第594話、わたくし、『ま○か☆マギカ』放映開始10周年を言祝ぎますの♡

「──お嬢様、しっかりしてください! アルテミスお嬢様!」




「………………うう〜ん、あ、あれ、メイ? わたくし、一体」




「ああ、お嬢様、良かったあ〜!」


「ちょ、ちょっと、メイ⁉」


 歓喜のあまり、目の前の己の小さな『御主人様』に抱きつけば、顔を真っ赤にしてジタバタと暴れ始める。


 ……それはもう、元気はつらつに。




 ──とてもついさっきまで、『死んでしまっていた』とは、思えないほどに。




 いまだ半分以上夢現といった感じで、周囲を見回す、ベッドの上の少女──この魔法王国ホワンロンの誇る、筆頭公爵家令嬢、アルテミス=ツクヨミ=セレルーナ。


「……ここは、わたくしの寝室? と言うことは、わたくし、今回も──」




「ええ、今回もまた、お亡くなりになりました」




 彼女の侍女メイドにして『使い魔』でもある、私ことメイ=アカシャ=ドーマンの、冷然たる言葉に、一瞬表情を強張らせる我があるじ


 しかしそこは、さすがに悪役令嬢にして魔法少女でもある、人呼んで『魔法令嬢』、すぐさま的確な状況判断を下してくる。


「……つまり、また『繰り返しループ』なの? これで何度目ですっけ?」


「かれこれ、89回目になります」


「そう、世話をかけたわね」


「いえ、これが私の役目ですので」


「……でも、大丈夫なの?」


「大丈夫、とは?」




「いくら、万能なる『作者』の力を有していると言っても、これほどまでに『世界のことわり』に干渉してしまっては、そのうち重大なる歪みが生じるのでは?」




「──ッ」


 ……鋭い。


 やはり何度も『同じ世界シナリオ』を繰り返すと、さすがに『本質』に気づきつつあるのか。


 これはもう少し、『記憶の没収リセット』の適用範囲を、拡大すべきか。


「し、心配は、要りません! 何度お亡くなりになろうとも、お嬢様のことは、この私が必ず、甦らせて差し上げますから!」


 そのように慌てて言いつくろうようにして、わざとらしく腕の中の華奢な肢体を抱きしめる。




「……だけどわたくし、何だか怖いの。このままループをし続けていたら、『別の何者か』に変わってしまいそうで」




 ──‼


 ……まさか、気づかれた?


 くっ、『魔法令嬢』と言うものを、少々甘く見過ぎていたか。




 ──これは、『計画』の進行を、少々早めなくてはなるまいな。




 そのような『非道なこと』を考えながらも、腕の中の少女を、更に力強く抱き寄せる。




 ──ただし、心の中で想い続けているのは、『別の少女』のことであったが。




 実は目の前の少女は、『彼女』の復活のための、供物でしか無かった。


 そう、無限にループを繰り返し、アルテミスお嬢様が死に続ければ、いつしか『世界のことわりに歪みが生じて』、絶対の禁忌である『反魂の術』が、成し遂げられることになるのだ。




 つまり、私は自分に絶大なる信頼を寄せているあるじを、生かすためでも助けるためでも無く、むしろ『殺す』ためにこそ、ループを繰り返していたのであった。




 ──すべては、最愛の『彼女』を、再びこの手で抱きしめるために。










   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「……毎度のことながら、何なの、これって?」




ちょい悪令嬢「実は本作『わたくし、悪役令嬢ですの』の、超ネタバレだったりします☆」




メリーさん太「──はあ⁉」


ちょい悪令嬢「まあ、それは半分、冗談ですけどね」


メリーさん太「と言うことは、半分は本気マジなのかよ⁉」


ちょい悪令嬢「それよりもメリーさん、本日1月7日が、一体『何の日』か、おわかりになられますか?」


メリーさん太「……1月7日って、まあ、普通だったら『七草粥の日』だろうけど、本作の作者のことだから、『ニコ○コ動画』様における、『ひぐ○しのなく頃に業』の第1クール全話一挙無料配信が行われる、当日であるってところか?」


