようにする、『呪い』のようなものなの? それとも、列島の外に出て行くこと自体は可能だけど、魔女としての魔法等の特殊能力が使えなくなるとかいった、限定的な効果を及ぼすものなわけ?」




ちょい悪令嬢「『結界』や『呪い』あたりが最もありがちなパターンであり、今回の【試作版プロトタイプ】の内容とも合致しておりますが、ぶっちゃけあまりにも『非現実的』なので、実現方法がすぐには思いつきませんわね。ここは毎度お馴染み『集合的無意識とのアクセス』方式に則って、魔女が魔法を使うために集合的無意識とアクセスできるのは、九条列島内に限定される等の制限を加えるってのが、比較的現実的ではないでしょうか?」




メリーさん太「その場合、今回登場した『タイヴァーン生まれ』の魔女や魔法少女たちも、魔法が使えなくなり、ブロッケン皇国の領土内から飛び出したとたん、大空から魔法の箒共々、落っこちてしまうことになるんじゃないのか?」


ちょい悪令嬢「そこは、そもそも別の国で生まれた時点で、混血等により魔女として変質しており、集合的無意識とのアクセスによる魔法の発動条件も違ってきている──というのはどうでしょうか?」


メリーさん太「それじゃ少々複雑すぎるし、しかもいかにも取って付けたようだよなあ〜」




ちょい悪令嬢「そうとも限りませんよ? そもそもどうしてタイヴァーンに移住することになったかというと、魔女や魔法少女のもう一つの顔である『軍艦擬人化少女』的には、タイヴァーンに対する『賠償艦』として引き渡されたのだから、『兵器』として役に立たなければ意味が無く、戦勝国側において『九条の盟約』の適用外となるように、何らかの措置をとられて当然でしょう?」




メリーさん太「……その『措置』というのが、魔法の発動条件の変更ってわけか? なるほどねえ」




ちょい悪令嬢「このように理由はいろいろと思いつきますが、要はキャラのネーミング設定の過程で、『最初から九条列島以外に在住している魔女』というものを思いついたのが、最大の収穫でございました。他にも、まさにこの『九条の盟約』があるからこそ、もし仮に魔女が上陸することができたなら、『竹島』のモデルある『バンブース島』は、すべての敵対国さえも認めざるを得ない、皇国の固有の領土であることが証明されてしまうという、『現実の国際問題』を盛大に皮肉った、非常に危ないネタとなっておりますし、更には実は今回の【試作品プロトタイプ】は、あえて九条列島の魔女や魔法少女のほうを主役にすることによって、大陸の白色人類史上主義者たちのほうを主役にしている、『カクヨムコン6』のエントリー作品である『ヴァルプルギスの心臓』が実は、ある意味『進○の巨人』において、最初から『マ○レ側』を主人公にしていたようなものであることを浮き彫りにするといった、非常に挑戦的なエッセンスすらもちりばめられていますが、これについてのご説明は、次回以降に行いたいかと思います♡」










メリーさん太「──結局今回も、【前後編】の二部構成になるのかよ⁉」

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