ちょい悪令嬢「まあ、いつもだったらその辺りが妥当な線でしょうが、今回ばかりは、もっと重要なことがあるのですよ」


メリーさん太「へ? この作者が『ひぐ○し』の最新アニメ版の全話配信よりも、重要視することなんて、一体何なんだ?」


ちょい悪令嬢「ヒントはまさに、その『ひぐ○し』です」


メリーさん太「はあ?」


ちょい悪令嬢「後は、丁度昨日からアニメ版が再開したばかりの『リゼ○』に、BSにおいて再放送されている『シ○タゲ』って、ところでしょうかねえ?」


メリーさん太「『ループ系アニメ』の、超傑作揃いじゃないかよ⁉ ………………………………あ、いや、何で『ま○マギ』が入っていないんだ? 確かあれも毎度お馴染み『ア○マTV』様において、第1話から第6話限定で、無料配信が行われているはずだけど? それに何より『ま○マギ』こそは、今年放映開始10周年を迎えて────って。ああっ、ま、まさか⁉」




ちょい悪令嬢「──そうです、本日1月7日こそ、超傑作オリジナルアニメ作品である、『魔法少女ま○か☆マギカ』の初放映日の、丁度10周年に当たるのですわ♡」




メリーさん太「……ああ、そうか、同じく今年(の3月11日に)10周年を迎える、かの『東日本大震災』勃発前後に、最終回(第12話)が放映されたと言うことは、丁度この時期に『第1話』が放映されていたことになるわけか」


ちょい悪令嬢「よって、今回の冒頭の突発短編は、『ま○マギ10周年記念作品』となっております♫」


メリーさん太「まあ、なあ。女の子が、別の神様みたいな女の子の力を借りて、同じ『雛○沢の世界』を繰り返しているし…………って、どちらかと言うと、『ひぐ○し』の梨○ちゃまと某邪神の関係のほうが近いんじゃないのか⁉」


ちょい悪令嬢「だって、本作はあくまでもオリジナル作品なのであって、『ま○マギ』そのままって言うわけにはいかないでしょう? 先ほども申しましたように、元々本作用に考案していた『ネタバレ』パートを、『ま○マギ』テイストにアレンジして試作しただけで、設定的には大幅に違うし、部分的には『正反対』と呼べる箇所もあるくらいですもの」


メリーさん太「正反対、って……」




ちょい悪令嬢「魔法少女のループを実行しているのが、『ま○マギ』のように同じ魔法少女でも、『ひぐ○し』のように邪神でも無くて、何と『キュ○べえ』に当たる『使い魔』であることはもちろん、そして何よりも、以前本作において提案したばかりの、『誰かを生かすためでは無く、誰かを殺すための死に戻り』案を、具体サクヒン化しているようなものであることですわ」




メリーさん太「──だ、誰かを殺すための、死に戻りの繰り返しループ、だってえ⁉」




ちょい悪令嬢「『ま○マギ』が、自分の『最高のともだち』を何とか生かすために、魔法少女が時間遡行を繰り返し、その結果無自覚に世界の因果律を歪めていったのに対して、本作の冒頭部のほうは、『使い魔』の少女がいかにも魔法少女のためのように装いつつ、実は最初から自覚的に『因果律を歪める』ことを目的として、自分のあるじであるはずの魔法少女を、『世界の繰り返しループ』の中で無限に殺し続けているのです!」




メリーさん太「自覚的に世界の因果律を歪めるって、何でそんな大それたことを⁉」




ちょい悪令嬢「彼女には、どうしても甦らせたい、『最愛のひと』がいるのですよ」




メリーさん太「──ッ」




ちょい悪令嬢「ある意味これも、『ま○マギ』同様に、『純愛の物語』と申せましょう。──ただし、あくまでも『歪んだ純愛』ですけどね☆」


メリーさん太「歪んだ純愛って…………何その、矛盾感バリバリのパワーワードは? むしろ一番歪んでいるのは、本作の作者自身じゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「うふふ、ほんと性根が歪みまくっているほどに、意地悪ですよね、本作の作者って。……それにしても、作中の魔法少女兼悪役令嬢の子って、本当に可哀想よね。自分が最も信頼し、心の中で密かに愛してさえいる、侍女メイドにして使い魔の女の子が、実は自分の命と引き換えに、別の女の子を甦らせようとして、無限にループをさせられているとも知らずにwww」


メリーさん太「……あ、あの、『ちょい悪令嬢』さん?」


ちょい悪令嬢「うん、何ですの、『メリーさん太』さん?」




メリーさん太「その『魔法少女兼悪役令嬢』って、あなたご自身のことでは無いでしょうか?」




ちょい悪令嬢「──そういえば、そうでしたああああああああ!!!」




メリーさん太「……ったく、メインヒロインすら知らなかった重大なる秘密を、こんな【座談会】で明かしてしまうなんて、本当に『ネタバレ』的に大丈夫なの?」


ちょい悪令嬢「ま、まあ、今回は一応、【ま○マギ初放映10周年記念特別座談会】と言うことで、先ほども申しましたように、かなり大幅に『ま○マギ』テイストでアレンジしておりますからね」


メリーさん太「そういえば、『ま○マギ』自体のほうは、やはり10周年と言うことで、何か大きなイベントでもを行うおつもりなのかしら?」


ちょい悪令嬢「一応『特設サイト』が開設されて、虚○玄氏を含めたメインスタッフの(お祝い)コメントなんかが、掲載されていましたけど?」


メリーさん太「──虚○氏のコメントが⁉ ていうことはやはり、『叛○の物語』の続編も、十分にあり得るってことか?」


ちょい悪令嬢「う〜ん、皆さんが最も関心を寄せているのが、『叛○』を含めての『ま○マギ』本編の続きでしょうが、今のところ何とも言えないですねえ」


メリーさん太「あ、そうか、まずは何と言っても、外伝である『マギア○コード』のセカンドシーズンのほうを、片付けなければならないしな」


ちょい悪令嬢「特に本作の作者は、本編よりも先に、『叛○』と『マギ○コ』を見たために、テレビ版であるか劇場版であるか外伝であるかに、あまりこだわっておりませんしね」


メリーさん太「それって、本編には、それ程思い入れは無いってこと?」


ちょい悪令嬢「まさかそんな、本作の作者が本編の第10話が大のお気に入りなのは、よくご存じでしょう?」


メリーさん太「……そういえば、そうだったか」




ちょい悪令嬢「とにかくですねえ、続編を創るとしたら、旧来のファンへのサービスのためだけでは無く、何よりも『新しいこと』にチャレンジして欲しいのですよ。それさえ叶えてくれるのなら、本編の続きでも、『叛○』の続きでも、『マギ○コ』のセカンドシーズンでも、何でも構わないのです」




メリーさん太「うん、もはや『エヴ○』ファンにおいてただ一人と言っていいくらいの、『Q信奉者』ならではのお言葉だな。でも、現在本作の作者が熱中している『ひぐ○し業』って、制作側が言っているほど『完全新作』か?」


ちょい悪令嬢「確かにこれまでは、旧アニメ版に少々アレンジを施していた程度でしたが、おそらくは今年に入ってからは、『聖ルチ○ア学園』等を舞台にして、完全に未知の領域に突入するんじゃないですか?」


メリーさん太「そ、そうか、すでに第2話の冒頭で、そのようなことをほのめかしていたっけ」




ちょい悪令嬢「何せ『ま○マギ』にしろ『ひぐ○し』にしろ、『それまでに無かった革新的作品』だったからこそ、ファンの皆様の絶大なる支持を得られたのですからね。たとえ続編といえども、その『スピリット』を忘れてしまっては、新たに創る意味なぞありませんわ」




メリーさん太「──うわっ、いきなりハードルを上げてきやがった⁉ そんなふうに、ファンの期待が無駄に高いから、制作フタッフの皆様におかれても、続編を創りにくくなってしまうんだろうが⁉」




ちょい悪令嬢「大丈夫ですって、偉大なる『ま○マギ』のスタッフの皆様であれば、絶対にわたくしたちファンの期待に応えてくれますわよ♡」




メリーさん太「だから、むやみやたらと、余計なプレッシャーを与えるなって、言っているんだよ⁉」

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